28話〜ゴーレムの謎〜
砂漠を歩いて2日目。昼。
「…あっづ」
「何かマシュのおかげで辛うじて生きてる感じが」
「…申し訳ありません。ここまでのものとは。砂漠は初めてですので」
「…水分摂ってもほぼ汗で出ちゃってる感じが」
まだ体力に余裕はある。
「…これは何とかすべきかしら」
アイリスさんが何らかの魔法を発動する。その魔法の影響なのかまあまあ楽になった。
「あんまオススメ出来ないけどね。忠告しておくと涼しく感じているだけなの。だから身体はやちゃんと反応するけど感覚が若干麻痺してるから」
なるほど、危険と言う実感そのものも薄れてしまう魔法か。理解は出来た。
「…補給と休憩の時間増やしたほうがいいわね」
休憩を取ってとりあえず進む。体力自体はまああるっちゃある。
数時間歩くと。
「…皆さん、何か、います!」
「トウカちゃんの感知に何かが引っ掛かった」
また地面が揺れる感覚。地中から出てきたのはデカい手。そして身体も出てくる。
「ゴーレムか。中々にデカいな」
ノーラちゃんが速攻で仕掛ける。ウインドアド、ウインドブーツをかけて斬りかかるが刃は通らない。
「っ硬い!」
「仕方ありません」
マシュがヘカートⅡを召喚して構えようとしている。
「大丈夫よ、私達がやるから。オウカ!ガルド!」
「…有効打殆ど無いんだけど」
「余裕余裕、んじゃヘカート借りるぞ」
「アンタもんなもん使うんじゃないの!これで我慢しなさい!」
アイリスさんがガルドさんに魔法をかけると元の姿になる。
「力まで戻ってるし」
「まあこの戦いが終わったらまたシオンちゃんだけど」
「畜生、しゃあねえ、やるか。3つで足りるだろゴーレム如き。よしフブキも来い」
「マジですか。銃抜きで」
ガルドさんがミッドナイトドロップクリスタルを3つ召喚する。そしてアイリスさんは銀色のおそらくミスリルのスタッフを召喚する。先端には紅くて丸い石が付いている。
「何かすげーの出た」
「ソルジュエルとミスリルのスタッフよ。多分フブキちゃんの持ってるミスリルダガーよりは安いわ」
神製だったな。そういえばアレ。
「オウカ!」
ガルドさんがオウカさんにウインドブーツをかけてオウカさんが全速力で走る。
とりあえずハンマーを召喚する。
「今度はすごいハンマーね」
「ココアとマシュに作ってもらったんですけど、まあ上出来ですよ」
ファイアアドをハンマーにかけてヒートブースト、ウインドブーツを自身にかける。
ゴーレムのパンチをオウカさんが止める。そこにサポートで入る。
「さすがフブキちゃん」
ここでどうすべきか計算する。よし、イケるな。
「オウカさん、すみません?」
「ほへ?」
まずゴーレムの腕を一瞬浮かせてスキを作る。
「ガルドさん!」
ガルドさんめがけてオウカをぶん投げる。
「ふぇえええええ!」
そっちはガン無視してオーブを召喚して詠唱を始める。
「闇の力よ」
ゴーレムの腕を更に浮かせる。
「その力を破壊の爆炎と換え、爆裂と塵芥をもたらせ」
「フブキちゃん?嘘でしょ?」
「へっ、それでこそ我が弟子だ!」
「エクスプロージョン!」
肩で爆発し腕を吹っ飛ばす。
「腕そっち行ったよ!マシュ!」
「問題ありません」
ヘカートで吹っ飛んだ腕を狙撃し、腕が爆散する。
「オウカ!腕を固定して!」
「了解!」
「私もいいとこ見せなきゃ。フブキちゃん達にいいとこ見せた事無いし。まずは腕。聖なる力よ裁きの雷を持って全てを貫け、ジャッジメントサンダー!」
電磁投射砲の如く風属性の魔力を射出し、腕を落とす。
「腕落ちてなくて安心したわ。ガルド、決めるわよ!」
「おう」
それなら俺はサポに徹するか。
「大地の力よ、巨大な鎖で敵を縛れ!アースチェーン」
ゴーレムの身体を地に繋ぐ。ガッチリ固定して動けなくなる。
「よくやった!ゴーレム相手にゃこれで十分!漆黒の夜の王よ、その強大な力で焼き尽くせ、ブラックバーンブラスト!」
オーブ3つに強大な魔力を流し込んで一気に増幅させてゆく。
「純白の陽の女神よ、強大な浄化の力をもたらせ、ホワイトシャインシュート!」
コピーメイクで7人に増えたアイリスさんが同時に詠唱を重ねる事で魔法を強化する。
白と黒の巨大なビームがゴーレムをブチ抜いてゴーレムは崩壊する。
ガルドさんにかかった魔法が解けて依代の姿に戻る。
「こいつの石材は金にならんな。ゴミだ」
「ねえ、これ、オペレーター無しの人工ゴーレムっぽいわよ?」
「…回路が古い。おそらくこの辺に置いといたゴーレムが魔力切れを起こして時間が経って砂に埋れて俺らの魔力を吸って再起動した自律型だろ」
砕けた岩をぺしぺし叩いて言ってる。
「この回路が誰のものかは突き止められそう?」
「候補は2人、ただ、劣化して命令式は読み取れん。つまりだ、こいつが何のために生み出されたかは分からん。そもそもアイツらじゃもっと質の良い物も作れる」
「2人って言うのは?」
「教会、あと教会が雇ってる奴らにゴーレムマスターが合計2人いるそのどっちかが多分そうだ」
「もっと強いの持ってるでしょーにゴーレムなんて要るのかしら?」
結局教会ってなんなんだよ。って思わなくもないがあんま気にするのもやめよう。
「ディザスタージャイアントを操るのはそれほど容易ではないのだろう」
「とりあえず行きましょうか。粉々になった以上ここで出来る事はもう無さそうだし」
「そうだな」
その後、数時間歩くが、特に何事も無く2日目は終わった。
3日目。ぶっちゃけ昼と夜の寒暖差とかその他諸々からくる要因で中々にしんどい。特訓量もあってその辺はノーラちゃんに劣る。サクヤも俺と同様に顔色に疲労や体調不良が伺える。
「きつそうね。これは」
「アイちゃんの魔法で治せないの?」
「おそらく熱中症と疲労ね。これは魔法で治せないのよ。身体の限界みたいなもので修復とか解毒とかと理屈が違う」
マシュが服の内側、下着に手を突っ込んでくる。
「んぇ!?」
「フブキさまやサクヤ様は魔術回路のある下着を着けてもらってそれなりの対策はしていたのですがこの環境で疲労したことによって魔力の循環にも影響して回路の動作も落ちたと言ったところでしょうね」
「フブキちゃん、ドラゴン召喚出来る?」
「出来ますよ」
魔法陣を展開してヒルダを召喚する。
「なんでしょーおねー、ちゃん、お姉ちゃん!?」
「アンタのマスターこの暑さでバテちゃって。おまけにその友達も」
軽く冷やしてくれてる。きもちい。
「目的地の街は行った事無いから転移出来ないしアンタに先に行ってギルドで応援呼んできてもらいたいの。こっちは応急処置しつつゆっくり向かうから」
「あたしがお姉ちゃんとそっちの子乗せて先行すればいいのでは?他の皆さん方だ大丈夫そうですし」
「出来ればそれがよかったんだけど」
遠くの方を指差す。
「ワイバーン、下等な翼を持つ蜥蜴ですね」
街の方へ飛んでいってしまった。
「これで3匹目。何があるかは分からないけど街へ入るよりこっちの方が安全だと思うのよ」
「なるほど。りょーかい!」
「お金持ってますよね?」
「うん十分。必要なら申請していただければ返すので」
「大丈夫大丈夫。おやつとかご飯くらいしか使ってないし、んじゃ、そっこーで行ってくるね!」




