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異世界転生幼女の英雄譚  作者: ひょうか.みかん
第3章〜結城蓮と恋しくて氷菓子(ドンドゥルマ)〜
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27話〜ワイバーンを銃殺する簡単な作業〜

「大体野営道具はこんなもんかしら」

「多分足りると思うよ」

「どしたの?シオン」

 足を止めたのは武器屋である。

「面白そうですね。入ってみましょうか」

「クリス、ククリ、スクラマサクス、クファンジャル、マンゴーシュ、ジャダマハル」

「短剣も結構色々あるのね」

「チンクエディア、ミセリコルデ」

 このミセリコルデ、なんかしっくりくる。回路も書き加えられてて上手く干渉魔法も馴染みそうだ。

「フブキちゃん?」

「お客さんお目が高いですね」

「お店の方ですか?」

「ええ。ここに置いてある短剣のいくつかは最近シクサリス大陸の有名な鍛治職人、イズミ・キサラギの短剣です。うちにはあと脇差くらいしか卸せていませんが。でも、間違いなく本物です。持ってきた運び屋が情報屋に出ていた者で間違いなく何者かが変身、変装している様子もなかったので」

 その割に安いな。でもこれは間違いなく本物の鍛治職人の業だ。

「この短剣と脇差1本ずつでいくら?」

「合わせて50万マナです」

「買った」

「金貨5枚丁度でお預かりします」

 店を後にする。

「アンタは買わなくて良かったの?」

「ああ、別に無かった」

「オウカはその言ってたイズミとか言うののダガー買ってるのね。クリスナイフ。あと脇差も」

「これ、すごい職人だね。本当に」

 相変わらずあいつはすげえな。こっちの世界じゃ鍛治職人か。物作りが好きなのも変わらないと言うかレベルアップしてると言うか。

「どうしたの?フブキちゃん」

「イズミ・キサラギ。転生者の1人で友達みたいな関係だったので」

「この大陸の子に会ったらじゃあ次行きましょうか」

「速攻で予定が埋まってゆく…」

「でもまあ今はレンとか言う女の話だろ?」

 とりあえず回るとこ回って合流する。気温が下がった夕方から出発を始める。目的のサンドウラの町までおよそ3日、か。上空を見上げると赤い翼竜が飛んで行った。

「…ワイバーンだな」

「大丈夫なんですかね?アレ?」

「知らん。今から追っかけてどう足掻いてもも間に合わん」

「アレが来たら勝てる気しないんですけど」

「ワイバーン如き俺らから言わせりゃ雑魚だ」

「そんな事無いよ!?普通に強いって!」

「お前は飛んで翼落しゃ十分だ。フブキがぶった斬れる」

「童力とか以前にワイバーンに刃通るんですか!?」

 ワイバーンと言えどドラゴンだ。硬い鱗は魔法や物理耐性高いだろう。

「ここらのワイバーンなら多分ブリザードアドをヒルダの加護乗せりゃ余裕で()れる」

 ブリザードアドDで行けるという事か。

「身体能力はノーラが優秀だがノーラはまだ魔法性能もフブキに全く届かない。多分ノーラじゃ刺さらん」

「コンちゃん、トウカちゃんの魔法能力じゃ無理ね。魔法耐性も低くは無いでしょうし。マシュマロちゃんはさらに…」

「アイリス、お前はマシュの本当の優秀さを知らないからな。まあそのうち分かるだろうさ。マシュの強さが」

「わわわ、私はそんなに強くはありませんから!」

「お前自身の強さは命中精度さえあればどうやってでも補えるんだよ。ただ当てればいい。当てる事に集中すればいい。最新版はオウカも知らんレベルにまで行ってるぞ?」

 そりゃあねえ。あそこまでやっちゃったら…。

「まあそれはお楽しみっつー事で」

 しばらく歩くと地面が揺れているのを感じる。

「下から来るよ!気をつけて!」

 地面から姿を現したのはバカデカい蠍である。

「デザートジャイアントスコーピオンか。有毒種だな」

「ノーラちゃん!」

「私1人で問題有りません。風の力よ、我に飛翔の力と疾風の速さをもたらせ、ウインドブーツ!この器に風の力を与えよ!ウインドアド!」

 タンっと地面を強く蹴ると一瞬で蠍の尾を落とす。蠍は尾に毒がある。毒の危険をまず断ち、次いで鋏、風の刃の一振りで両腕を落とす。そして背を突いてトドメを刺す。

「ここまでの力を得ているとは…。ケット・シーの魔法剣士ってそれほどの力なの!?」

「それだけじゃないさ。魔法の扱いも教えたし剣も欠かさず振ってる。進化で得ただけの力じゃなく努力あっての力だ」

「そそそ、そんな事無いですよ!皆さんのご教授があってこそですので」

「お前は強さに自身を持て。っととりあえずこの巨大サソリでメシにすっか」

「この蠍食べるんですか!?」

「ノーラが真っ先に尻尾落としたおかげで全身に毒が回ってねえ。鑑定魔法でそれは分かってるし食っても問題無え。火には通すが」

「フブキ、ナイフあったろ?それでオウカと解体しな」

「ボクもなの!?」

「バラすだけだ。足と鋏だけで十分だ。これだけデカけりゃ俺らで半分も食わんだろ」

 とりあえず脚を切って外殻を割って身を取り出して鍋へ入れていく。それでいいのか。そこにトウカが調味料や他の食材を入れていって完成する。ちゃんと団子入りスープになってる。

「頂きます」

「私も初めてなのでこれで良いのか…」

「ん?」

「どうかしました?」

「サソリが蟹みたいな味がして驚いた」

「…え?」

 その言葉を聞いてサクヤが少し驚きながらもサソリの肉を口にする。

「エビのようですわ。どこか蟹らしさもありますが普通に魚介類食べているようで問題なく食べられそうでびっくりしましたわ。加工前さえ見てなければもっと楽しめたでしょうに」

 まあ分からんでもない。デカいヤバいビジュアルのサソリだからな。

 食事を終えて移動を再開する。暗いうちに出来るだけ距離を稼ぎたいらしい…。

 そこそこ暗くなってきたところで身に違和感を覚える。ヤバい。言い出す勇気無い。

「…フブキ、どうかしたか?」

「あ、いえ」

「コンちゃん、シオンを閉じ込めて」

「私では無理なのでは!?」

「大丈夫」

 コンの結界魔法でシオンさんが閉じ込められる。そしてその結界をアイリスさんが超強化してる。

「トウカちゃん、そいつ見張ってて」

「はい」

「コンちゃんはこっち付いてきて。あとフブキちゃんも」

 半ば引っ張られてんですけど。

「コンちゃん視界遮断とか錯視系の結界いける?」

「ええ、まあ」

「フブキちゃん、大丈夫よ。あたしが結界の外は感知しておくから」

「なんでバレてんですか!?」

「そりゃあんな動きしてたら分かるわよ。コンちゃん、遮音結界も」

「はい」

「マジですか」

「紙要る?」

「大丈夫です」

 はあ。あとこれ何回あるんだろ?

「終わりました」

「ついでにサクヤちゃん引っ張ってきて」

「あ、はい」

 色々あったけどとりあえず旅を再開する。

「シオンさん何故額焦げてるんですか?」

「結界を頭突きで結界を破ろうとしてたので」

「工作魔法で結界って破れますよね?」

「なんか変な腕輪つけられてこいつがいくつかの魔法の発動妨害してんだよな」

 なにその地味に強力な制限アイテム。

「大丈夫よ。必要な時に外すから」

「…はぁ」

「それに戦闘での障害は殆ど無い」

「マジか。じゃとりあえず今は諦めるか」

 とりあえず歩き続けて数時間。適度に栄養を摂取する。

 夜が明けて陽が昇り始める。

「陽が出てきたわね」

「ワイバーン来ねえかな?」

「ロクでもない事言ってんじゃないわよ!」

 フラグ立ったな。これは。

「フブキさん、これ、何処かでワイバーンと戦闘になったりしますわよね?流れ的に」

「サクヤ、ガチでやめろ」

「すみません」

「来たところでどうすんのよ?」

「俺とマシュとフブキの秘密兵器がワイバーン如き余裕で打ち抜ける」

「アンタなんてもんエルフに作らせてんのよ!?」

「フブキに言え」

「え?フブキちゃん、どゆこと?」

「これ、俺の世界の武器の外側だけを拝借して魔力を射出する武器を作らせたんですよ」

「外側だけ…」

「本来は火薬で金属の弾を高速で射出する武器なんですけど、弾は使い捨てることになる分実弾作るよりコスパもよく暴発もなくせるんで」

「金属の弾ね…」

「人骨貫いて殺傷出来る武器って…」

「何故か聞いた事無いはずなのにそれっぽい説明聞いた気がするデジャビュってる」

「俺もなんかデジャヴった」

 俺も説明した記憶あるんだけど。何故だ?

「で、結局のところこの魔力を射出する武器は使い手次第で人の殺傷は余裕なのでは?」

「それが最新版だと軽くいけるそうだ」

 グォオオオオオ。

「丁度いいじゃねえか。ワイバーンの鳴き声だな」

 で、ワイバーンさんです。

「馬鹿じゃないの!?ほっときゃ何もせずに済むケンカわざわざ売るの!?」

 ヘカートⅡでシオンさんがまずは翼を撃ち抜く。

「おー。ここまでデカい穴空けれるか」

「爆裂性質の魔力弾いきなりぶっぱしますか!?」

「ねえ、ドラゴンって薄い翼でも普通の魔法通さない強度あったわよね?」

「ああ。まさかここまで強化されるとは」

 地に堕ちたワイバーンの腹をマシュが撃ち抜く。それが大ダメージとなり倒れたところをAK-47に光の魔力を込めて頭蓋を撃ち抜く。

「ねえ?4発で落ちるのおかしいって。向こうの知識があって扱えるフブキちゃんはともかくマシュマロちゃんとシオンが扱えるって」

「そりゃ扱えるように努力したもんよ。魔法とは理屈が違う。つっても、それも一番フブキが頑張ってたが」

 そりゃそうだろ。リアルで使った事無いからな。ゲームとリアルは違う。そして撃つのは魔力だそもそも違う。

「まあフブキが優秀なのは知ってたが。この対物ライフルとかいう狙撃銃と観測魔法を組み合わせて1キロ以上の狙撃を命中させられるんだと。マシュマロもそこまで鍛えたらしい。世界が違えば最強だったかもな。開発手掛けた銃全て扱いこなす。強いぞ?」

「アンタがそこまで言うのも分かる気がする」

「銃はこの世界のヒトと呼ばれる種族全体において反応するのはまず無理だ。事前に対策しないと普通に打ち抜かれるからな。見ただろう。あの威力。ワイバーンの鱗や頭蓋ですら撃ち抜けるんだ」

「魔力っていうのもあるんですけど。まあヘカートなんかになるとそもそもオリジナルがぶっ壊れスペックなんで」

「そんなに?」

「射程がキロ単位、金属の防具は余裕ですね」

「それを魔力に替えるとワイバーンの鱗。納得ね」

 納得出来るんだ。

「回路のお陰で強化して射出してるしかなり…」

「ちなみに魔力の波形なその他様々な方式を採用しており、登録されていない者には扱えないようになっておりますので心配無く」

「そこまで聞いてねえぞ」

「フブキ様のご指示です。全権限は私とフブキ様でシオン様は現時点で拳銃と狙撃銃が、オウカ様は拳銃が使用可能となっております」

「奪ってそのまま撃てないようになってるとは」

「工作魔法も効きません」

「あ、ホントだ」

「アイリスはさりげなく試すんじゃない」

「あたしもなんか欲しくなってきた!?いくらで売ってくれる!?」

 買う気なのかこの人。いやいやちょい待て、言い値とかそう言う問題ではなく!

「そう言えばアイリスさんって魔法の火力自体あんま把握できてないと言うか。色々出来るのは分かりますが」

「火力じゃ多分今のシオンの全力にすら及ばないわね。多分。得意分野が違うのよ。ガルド、シオンが闇の魔力で攻撃魔法、禁忌魔法、結界魔法、工作魔法、干渉魔法が得意。あたしは光の魔力で回復魔法、守護魔法、感知魔法、観測魔法とか。ちなみにカーディアは満遍なく使えるけど効果や威力であたしやガルドより低い、光と闇両方持ってるってだけでかなりすごい上に土、炎、風、水の変化に偏りも無く隙がないけど。アステルは錬金術が主だから光の土、炎、水への変化はかなりね。オウカは攻撃出来ない工作、干渉とかだけどまあ既にフブキちゃんより魔法能力は下」

「言い返せない。よし、一回そのうち戦ってみようか。銃抜きで」

「銃は抜きなのね」

「あったら絶対勝てないんだけど」

「無しでもオウカじゃ厳しいぞ」

 オウカさん散々言われてる。誰かこの人フォローしようと言う意思は無いのか…。

「オウカの工作魔法って戦闘用殆ど無いわよね?」

「結界破りとかそーゆーの出来るよ?」

「まあフブキ相手じゃ殆ど意味ねーが。お前のレベルじゃ直接魔法を破壊するレベルは無理だし、遠隔系や結界はフブキは殆ど使わんからな」

「殆ど使えないが正解ですけど。遠隔系はともかく結界系は習得してませんし」

 結界に至っては全然使えない。遠隔系はパペッターやゴーレムコントロール、リモートコントロール等いくつか使えるけど大体使う対象が少ない。パペッターで斬った死体操るくらいだし。

「お前パペッターとかゴーレムコントロールで操る人形やゴーレムそもそも持ってねえだろ?」

「持ってますよ?」

「フブキ様は私が作った人形やゴーレムを数体所有しています。と言うよりフブキ様の要望に合わせて作ったものもありますし」

 ぶっちゃけ使う機会が無いから使ってないと言うか。そもそも生活が変わってから、街作ってる辺りから実戦数が明らかに少ない。

「と言う事は入手したのは化け猫の後か」

「そうですね」

「お前、フェルパーの死体操ってたりしたもんな」

「そんな事やってたの!?」

「しかも正確、無駄は無かった。剣で的確に急所斬ってたし。お前はこっちじゃなかったから殆ど知らんだろうが、その時既に銃使いこなしてたしオウカよりその時点で強さ感じたな」

「うっ」

「…こっちはあの剣士にいいとこ全部持っていかれたのがって言うか拘束して吐く事魔法で吐かせようと思ってたのに殺すとは…」

「フブキの世界の転生者の剣士だっけか?」

「おそらく。何らかの使い魔か魔法だと思うんですけど、その時はまだそんなにこっちに来てそこまで経ってないので可能性が絞られますが」

「可能性が絞られる?」

「まず使い魔。召喚契約に至った経緯は置いといて大陸間を飛べるヒルダのようなドラゴン級の使い魔を得た。彼女自身がそこまで強力な転移魔法をその時点持っている可能性は怪しいですし、あとは協力者。何らかの移動手段を持ってる召喚獣や使い魔だけど大陸間転移となるとアイリスさんレベルの魔法能力か強大な別の力か財力が存在すると言う事になるかと」

「そうなるわね」

「まあ最初から強大な能力あった可能性もあるでしょうけど、それならサクヤをここまでポンコツ仕様で作らなくても」

「ポンコツって酷くないですか!?」

「サクヤ、ステ見せて」

「こうやるんでしたっけ?」

 サクヤのステータスを確認する。

能力値は別にいい。

 特性

身体再生

クリティカル回避

童力

消費効率強化

魔力回復強化

全魔法性能強化

スタッフ適正最大

「サクヤ、スタッフ持ってないの?」

「持ってませんわね」

「スタッフ適正最大付いてるの何故言わなかった!?」

「理解出来てなかったのでそのまま放置してました」

 マジか。地味に攻撃魔法強化付いてるし。

「何の話してるの?」

「転生者のみ能力値とか確認できるみたいなんですよ」

「変わった能力ね」

「まあこの世界、いや、現実を数値化する必要無いので手に入った能力の確認とかくらいにしか使ってないですけど。サクヤの魔法が元が低すぎるかサクヤは強くなってないから強化しても足りない…」

「うっ」

「フブキちゃん辛辣ぅ〜」

「無理に褒めて思い上がらせるのもダメですよ。自分の本当の力量を把握出来なければ死ぬ世界ですから」

「なんかフブキちゃんの指摘が的確過ぎてフォローの余地の無い哀れさ」

「相変わらず、どこであれ、どうであれ、フブキさんで安心しましたわ」

「変わったよ。何もかも。サクヤでも分かるほどに。この世界じゃ簡単に人を殺せる。じぶんが生きる為の人の殺生なんて躊躇わなくなる。罪悪感は薄くなる。戦いのある世界で生きると言う事がそう言う世界だって知ったから」

「…っ!?」

「仮にも神が転生に携わってるんだからこんな酷い設定にはならない気はするんだよな。多分何か進化みたいな条件が…」

「進化…」

 まあ確証は無いがここまでファンタジー初心者で即死しそうなパラメーターで送り出してチート要素としての度合いが低すぎる事も無いだろう。何かあるはずだ。不可視パラメーターみたいな何かの存在も有り得なくは無い。チュートリアルも無いと言う事はそれなりの保険が…。無いだろうな。

「サクヤちゃんはそう言えば普通のリトルスのままよね?」

「お店のお手伝いとフブキさん未満の特訓くらいでまともな実戦もしてませんし」

 結構な日数かかっても経験が無ければまず伸び方も良くない。ちょっと見ただけで素人ってのも分かる。向こうの事分かってるとそれがまあ納得も出来る。

「ぶっちゃけサクヤの弱さどうこう以前に結界魔法押し付けた女神がおかしいのと、そもそも結界魔法だけでどうしようもないと言う悲しい事実」

「干渉魔法だけで何とか出来ちゃうフブキちゃんも色々おかしい気はするけど」

「あの夜はヒプノシスチェインなんてのもやりましたしだけって訳でもないですけど、まあ意外と出来ること多いと言うか。転移魔法で吐きそうになるのはまだそこまで改善されてませんが」

 ぶっちゃけ干渉魔法メインで戦うのに慣れてしまって色々魔法使えるのに近接主体で戦うようになってるし。攻撃魔法のが使ってないな。本当に。

「あたしとしては女の子らしく可憐な魔法使いに仕上げたいんだけど、なんかこう、フブキちゃんって戦士っぽいし」

 そうなんだよな。アイリスさんが言ってるようになりたいのは事実だ。まあどんなに頑張ったところでビジュアルは女児だが。胸がつく可能性がある程度の。

「最初に持たされたのが干渉魔法なのでそれを伸ばすのがやりやすかったと言うか」

 最初が他の魔法より便利だったのは事実だ。回復魔法や攻撃魔法渡されるより何だかんだやりようはあった。

「会いに行く転生者の子がどんな魔法与えられたか分かる?」

「黒だったような。でも魔法使うような奴でもないし殆ど覚えてないかと」

 大剣あれば基本それで何とかするだろアイツは。まあどう言うステ配分や特性とか与えられてるとか知らんが。いや、でもあいつゲームで運上げてクリ率の為だけに盗賊になって大剣振る馬鹿だし。魔法なんて覚えないだろ。

「魔法使わないのね」

「ソロで動いてて最悪何らかのちょっとした魔法を覚えてる可能性はありますけど、基本大きい剣振れりゃそれで満足出来るようなヤツですし」

「頭は良い方なはずなのに勿体無い」

 その頃。

「なあ、マヨさんや。こうも蜘蛛さん出てこないとレンちゃんそろそろ暇なんだが」

「そんな事言われましても」

「索敵系の魔法は使えんの?」

「回復以外だとちょっとした攻撃とかしか。レンさんは魔法使えませんよね」

「黒の攻撃とか禁忌系、ソロで動く為の低レベルの回復とか工作魔法は本読んだならちょっとは使えるが索敵は出来ん。干渉系とか感知、観測の本とかこの辺りで見当たらん。デカい街まで行くとなると4〜5日かかるし」

「そもそも戦闘は剣振ってるだけですよね!?」

「斬れば良いんだし考えないで済むし楽じゃん。さてと、飯にすっか。蠍焼きとスイカでいい?」

「もう少しいい感じに出来ないのですか!?」

「サボテン要る?焼いて買った調味料振るくらいしか出来んが」

 サボテン露店で売ってたしそのおっちゃんそこら辺のこう言うサボテンなら食えるって言ってた身体回収して刺抜いといたけど。美味いかは知らん。

「調味料あるんですね」

「胡椒くらいだが。塩は高くて買えん」

「とりあえず外出ましょうよ」

「そうだな」

「で、どうやって出るんですか?」

「街を出る前にハバネロを買い込んで粉末にしておいた。んで、洞窟に入る前に袋の底をちょいと切ってほら」

 指を指した先に赤い粉が見える。

「そこいらの化け物はハバネロは食わんし問題無い」

 数分かけて外に出る。

「そう言えば思ったんですけど、蜘蛛を罠でおびき寄せて引っ掛けるのは駄目なんですか?」

「もう肉無えんだよな。蠍以外。アイツら蠍には見向きもしねえし。植物じゃ無理だし」

「私持ってますよ?砂漠牛の干し肉」

「先に言えよ…。俺が食うけど」

「罠に使いましょうよ!」

「蜘蛛なんかにそんな贅沢品食わせるか!」

「じゃあどうするんですか?」

「これを使う、てってれー!魔物寄せアロマ〜!一応買っといた。安いからな」

 魔物寄せアロマ。500マナ。3時間有効、10個ある。

「それ、蜘蛛以外も来るじゃないですか!」

「蝙蝠とかその辺なら大丈夫、アイツら雑魚だし。この洞窟にはあとデカいネズミしかいないって聞いてるし」

「えぇ?」

「まあこいつを使うのは完全に無理だなって判断した時だし。とりあえず蠍はこんなものけど、サボテンこんな感じでいい?」

「…大丈夫そうですね」

「まあ付き合ってよ。帰ったら奢るから」

「メロンジュースですよ!」

「合点!」

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