25話〜神無月咲夜とはじめての空想世界(ファンタジー)〜
「おお、フブキよ。何かあったのか?」
「えっと、こちらのリトルスの子についてなんですけど」
はえーよ。今街にいるシオンとオウカさんはともかく他全員揃うの1日かよ。
「サクヤ・カンナヅキと申します。フブキさんと同じ世界で命を落としてこの世界に参りました。フブキさんほどの…それどころか冒険者ほどの力もありませんがどうぞよろしくお願い致します」
「…フブキがこっちきた時の魔法能力の半分もねーな。お前、こっち来て数ヶ月まともに戦ってないだろ」
「大きなイノシシに殺されかけてそれからここに来るまで街で普通に商店の手伝いをして護衛雇ってここまで来ましたからね」
「フブキちゃんがぶっ飛んでるだけだと思うわよ。これなら」
「あはは…」
「多分魔法能力に関しては改善されるであろう。それにフブキ、ガルド…今はシオンじゃったか?2人もおれば今はまだ弱かろうと十分に戦える魔法の素養は少なからずある。近接戦や肉体戦、武器術は保証出来んが」
「あの、結界魔法くらいしか使えない上に結界魔法もまともに使いこなせないんですけど」
「何でこいつフブキ以上に難易度上がってんだよ?干渉魔法がよっぽどマシに見えるぞ」
「そもそもフブキちゃんの干渉魔法むしろ今じゃ使いこなして主力だもんね」
「なんだかんだそうなっちゃってますね」
「結界魔法ってそう言えば化け猫の肉体を封印したアレもそうですよね?」
「似たようなもんだな。封印魔法には結界魔法の派生みたいなもんもまあある。つってもこいつが使いこなすのは最低フブキの魔法能力は必要になるぞ?」
「結界魔法だけじゃ当然戦えないわね。まあ干渉魔法だけでも十分戦えるフブキちゃんもかなり凄い方だけど」
「それな。ドラゴンのブリザードアドまで習得して干渉魔法1つのスペックじゃもう俺らよりは上だからな」
「転移魔法まともに使えませんが。アレ何回かやってると吐きますし」
「それは魔法能力もあるがどっちかっつーとお前の身体の方だろ。問題は。空間の変化っつーのは身体にかかる負荷がデカすぎる。お前の身体がそれに耐えられないだけだ。肉体鍛えろ!」
「マジですか」
「でもこっち来た時より進化もあるけど鍛えてるし大分良くはなってるんじゃないの?」
「まあそりゃそうだが身体能力の伸びは確実にノーラがおかしい」
「ノーラってフブキちゃんの部下のフェルパーの剣士よね?」
「ああ、アレは何つーか俺とフブキで魔法も見てるんだが元の身体能力が既に化け猫以上。ってか伝説のリオより強くなる可能性はある」
「アイツを超えるか」
「じいさん知ってんのか?」
「ああ。知っとるぞ。数百年前にそのケットシーがオルナシアにいた事があってな。今のラグナスの遥かに上の剣技と魔法能力を持っておった」
「マジか…。んで、このリトルスの嬢ちゃんも俺らで面倒見んの?」
「結界魔法自体はコン辺りに教えさせようと思ってるんですけど」
「それでいいんじゃね?」
「あとは攻撃系の戦闘系の魔法も覚えたいみたいで、彼女自身何か出来るわけじゃないですが」
「フブキと同じで光と闇の両方の魔力を持ってる…か。武器術仕込むのよりは楽か。フブキ、そいつと一戦やってみろ」
「え!絶対無理なんですけど!?」
「お前の能力をしっかり調べるんだ。1番手っ取り早い」
なんか成り行きでサクヤと戦う事になってしまうとは。
「いいいい、行きますわよ!?フブキさん」
「どうぞ」
槍を構えてる。攻撃系の魔法はおろか、干渉系も無く結界魔法一本なのね。突っ込んでくるけど圧倒的に遅い。ウインドブーツをかけて回避する。
「攻撃魔法ってあんま得意じゃないけど、今日はこっちで。水よ叩け、水流の鞭、アクアウィップ!」
「光よ守れ、魔法の守護壁!マジックウォール!」
まあまあの光の結界魔法だな。魔法耐性のが高い光の純粋な防御壁か。近接戦に持ち込むか?いや。それだと向こうのカウンター系の結界に防がれる可能性もある。フレイムウォールやウインドバリアなんか持ってたら面倒だ。さてと取る手段は結界魔法をひっぺがすのと次の結界の前に決める手段を探る事。
「あの子の魔法防御力、中々ね」
「フブキが普段攻撃魔法使わねえからそう見えるだけだろ」
「フブキちゃんの攻撃魔法だってそれなりよ?」
「どーだか」
いや、フツーに手抜いてるけど。ガチでってんなら最初からメイスにウインドアドかけてるし。
「結界か。壊してみるか」
「壊せるものなら!」
「魔を持って壊せ、バリアブレイク!」
結界魔法はあっさり壊れる。
「フブキちゃんあんな工作魔法いつの間に」
「半年で色々仕込んだ」
壊れた隙を突いて詰め寄ってメイスを振るが防がれる。
「防御力はあるんだ」
ふむ。壊したところで隙を作ると割と防がれるもんだな。強いとは言えないだろうがあの防御力はあると考えていい。それを崩すのは面白い。
「フブキちゃん笑ってる?」
「アイツの防御はそれなりに高い。それを破る事が楽しいんだろう」
「って事はもう魔法要らなくない?」
「そっとしといてやれよ」
「さーてと、そんじゃ」
コピーメイクとパペッターの分身制作、3人で大丈夫かな。
「増えるんですの!?」
1人にメイスを持たせて1人にフォレストオーブを持たせる。もう1人にエルフさん作のハンマーを持たせる。
ハンマーで結界を強引に叩き割って2人に攻めさせる。ぶっちゃけこの分身共はどうでもいい。
「…貰った」
背後を取って口を塞ぐ。サクヤは触媒とする魔法武器とかは持ってないらしい。口を塞いで腕をガッチリ極める。こうすれば何も出来なくなるのは分かる。構成隠蔽出来る
「そこまでじゃ」
「フブキさん多彩ですのね」
「まあまあ鍛えてるからな。短剣術、剣術、メイス、干渉魔法、工作魔法、感知魔法、気象魔法、回復魔法、禁忌魔法とか。攻撃魔法は微妙だけど。刀剣ベースだし」
「俺のおかげでな!」
「あんたはちょっと黙ってて」
「サクヤちゃんだっけ?童力は使えないの?」
「童力とは何ですの?」
「やっぱそうか」
知ってた。全然使う気配無かったし使えたらもっと攻撃出来るはずだし。
「んじゃここは化け猫相手にボクより凄い童力を操ったフブキちゃんから」
「アレ殆ど俺のじゃない上に大半オウカさんのですよね!?」
「まあまあ」
「コホン、童力ってーのはいわゆるリトルス固有の魔力と違う力で喜怒哀楽の喜と楽の感情をエネルギーに生み出される力で身体能力に還元したりこうやってエネルギーそのものを外部に放出して使える力」
実際に掌に集中させてその後霧散させる。
「楽しい感情…」
真似をする様に掌に集中させる。燃える赤い炎のような童力。似ているようで違う。
「本物の炎だね。それは」
炎を消す。
「こやつの先も楽しみじゃ。っとサクヤと言ったか。他の転生者、御主らの世界の者に心当たりはあるか?」
「それなんですけど、情報屋から買った記事でフブキさんの事も知ったのですがその記事にもう1人」
「レン・ユウキが街を救ったと言う記事…。アイツかよ!」
「そのレンって子とフブキちゃんってどう言う関係?」
「腐れ縁って言うか。遊び相手と言うか」
「でもまあ、街を救ったって言う事はアイツは多分魔法捨てて大剣入手して大剣一本で斬りまくってるって事か」
「魔法は?」
「アイツは多分使えても使いこなせないか使わないかと。頭堅いから大剣さえ振り回せればそれだけで何とか出来る奴だし」
「分かった。あたしも行くわ。スライネまでの大陸間転移なら力になれるわ。シオン!アンタも手貸しなさい!」
「おうよ。んじゃ、ついでに使えそうなパーティ集めとくか」
なんだかんだでこれで解散っすか。
「フブキさん、ちょっといいです?」
「あ、うん」
サクヤに呼ばれて2人きりになる。何つーか。うん、女同士のがむしろやりづれえ関係になってる気はするが。
「結城さんの件なんですけど」
「大丈夫だよ。アイツも女にはなってるが俺と同じでファンタジーの事はある程度大丈夫だ、お前以上には。頭堅いから魔法を覚える気も使う気も無いだろうが」
アイツはそんな奴だろう。ディアボロス自体男女それなりに筋力あるから大剣も振れるだろうし。それなりに。
「私はファンタジーは初めてなので色々不安はありますが」
「町娘とかファンタジー感そこまで無い感じだけど」
「ですわよね。戦闘も弱いですし」
「この世界はファンタジーだけどファンタジーじゃない。だから無理にファンタジーする必要は本来無いんだ」
「すみません。理解出来ません」
「前にはリアルだけどファンタジーって言っちゃったけど、そもそもファンタジー自体は架空とか空想って意味を指す。元々、俺らが思ってた架空の世界のような世界だけど、この世界は現実の物となってしまっている。だからもうそれは元々持ってたファンタジーはリアルになってしまってる。この世界ならもしかしたら俺らの世界がファンタジーかもしれないな。魔法ではなく、科学が世界を造っていく世界が」
「なるほど。理解出来ました」
「さてと、次がアイツかよ。あんま気は乗らねーけどやりますか」
「乗らないんですね」
「アイツうぜぇ」
「面白くなりそうですわね」
「ならねぇよ」
第2章〜神無月咲夜とはじめての空想世界〜 完
今回が2章終わりとなります。1章と同じく数週別の回を挟みます。




