15話〜フブキと猫の歌〜
化け猫に数発魔力弾を撃ち込む。ダメージはあまり通ってないな。こいつでは弱らせられないか。化け猫の身体を解析する。
化け猫の身体は殆どが魔力で実体はほぼ無い。意識は魔力に奪われ、自我は無い。この巨大な猫の姿の内側にはフェルパー…猫又のような生身の肉体が沈んでいるのが感じ取れる。
「こいつ、もしかして実体ほぼ無かったりします?」
「そう考えて良さそうだな」
さっき貰ったスキルを確認する。童力をリトルスから集めて自分の力に変換させて使う技。所謂オラに元気を的なそれか。
「封印は俺がやる!お前は化け猫を押さえ込め!お前の力なら結界を透過出来るし壊れない!」
「了解!」
俺の童力はエネルギーを喰らう力、奴を構成する物が魔力なら。いや、でも、やるしか無い!
「みんなぁあああああああ!俺に童力をちょっとずつでいいから分けてくれえええええええええええ!!」
ネタに走ってしまったのは反省している。まあそこはいい。戦争に参加しているリトルス達楽しい感情めっちゃ湧いてんな!?元気有り余ってんな!?意外とびっくりだよ!?
バランスボールくらいの大きさになる。
「流石フブキちゃん、ボクの分、ありったけもってけぇえええええ!!」
バランスボールから体育祭に使われる大玉くらいになった!?オウカさんぱねえ!さらにそこまで巨大化した童力は俺ごと宙へ浮かび始める。は?訳わかんねぇ!?とりあえずこいつを化け猫目掛けてぶん投げる。すると浮力を失い落ちる。
「わーっ!」
そこをガルドさんがキャッチ。
「いてて」
「上出来だ。終わらせる」
みるみる化け猫は小さくなり、中の猫又っぽい人の姿が倒れているのが見える。魂と肉体を切り離してガルドさんが魂を取り込み、肉体を封印する。
すると周りのフェルパーや猫又達は力を失い、次々と倒れる。どうやら、気絶しているだけで生きてはいるようだ。
「ふぅ」
魔力も体力も有り余ってるが気力はヤバい。
「ご苦労であった。流石、我が弟子だ」
「あはは…。ってかヤバいです」
なんか身体がちょっとダルい。下手したらそのうちぶっ倒れるかも。そんな感覚すらある。
「フブキ様」
「みんな…」
「ふぅ、すごい力、手にしたね」
「発動条件キツいですけどね。ってかもう流石にヘトヘトっす。っとその前に。これをみんなに返さないとな」
化け猫から奪った力を癒す力に換えてリトルスの皆にに返す。オウカさんに多めで。
「さてと、帰るか」
「ちょっと待った。女神、まだ時間はあるな?」
「たっぷりと」
「アイリス達と合流する」
別の場所に飛ぶ。
「アイリス、カーディア一緒にいたか。丁度いい。あとは、アポート」
「うおっ!」
「何だ?」
「ラグナスとカーディアをアポートしたか」
「ガルド、どういうこった?説明してもらうぜ」
「ああ、説明するさ。ディザスタージャイアント召喚の真相を、俺の死とオウカの努力と」
「…ガルド!」
「フブキもその気になりゃ簡単に覚えられる。記憶に干渉し、視覚と聴覚で記憶を観せる魔法だ。魔を持って記録と記憶を呼び覚まし、映せ、メモリービュー」
オウカさんの記憶に干渉し、映像として映し出す魔法…か。
〜
『オウカ、お前じゃディザスタージャイアントを倒すのは無理だ!逃げろ!』
『そんなこと言ったって!出来るわけないよ!私だって…』
『つべこべ言うな!お前がいると邪魔なんだよ!』
ディザスタージャイアント5体が映像に出ている。子供が見るテレビ番組の怪獣のようなサイズの巨人、アレを人間と大して変わらないサイズのガルドさんが立ち向かう。ってマジか。
ガルドさんがオウカさんを転移魔法で飛ばそうとしている。さらに別の魔法がそこで発動している。
『あとは任せた。お前は1人倒した。俺も1体倒した。それでいいんだよ。だから事後始末は任せた』
転送魔法で消える。そこでガルドさんの視線に切り替わる。
『さてと、まずは、1体!闇よ貫け、漆黒の魔槍ダークスピアブラッドD!』
地面から無数の闇の槍が巨人を目掛けて襲いかかるが貫くのに時間がかかる。
『やはり魔法抵抗高いか。』
エクスプロージョンを構成隠蔽して発動する。それもただのエクスプロージョンじゃなく、チェインで連鎖する。そこで一体の巨人が倒れる。
『さすがにエクスプロージョンのチェインははそう撃てるようなもんじゃねえな。仕方無え。最期だ派手に行くぜ。己の血を、身を捧げ絶望の力に換えよ、ブラッドバースト!』
最強の自爆魔法が4体の巨人を灰にする。
〜
「これが巨人を葬った真相だ。オウカにテレパスで俺が特定した巨人の召喚者の暗殺を依頼した」
「アイリスが1人、ボクが7人殺した。でもまだ何人かは見つけられていないんだ。ガルドが言ってた人以外は」
「なんだと!?」
「薄々感じておったわい。ワシはな」
「カーディアはそうだろうな」
「ブラッドバースト…嘗て魔王が使ったとされる国を焼くほどの自爆魔法、高い威力のまま最小限に範囲を留めるって」
「ま、俺なら余裕だわ」
「とりあえず、話すべきだと判断した事は話したぜ。俺は」
「そうか…逝くのか?」
「無理だよ。俺の魂がこっちに縛られてんだ。俺自身に未練があるのかどうかもわかっちゃいねえが」
「フブキか?」
「かもしれねーな」
え、俺が未練?弟子としてとか将来的な奴か。
「アンタを成仏させずに魂をこっちに縛り付けておくのも」
「勘弁しろよ。まあそれはそいつらに委ねるさ」
「そう言えばフブキちゃん、1ついい?」
「何でしょう?」
「干渉魔法を使う剣士の女の子…なんかな?化け猫騒動の張本人を気配を消して背後から剣で刺し殺してたんだけど。フブキちゃんによろしくって。敬語口調の女の子かな。ちゃんと顔とか見えてないけど声は女の子だし多分女の子の剣士だと思う」
聞いてた話だと青葉と神無月は該当しないだろう。しかし、この大陸にいると聞いている知り合いは2人、こんなハイペースで大陸を渡って来るとは思えないのだが、剣士で干渉魔法、女性となると該当者が彼女しかいなくなってしまう。
「小鳥遊優、ユウ=タカナシが該当者なんですけど、そうなると明らかに行動ペースが早い気はします。でも辻褄は合ってしまう」
「了解、調べてみるわ。一応」
「分かりました」
すると、終わって安心したのか、疲れてよく分からないが倒れてしまう。そしてそれとほぼ同じタイミングで湿地の方から歌声が聞こえる。
「勇気の剣〜心に宿し〜いざ起たん〜我らの希望〜勇者ケットシー」
前と同じ歌だ…フェルパーの英雄、ケットシーを讃える歌。でも、この声、ノーラちゃんか?ソロパートに入った…何だっけ?アリア?あんまよく分からないけど…綺麗な声。
「意志の〜刃〜構え〜て勇ましく〜戦う〜我ら〜の〜光〜英雄〜フブキ〜」
ん!?んんっ!?何で!?俺!?歌詞に入ってるの!?
ってか…。
「熱い」
身体の内部から焼ける…融かされるんじゃないかってくらい熱い。
この歌の意味が謎に包まれたまま意識を手放してしまった。
フブキが意識を失った後…。
「ふっ、計画通り」
「ガルド!フブキちゃんに何をしたのよ!?」
「前に言ったろ?いい意味で倒れるようにするとかどうとか」
「確か…に…言ってたわね」
「フブキ、まさか、化け猫や猫又、フェルパーを屠った事で大量の経験値を、強くなる為のエネルギーを蓄え、進化を迎えると言うのか!」
「ああ、そうだ」
「こいつがどう変わるか、どう強くなるか、楽しみだ。さてと、おい、女神!」
「何でしょう!」
「とりあえずこいつをフェルパーの村まで運ぶ!それまでは身体持たせてくれ!」
「なるほど、いいですよ。そのくらい、朝飯前です。文字通り。あ、私は別に朝飯は必要無いんですが。どう進化するかは私にも分からないので楽しみです」
第1章〜転生少女フブキと猫の歌〜
完
第1章はこれで終わりです。ほぼ毎回数話、本編と異なる話を章の間に挟みます。




