24話〜フブキとサクヤ〜
ドラゴン、それは最強の生物と言われる怪物。天を翔け、街を焼き払い、国を屠り、魔法や火炎や吹雪などの吐息を吐き、気象を操る。そんな生物を手懐けた者は割と身近にいた。
(フブキ様!)
(ヒイロか。どうかした?)
(門番の者がサクヤ・カンナヅキと名乗るリトルスと護衛の冒険者パーティを連れて北門に入れて欲しいと)
(分かった、ノーラちゃんをそっちに向かわせる)
(はっ!)
「ノーラちゃんいる?」
「ここに!」
「北門に俺に会いたいってリトルスの転生者の子が冒険者パーティ連れて来てるから迎えに行って欲しいんだけど、頼める?」
「承知致しました」
「あ、これで一緒になんか美味しい物ついでに食べてきていいよ」
「ありがとうございます!」
(ねえねえ!お姉ちゃん!あたしも興味あるから行きたいのであります!)
(わかった、いいよ)
ヒルダを召喚する。
「よっし!いくよ!5秒で飛んでくよ!ノーラちゃんは特別に乗せたげる!」
「へ?5秒で北門まで飛んでいくスピードは死にます!ってひゃああああああ!!」
ノーラちゃん、生きて帰ってくるよね?
北門。
「あわわ」
各々が武器を構える。
「うっ!」
ドラゴンから人が落ちる。フェルパーの女性ですわね。
「魔力もある。かなりの力だ。この子1人でボクらを皆殺しする力もある。ドラゴンを手懐けるだけはある」
「いたた。違います!私に戦う意思はありません!あとヒルダ様を手懐けてなどいません!あ、とりあえず人化してください!」
「がってん!」
というとドラゴンが女性になるとは。
「やっほい!っと、その子が転生者ちゃんだね!あたしはヒルダ!フブキお姉ちゃんの使い魔なのだ!あ、召喚獣かな。まあどっちでもいいわ!」
「食べられる…」
「食べないよ!」
地味にキャラぶれてますわよね。
「私はノーラと申します。フブキ様の護衛で近接部隊の隊長もになってます。それでは、案内致しますね」
ノーラと名乗るフェルパー。吹雪さんの飼い猫のマンチカンと同じ名前。偶然…いえ、奇跡か何かでしょうか?近接部隊の隊長兼護衛となると相当な地位の方なのでしょう。
街に入る。フェルパーにエルフ、ディアボロス、リトルス、話に聞いた多種族の共生する街と言うのは本当の様です。
「凄い街だね」
「フブキ様とエルフの皆様の設計、開発の賜物です」
「…マジか」
「とりあえずボクらはご飯食べたら泊まれるとこ探したいんだけどさ。フブキ様?には会うのはサクヤちゃんだけだし」
「承知致しました」
「あたしはそろそろいくね!スズネちゃん達と特訓の予定があるんだった」
翼を背中に生やして飛んでいってしまわれました。物凄いスピードですわね。
「ヒルダ様、普通に歩いて数分かかる距離を5秒で飛んで行くとか仰ってましたので」
「それに乗って耐えられるんですの?」
「無理です」
いい笑顔で言いますわね。まあ、無理ですわよね。
少し歩いて店に入る。
「いらっしゃいませ〜」
「お、ノーラちゃん、どったの?」
「メルナさんは店を勝手に閉めてないでちゃんと営業してください」
「え、メルちゃん?」
「フェリルじゃん。どしたの?」
「仕事だよ!依頼で護衛してるの。街についたからとりあえずどうしよっかってとこ」
「あ、こちら報酬です」
「あ、うん」
「ボクもこっちに引っ越したほうが面白そうだな〜」
「フブキ様に私から言えば3人なら住む場所は大丈夫かと思いますが、仕事は研究職、研究職の護衛、狩猟、採集あとその他職人辺りなら見つかるかと。今は兵は募ってないですしギルドという形態も無いですし、我々が勝手に築いた街なので」
「うちくれば魔法研究の方もあとは知り合いにアルケミストもいるし店の手伝いでもさせてあげられるけど?」
「仕事の方はともかくこの街に滞在ってなると…」
「あまり深く考えなくて結構ですよ。正式な国家と言う訳ではないので規律も厳しくなく、6歳のリトルスでも種類によっては働けますし」
「っと、んじゃ、あたしは仕事しますか。この通りに店あるから暇なら来てね〜。魔術師としての仕事でフブキちゃんのとこにいてたまにいない時あるけど」
なんだかんだ話して食事をして店を出る。ディアボロスとフェルパーの2人が店をやっているって言うのは向こうでは無かったですわね。こちらでは皆平等に、分け隔てなくと言うところのアレでしょうか?
少し歩くと大きな屋敷と近くに大きな店。
「これがメルちゃんの店か〜。とりあえずボク達は店にいるから」
「はぁ」
まあお仕事も終わってますし。特に問題ありませんが。
屋敷の中を案内されて大きな扉の前。
「失礼します。ノーラです。サクヤ様をお連れしました」
「入っていいよ〜」
ついにフブキさんと…。
「…えっと。フブキ様、こちらがサクヤ様です」
「あ、うん」
「トウカさんに頼んでお茶の用意をしてもらってきますね」
「べ…」
行ってしまわれました。
「…えっと、私が最後にあった時に作ろうとした料理って覚えてます?」
「ターメリック、カルダモン、クミン。確かカレーを作ろうとしてたのを止めた記憶はある」
「吹雪さん本物で間違い無いですわね」
「女になるとは思いもしなかったけどね」
「口調もそこそこ丸くなったようで」
「そこらの部下に多少矯正された。まあそれでもまだ完全って訳じゃないが」
「これなら髪伸ばしても美しいのに…」
「切った」
「はい?」
「邪魔なんだよ。この世界では殺し殺されがある世界だ。リアルだけどファンタジーなんだ。生まれが違う自分に身なり立ち振る舞いを気にしながら戦う余裕なんて無いよ。気を抜いたら命を落としうる世界だから。自分はPCじゃない。自分だから」
「ご最もで」
「まあだからと言って怯える事も気を張る事も無いんだけどさ」
「そうですか」
で、サクヤさんの視線が胸に突き刺さってるんですが。
「女って意外と他人の視線気になるもんなんだな」
「あの、どんなイカサマしたら胸大きくなるんですか!?」
突っかかってくる(物理)。
「あ、ちょっ、やめっ!」
「失礼します。…あ、どうぞごゆっくり」
「ノーラちゃん!?ナチュラルにスルーしないで助けて!」
行ってしまわれた。そしてノーラちゃんが来てくれただけでとりあえず助かった。
「…うむむ。私もせめてこのくらいあれば。本物の女子が負けるとかあり得ない不平等では!?」
「助かった」
「…このお菓子、クッキーですわね」
「ああ、うん。エルフが街に来て色々食材も豊富になって作れそうだから試しに菓子類とか料理とか向こうの世界のを色々教えてみた」
「相変わらず女子びっくりの女子力ですわね。しかもフブキさんの味の再現度の高さ」
「うっせ」
向こうの菓子や料理はいくつか教えておいて正解だったな。大体エルフのおかげだが。
「で、こんな街に人雇って何を?大変だったろうに」
「フブキさんの下、と言うよりは同じ境遇の転生者とやらの傍に身を置いたほうが色々都合が良いかと思いまして」
それは助かる。
「とりあえずあの辺りの区画なら確か空いてるしここから近い…」
「フブキさん?」
「うちに住んでもらっても構わないんだけどさ。働ける場所で直接住めたほうがいいだろうし。流石に知り合いに侍女はさせられん」
でも、仕事あってお金あった方が色々便利だろうし。
「クッキー美味しいですわね」
「あ、うん。それは美味しい。じゃなくて、元々いたところで何かやってたとかある?」
「フォルナシアの街で商店で住み込みでアルバイトを」
「そういう系なら候補はあるか。あとでいいや」
「あと…。それならフブキさんの身体を色々調べてみたいものですが」
「容赦無いねキミ。同じ事していいんなら」
「フブキさんなら構いませんわ!」
「構えよ!しょうがない。行くか。ついて来て。多分今空いてるだろうから。そこまで覚悟してるなら問題無いだろうし」
「はい?」
公共浴場。
「あれ?姫様こんな時間に来るのは珍しい…。しかもお初のリトルスちゃんもいる」
「サクヤと申します」
「あたしはコン。フブキ様ももう1人の護衛って感じね。ノーラちゃんと違って魔法サポートベースの」
「今って他誰かいる?」
「いません!」
「とりあえず2人で話したいからしばらく人止めといてもらえる?」
「承知しました!」
服を脱衣所で脱いで温泉に入る。まさかサクヤと入る事になるとは思いもしなかったが。
「ホントに女の子ですわね」
「マジでな」
「自分の身体でエッチな事ってしたんです?」
「いや?女になった時は生命の危機でそんな余裕無かったし街出来て生活落ち着いてきた時にはどうでも良くなってたってかそもそも興味ねぇし」
「フブキさんってそうでしたわね。お背中お流ししますわ」
「あ、はい」
ボディタオルもエルフ様の技術。リトルスの柔いこの肌も問題無いと言う。あいつらガチで何もんだよ。
「情報屋の紙面で読んだんですけどフブキさんフェルパーとディアボロス、リトルスの軍を率いて化け猫とその支配下のフェルパーの軍を鎮圧したらしいですわね」
「まあ英雄呼ばれた方々とか現使い魔のあのドラゴンとか色々あったけどさ。自分でも数十人ヤってるし無力化してるし」
「凄いですわね。一体どうやって」
「魔法だよ。戦闘術も身に付けたし幸い魔法を習う師にも恵まれた。武器を強化する魔法を軸に相手の行動を封じる魔法なんかも使えるしまあ戦闘はそれなり」
「よくそこまで」
「おかげでこの世界の事もこの世界の魔法のシステムも理解出来たさ」
「魔法のシステム…」
「別に咲夜が今無理する必要は無いさ。戦わない選択肢があるんならそれを選ぶに越したことはない」
「結界魔法と絶望的な武器術だけで戦うのも無理があるって分かってますもの。でも、私は強くなりたいです」
「まあやる事やってみますか。ってひゃっ、無言で胸はやめろ!」
普通に仕返す。
「わっ」
「…ポンデルちゃんよりはあるっぽい」
アレだ。他種族とは比べてはいけない。ディアボロスのお姉様方とかフェルパーの子達とかエルフの方々とか…。
「他の方々にもやってるんですの!?」
「やってるからやり返してるくらいのスキンシップはぼちぼち。まあノーラちゃんとかスズネさん辺りをモフってるのはやり過ぎかなって自覚あるけどあのしっぽともふもふはたまらん」
「…そう言えばノーラと言えば吹雪さんのお宅のマンチカンの女の子、お母さんの方がノーラと言う名前ですわよね」
「性格は違うけどいい子だよ。こっちのノーラちゃんは。うちの剣術で最高位の実力もあるしその上、俺の魔法を使ってない時の全力より疾い。最速と最高の剣技を併せ持ってる。その上によくしなる柔軟な身体から繰り出す流れる風のような剣の振りで技と疾さの両面で相手を翻弄する。それと今は俺が干渉魔法も教え始めてる。何でだろうな?似てないはずなのにあっちのノーラと重なるところがたまにあるから色々見たくなっちゃうんだよ」
お湯で身体を流して交替する。まあ今更っちゃ今更だが慣れたな。ただ向こうで知り合いってのもあって若干気になるとこはあるけど。
「普通に丁寧にやっているのは驚きですわ」
「ノーラちゃんとか一緒に入ってくると大体の子とか侍女とかその他部下と入る事あったからもう大体慣れた」
「なるほど」
「…サクヤさ、戦闘してないかどうかはともかく身体動かしてないな?」
「うっ」
「脂肪が少ないのは置いといて筋肉も少ない。体力、身体能力自体低い。んでもって魔法も使ってないだろうから回路や変換効率にも影響が出てる」
「そこまで分析出来るんですか!?」
「勉強も修行もしたからな。エロい師匠が魔法より便利な技術とかも教えてくれるし」
「エロい師匠…」
「この地で英雄と称された黒魔法使いガルド。かつてディザスタージャイアントと言う最強クラスの怪物複数体相手に自爆系魔法で道連れにして大陸を救った英雄の魂を回収して高校生くらいの人間の女っぽい依代に固定して自分の監視下に成り行きで置く事になってる」
「凄いことしてますわね」
「今あのドラゴンちゃん達の修行つけてるはず」
「そうですか。あの、そう言えば吹雪さんの友人のアレ、結城蓮って人、女になっちゃってますけどその人の情報があって」
「分かった。それは後で聞くよ。色々聞いて欲しい人がいるからさ。あと俺の転生前は生涯黙っててください。ガチで」
「分かりました。そっちの方は色々面倒になりそうなの分かってますので絶対言いませんよ」
新しい転生者の情報か。よりによってあいつかよ。まあいいや。何か進展があるならそれはそれでいい事だし。そう言えばアイツも女になってんだったな。




