16話〜目覚め〜
16話より、第2章が始まります。
「んっ」
天井?どこだここ?いやマジでどこだよここ!?えっと、確かフェルパー、化け猫を必殺技覚醒して倒して、よし、記憶はある。次にガルドさんが昔の事話し始めてそれが終わって怠さ感じて意識、飛んだ?
身体を起こしてみる。今は痛みも熱さも怠さも無い。あるとすれば、切った髪が伸びている点とあと絶壁から胸が生えてきてる。
「ん!?」
柔らかい。いや、待て。何故一晩でこうなる?しかも有り得ない成長具合。質量とかどこから来たんだこれは。うーむ、分からん。ってか着てる服変わってるし下着まで。いやちょっと待て。
コンコンと扉が叩かれる。
「ポンデルです。失礼してもよろしいでしょうか?」
「あ、うん」
あ、うんじゃない!どうすんだこの格好。下着見えてるし髪ボサボサだし。もういいや諦めよう。扉が無慈悲にも開かれる。
「あ…。お手伝い致しますね」
ポンデルちゃんもなんかビジュアル変わってる!少し成長してる!とりあえずそれは置いといて手伝って貰って服を替える。
「えっと、私も聞いた話なんですが私含むリトルス中核方はリトルブレイブ、フブキ様はリトルプリンセスという上位種に進化したようです」
プリンセス、姫、か。あの必殺技みたいなのも習得したしまあ分かる。次使う機会無さそうだけど。
「どのくらい寝てた?」
「2日くらいですね」
2日か。そう言えば変な夢見た気がするけど…学校?まあいいや。
「朝食食べられます?」
「あ、うん。食べるんだけど」
その前にトイレ…。
「とりあえずトイレ…ってかどこここ!?」
「フェルパーの集落です。そう言えば着替え等はトウカさんがやってくれてたので不安になる事は無いかと、運んだのは男性ですがトウカさんが手は出させていないとおっしゃってましたので。あ…お手洗いですね」
トウカってあのディアボロスの子だったな。
とりあえず外に出る。身体は普通に動くな。髪を纏めてポニテにする。
で、トイレ、めっちゃ混んでる!?時間が時間…だからなのか?とりあえず状況を整理する。フェルパーやディアボロス、リトルスがいっぱい。詰んだ。もう漏れる。
「もう無理ぽ」
「あ、姫様!」
姫?俺が?どゆこと?俺が寝てる間に何があった?
「どうぞ私は大丈夫ですので」
フェルパーの女戦士か。1人が譲り始めると次々と譲り始めて結局なんとか間に合った。
「…ふう。終わったかと思った」
っと、早く出ないとまずいな。外に出てさっさとここを退場しよう。
「はっ!やっ!」
聞いたことのある声、ノーラちゃんだ。誘われるように声の方に向かって行く。ヒイロと剣の特訓をしているのは…誰だ!?美しく光を反射するもふもふの銀色の毛並み。しかもそこそこの魔力も持ってる。
「あ、フブキ様!」
「ノーラちゃん!?」
「はい!フブキ様からお力を分けて頂いてなんと!ケットシーへと進化を果たしたのです!しかも魔法も使える…って言っても魔力があるだけでまだ習得してませんが使えるようになりそうです!」
やばい。これは堪らん。もう無理。
「えい」
「うみゃっ!フブキ様!?」
しっぽもふもふ。やばい、癒される。
「フブキ様がフェルパー族のもふもふの犠牲に…。ケットシーへと進化してさらに質も良くなって」
ぶっ倒れた。赤面してプルプル震えてはあはあしてる。ヤバい。やり過ぎたか。やらかしてはいないな。
「大丈夫ですか〜」
「はい、まさか来られるとは思ってなかったので」
ポンデルちゃんが手差し伸べてる。
「…で、出来れば、先に言ってくれれば、時場所場合考えれば構いませんので」
「了解」
「で、フブキ様はこれからどう言う…」
「お腹空いてるけど、先にお風呂?」
「ご一緒します!」
「では、朝食の支度を頼んでおきますね」
「あ、うん」
まあいいや。ポンデルちゃんと別れて、とりあえず温泉に向かう。この時間は人が少ないが、何人かいる。ディアボロス、フェルパー、リトルス。仲良く喋ってたり、バラバラだったり色々。何も言わずともノーラちゃんが背中を流してくれてる。
「いいですね〜種族問わずお風呂入れるのは」
そういうものなのか…。
「そう言えば毛の色変わってるけど変色したの?生え変わったの?」
「色変わったようですよ?目覚めた時に抜け落ちた毛も無かったので」
ノーラちゃんは体毛、髪と尾の毛の色が変わっているが体型はそこまで変化は見られない。脂肪分が筋肉に置き換わって見た目には分からない変化が起きていたりするのかもしれないけど。
髪も洗われ、交替する。ノーラちゃんの髪さらさら。しかも美しい。で背中。身体しっかりしてる。脇腹を掴んでしまう。
「うーむ、鍛えて筋肉つけなきゃ」
「フブキ様はそこまで筋肉必要無いのでは?魔法を使いこなして童力も使えて筋力をカバー出来ているようですし」
「干渉魔法とか覚えてみる?剣術と合わせればかなり強いと思う」
「アレは確かに使いこなせれば強そうですね。うみゃっ!?」
しっぽも流れで洗ってしまう。
「しっぽは自分で洗えますので…んっ。あっ!」
「はいおっけー」
「うっ。でも綺麗に洗えているので酷く言えない…」
「それは良かった」
髪を纏めてもらって温泉に一緒に入る。
「やっほー。フブキちゃん目が覚めたって聞いたよ〜。おぉ!おっぱい成長してる!」
メルナさんが来た…。けどこの人も進化してる。胸大っきくなってる。
「そこどうでもよくないですか!?ってメルナさん!?」
「あたしも進化出来たよ!ソーサレスデビル!」
ソーサレス…魔法系特化タイプか。
「ふぃー。おちつく〜。コンちゃんがうるさいから逃げて来ちゃった」
コン、ディアボロス軍中枢の1人。
「うるさいとは失礼ね!おっとり能天気悪魔!」
「ひどっ!」
「ったく、アンタみたいのがいるせいでディアボロスの格が落ちるのよ!」
「街で商いやってのんびり生活するのも悪くないよ?長生きしたいからね〜」
「…肥えて牛にでもなってしまいなさい!っと、ご一緒させてもらうわ、お姫さま」
「牛って…酷っ」
ツノ2本生えてる系悪魔に牛って暴言…。ってかこの世界牛いるんだな。それはそうと結局姫ってどう言うこった。
「しかし、剣術、魔法、リトルスとしての戦闘力。どれをとっても見た限り最強の部類。しかも数多のフェルパーを斬る剣士で森最強とか」
「結界魔法とかも面白そうだけど扱いこなせなさそう」
「まあコントロールが結構繊細な部類ではあるわね。広い範囲より狭い範囲の厚い奴のが実は難しいわ」
「俺捕まえようとした奴!」
「そう。まあ、本来攻撃には不向きね。防御や感知なんかが主な役割って訳」
まあ結界ってそう言うもんだよな。そう言うのの扱いは多分不向きだ。扱えるかどうかではなく個人の性格とかそう言う問題で。
「でも、戦いが全てじゃない。必要なのは自分の得意分野を理解し、遂行すべき役割を果たす事。姫さまは分かってるでしょ?賢いし」
「知ってる」
コンに抱えられる。で、乗っけられる。
「何!?」
密着してる。いや、うん、今更興奮とかしないけど違和感しかない。
「なんだこれ」
しかもがっちりホールドされてこの体勢だと多分逃げられない。諦めよ。でもそこそこ逆上せてきてる。あと腹減った。
きゅううとお腹が鳴る。
「うっ」
「まだ朝食べてなかったの姫さま?ならトウカに作ってもらって食べてくれば?」
「あーうん。そうする」
漸く解放されてノーラちゃんと温泉を後にする。尻尾のもふもふとつやつや感が凄い事になってる。
「フブキ様、ノーラ様、おはようございます。フブキ様ご立派になられましたね」
「あ、うん」
「そう言えばフブキ様方がお眠りの間の事って何か聞いてます?」
「実際見た話が殆どだけど、自分とポンデルちゃんを始めとしたリトルス、あとはノーラちゃんとメルナさんが進化してたくらい」
「その辺はまあ意味はありますが割と重要ではないですね」
ですよね〜。知ってた。
「まあ誰がフブキ様にお伝えしてもいい内容は伝えさせていただきます。
まず、フブキ様の傘下に森のフェルパー、ディアボロス、リトルスの大半の軍が加わりました」
「んん!?規模は?」
「20万満たない程度ですね。殆どフェルパーですが」
「つまり、先の戦いの生き残りほぼ来ちゃってたりする?」
「そうなりますね」
「20万って管理どうこう以前に物理的に住むの無理じゃね!?」
「各々が少しずつフェルパーとリトルス中心に開拓を始めてますがまだですね」
「20万が住める場所を築き上げると、そっちに土地割いて結局餓死するスパイラルに入るんじゃないの!?」
「フブキ様がそこを察知して下さって助かりました。フェルパーやリトルスは目先の事重視で長期的な結果を余り見ませんので」
いやいや、感心してる場合ではなくてだね!?
「これが我々にどう動くかは分かりませんが、エルフが動き出したと聞いております」
「エルフって森の精霊とかの血を引いてるとか言う」
金髪で尖った長い耳と言う特徴的なビジュアルはちょいちょいファンタジー系のロープレとか齧ってりゃ割と誰でも知ってるような奴らだ。
「そうですね。戦闘力はかなり低い部類ですが、リトルス以上の技術力を持つ種族で魔道具とかの開発能力は凄まじいです」
あれれぇ〜おかしいぞぉ〜?俺が知ってるエルフと全然違う。
「割と胃は丈夫で何でも食べるんですけどあまり身に付かず結局身体能力は低いらしいです。魔法はリトルスよりは上ですね。一般的には」
リトルスが童力と言う名の怪力含む身体能力以外一般的にほぼ劣化エルフな件。
「ちなみにエルフと揉める事になれば?」
「我々が物理的に鎮圧出来ます。100パーセント」
「ダメでしょーが」
「100人程度でしたらフブキ様は勿論、ノーラ様でも1人で鎮圧出来ます」
「ノーラちゃんどんだけ強くなってんの!?」
「剣術に身体能力が加わってほぼ最強格のフブキ様の家臣でしょう」
「ちょっと待ったぁあああああああ!」
アレだ、あのドラゴンだ。
「フブキ様の家臣最強はあたし!ヒルダよ!」
「あの乱戦時に突如空から降ってきた氷魔法使い…。バハムーン族ですか?」
「いや?氷系のドラゴン。マジもんの」
「ここのサイズなら大丈夫かな。広いし」
本当にドラゴンに戻ってみせる。
「こんな森に居たんですね。これほどのドラゴンが」
「いないよ?あたしはたまたま引っ越し中に降りて休んでたらやりたい放題されて死にかけたわけだし」
「で、何しに来たの?」
「フブキ様にお仕えすべく!来たの!」
相変わらずキャラ定まってねえ。
「いや、うん。ヒルダがいいならいいけど」
「なら、召喚契約ね!きっと役に立つわ!」
「ごめん、やり方知らない」
召喚魔法とか覚えたら変わるかも。ってか召喚魔法も結構ロマンあるよな。
「朝ごはん、食べてからにしませんか?出来てますよ?」
鮎を焼いて何らか香辛料をかけて味付けしてある。あと、あの団子も味付けしてあって、それと何らかの汁物と果物。普通に美味しそう。
「うま」
この団子、この地域の主食らしい。米や麦は殆ど無いと言う。もうこの際いいけどさ。
「そう言えば化け猫の魂ってどうなるんだろ?」
ガルドさんが何かやってた気がするけど…まあいいや。果物を食べて食事を終えて場所を変える。ついでにアステルさんが増えてる?
「で、そっちのバハムーンとフブキが召喚契約すると?」
「あたしはバハムーンでは無い!」
変化の魔法?を解いてみせる。
「氷龍系のドラゴン…。この大陸にはいないはず」
「あたしはファイランドの極寒地帯で暮らしてたわ」
「何故こんなとこまで?」
「暇つぶしに近所に降りたら猫集団に囲まれて思いっきりやられた」
「そんな弱そうに思えないけど」
「寝ぼけてたとこ突っ込んできて何か理解出来ないまま死にかけてた」
え、え〜?寝ぼけてたのか。そこ衝撃。
「そこをフブキが?」
「回復魔法と干渉魔法を使いこなして怪我を治して新鮮な肉も置いてってくれて復活って感じ。で、まああとは流れでフブキ様の生涯お供しようと。リトルスの寿命以上は十分生きられるので」
「数百年生きるってどんな感じ?」
「面白いよ!文化の発展を見れば荒廃も見てきた、喜びも、怒りも、哀しみも、楽しさも」
「そっか、数百年あれば文化の変化そのものをまるごと見ようと思えば見れる」
「人に化けてね。今度はフブキ様の数百年付き合わさせて頂くわ。じゃなくって!召喚の契約!」
「あー、そうだった。一応現時点で双方の合意はある?」
「うん」
「もちろん!」
「なら、双方が合意出来るフブキが使う召喚陣、詠唱を決めればいい。実力がつけば詠唱は省略出来るだろうけど」
「召喚なら魔法陣のが都合がいいわね」
「詠唱魔法しか使った事無いんだけど」
「大丈夫。イメージで魔力の線で描く感覚」
「理解は出来た」
「龍、氷の性質、召喚、それらを合わせて、文字と…」
大体のイメージは付いた。それでなおかつ覚えやすいもの。
「これだ!」
「承知致しました!」
ヒルダが魔法陣に手を重ねる。
「契約完了!」
ヒルダが転移魔法で姿を消す。そして試しに魔法陣を発動させると人モードのヒルダが召喚される。
「問題なく発動したね」
「あの…」
「どうかした?お姉ちゃん」
お姉ちゃん呼びなの!?急に!?いや、どう見てもアンタが姉だろ。まあそこはいい。
「出来れば氷魔法もいただければなーと」
「合点承知!」
ててれてってってってー。高位氷魔法をいくつか覚えた。ブリザードアドDを始め、使いやすい物も多く攻撃もあるから結構バリエーション増えるな。
「フブキ様!こちらでしたか」
ディアボロス軍隠密グンジョウ。かっけえなこの人。
「どうしたの?」
「はっ。大陸の英雄の方々がフブキ様に」
「分かった」




