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異世界転生幼女の英雄譚  作者: ひょうか.みかん
第1章〜転生少女フブキと猫の歌(アリア)〜
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12話〜勇者を讃える歌(合唱)〜

 ポンデルちゃんが7名程連れてきてる。

「フェルパーは聞いてるけどディアボロスいるって聞いてないんですけど!殺される!」

「ビビりすぎだよ〜。リトルスの皆様。あ、大丈夫、そこのお兄さん方はともかく、あたしは街の商人だよ」

「おいお前」

「バリアー!」

構成隠蔽で物理防御系の魔法障壁張ってる。

コンコンとバリアーを叩いてる。

「これはフィジカルバリアですね」

叩いて大丈夫なやつかよそれ。自分もつられて叩いてみる。

「硝子の窓叩いてるみたいだ。でも硝子より確実に硬い」

厚さ1センチくらいか。

「弓は余裕!ワイバーンの爪くらいなら弾けるよ!」

魔法を解析して構成を調べる。

あ、割と簡単に使えそうだ。

「光よ弾け。力の障壁、フィジカルバリア!」

「え、うそ。詠唱知らないよね?」

「構成を解析してみたら割と簡単だった」

「すごっ」

「フブキ様、そのような事まで」

「すごい!」

 えっと、ディアボロスのコンって子に懐かれた。そしてリトルス、フェルパー、ディアボロスの3種族の化け猫討伐作戦会議が始まった。で、メルナさんとコンさんが揉めてるところをトウカさんがひょいと抱えて膝の上に乗っける。30キロ満たないであろう俺の身体は女性でもあっさりなのか!?で、膝の上に抱きかかえられて座ってるとですね、ちょうど頭の後ろにとんでもなく柔らかいモノがジャストフィットしてくるわけですよ。ヤバス。じゃなくって!化け猫を討伐するに当たって、決戦の地はおそらく森の中にある湿地帯だそうだ。化け猫が力を蓄え、拠点にしているらしい。

「湿地帯での戦闘か…。まずいな」

「足場悪いですね〜」

「そんなとこで戦った事も無いからな」

「ウインドブーツを使えば強引に…」

なるほど。そういう事が…出来るのか?

「ガルドさん、それ、出来そうです?」

「お前なら多分いけるぞ」

 とりあえず保証された。どっちにしろ戦略の軸はウィンドブーツに属性付与だろう。色んな魔法使ってみて刀を強化してメッタ斬りが一番ヤり易いって何だよそれ。まあ使えるのは使えるし中長距離くらいの攻撃魔法も併せてオールレンジ対応するか。何で俺、アタッカーしてんだろ、ほんと。魔法ならどうせなら白が良かった。使えるけど。

「とりあえず、行くなら夜襲だと思うんだけど、ガルド、アスちゃん、フブキちゃん、どう思う?」

俺に聞く!?

「俺は賛成だな」

「私も特に異論は無い」

「夜に湿地帯とか割と不安ですけどそれが賢明な判断ならまぁ乗りますよ」

「そう言えば湿地で戦うのは初めてか」

「フブキちゃんの身体能力の高さを生かした剣術メッタ斬りはちょい厳しいか〜」

「まあ皆さんが鍛えてくれたおかげで攻撃魔法や他にもいくつかの魔法も使えるんで無理に剣術に頼らなくても」

「猫又1人とフェルパー20人少し相手に1人で向かって皆殺しでしたよね」

「フブキちゃんそこまでしたの!?」

「猫又に打たれて腕折れるかと思いましたけど」

「いやむしろ何で折れてないの」

「色々神様のお力が」

「そう言う」

「で、とりあえず軍の配置はどうしよっか?」

「リトルスの軍は魔法能力低めなので突っ込んだ方が強いかと」

リトルスは元々、転生した俺みたいなのが特別なだけで基本的に魔法能力はそこまで良くはないらしい。ただ、使える者自体はヒューマンより多く、ヒューマンよりは魔法能力はある。

「フェルパーも同じですね。リトルス以上に魔法能力は低いです」

フェルパーも同じ、強いて挙げるならリトルス以上の機動性くらいはある。多分。素の力は多分フェルパーのがあるが、リトルスには童力がある。フェルパーは見る限り体格面は人間、この世界のヒューマンと変わらないだろう。多分。

「ヒイロ、ディアボロスの軍で中長射程魔法や弓を扱えたりする後衛ってどのくらい?」

「3〜4割くらいかと」

「了解。そうするとまあ大丈夫か」

「何が!?」

「軍の構成はリトルス、フェルパー、ディアボロスの各々の小計を均等配分して多方から囲うように攻める。この時、重要になるのが、回復魔法を含む補助魔法要員、および後衛になる魔法使いはある程度人数固めて守る。フェルパーとリトルスでカバーし合えるような立ち回りを常に意識する。

いくら数的不利が絶望的でも無理に1人で数討つ必要は無い。それは俺がやるし最悪自信満々なディアボロスの方々に任せる。

数討つ必要があるとすれば、化け猫を鎮めて状況が収束しない。術者が何とかならなければ状況が変わらない場合であって、化け猫優先して片付けてそれで終わるならそれでいいと言う事」

「分かった。化け猫は俺がヤる」

「あたしもー」

「私も」

「お前らはフェルパーのついでに猫又の相手してろ」

「えー!?」

「了解」

オウカさんが納得してない。

「俺とフブキで何とか出来る」

「は!?ちょっと待ってください!?何で俺混じってんすか!?」

「お前の主人としての真価見せてみろよ。どうせ俺は逝けなきゃアイリスとかオウカとかあたりにお前に固定されんだろ?」

「うぐ」

オウカさん、マジっすか。

「俺、今はとりあえずって感じですけどこの人要らないんですけど」

「おい」

「…大丈夫。フブキちゃんに憑けたままって事は無いから」

「依代の錬成」

「俺、使い魔的なポジになるってのか!?」

どうやらそうっぽいっすよ。ガルドさん。

「まあ肉体?依代得られるなら仕方ない。妥協するか。いや、ちょっと待て」

「何?」

「新しい身体で俺の本領発揮出来るか?」

「それはフブキ次第。素材は集めとくからフブキが作る」

マジで!?

「ってかどうやって作るんですか!?」

「イメージを素材に反映出来る。外見に合わせて器官も形成される」

「…まあ、進化してからじゃないと出来ないけど」

進化…。てってってってってってってーれ。

いやいや。

「その話はひとまず置いといて。ガルドはフブキちゃんの分身でどのくらいの力出せるの?」

「分身と言えど魔力量で言えば元の俺より上だな。火力はまだ全盛期の俺の6割くらいだが火力以外で上手く立ち回れば強えぞ。フブキの身体なら干渉魔法適性高えから武器術ベースのがいいか。俺自身に刀剣を扱うセンスが無いのが致命的か。まあメイスあるしなんとかなるか」

「6割出せれば火力十分でしょ!?」

「化け猫やるんなら8割出せると楽だがまあ妥協しよう」

どんなだよその超火力。

「ガルドって確かメイスでフルボッコしてた事もあるけどフブキちゃんの分身で身体特性の童力はコピーされてないから、筋力とかアレだよ?」

「変身魔法でもアレだし魔法主体だな。まあなんとかなるか。さてと、フブキの力だとミーティア系は多分まだ無理だ。エクスプロージョンなんかじゃ巻き込むか。

単体攻撃、対象固定系を使った複数攻撃系魔法か。まあ何とかなるか。化け猫程度なら」

「まあ何とかなるでしょ。アイちゃん達が今回の化け猫を生んだ術者は何とかしてくれるんでしょ?」

「何もそっちで起こらなきゃいいんだがな」

え?何?なんかこわい!?

「嫌な臭いがするぜ。この異変」

「そりゃそうだけど」

「女神、いるか?」

ガルドさんがコンパを呼び出す。

「何でしょう?」

「フブキと違う世界から転生者が同時期に来たって事は?」

「居ますね。数名ほど。私やアホ2人が関与してない範囲でいくつかの世界から数名。基本は死神が担当してるんで情報はあまり把握出来てませんが」

「となると、お前らの世界以外から来た転生者がやらかしてる可能性も無くはない。このこの大陸だけで転生者3〜4人は少なからずいるっぽいしな。まあこっち来て数日で出来るようなものでも無いか。オウカ、アステル」

「どしたの?」

「フェルパーを操ってるのは闇の魔力の類だ。それも程度の低い催眠魔法とかじゃない。力を付与する魔法も別で構成されてると考えていいが操ってる魔法は支配系や掌握系が第一と考えられる。次に、術者を止めて何とかならない可能性は高い」

操る魔法にも色々あるのか。

「と言うと?」

「化け猫本体に魔法を組み込んだ可能性が高い。フブキを通して、実際に見て分かった。あとついでにフェルパーからフェルパーに移るのも理解出来てる。術者はかなり強力な支配系統の魔法を持ってる。強力なだけでなく高度だ。特定にまでは至らんかったがある程度候補はある。まあそれが分かったところで化け猫をブチのめす択しかないが」

 えーと。魔法の特定には至ってないけどおおよそ見当ついててどっちにしろ化け猫倒すしか方法が無い。まあ言ってる事は理解出来てるので大した問題は無い。

「書く物はあるか?」

「はい。私からサービスです」

レターセットとボールペンかよ。女神様。

「おい女神、この筆記具どう使うんだ?」

「そこをカチッと」

ガルドさんが何か書き始める。文字は書けるし読めるだろうがまあ内容知らなくても問題無かろう。

「アステル、んじゃ任せた」

召喚魔法でフクロウを呼び出して手紙を持たせて飛ばせる。

「おい女神、あの筆記具この世界で作って売ってみる気は無いか?」

「この世界の技術じゃアレは作れませんよ。鉛筆ならともかく」

「鉛筆は作れるんだ」

「この世界にプラスチックをあんな風に加工ってかプラスチック自体がってレベルなので。鉛筆はざっくり言えば黒鉛と粘土を混ぜて焼いた芯を木でってだけなのでその気になれば人力でも」

ほんとざっくりしてるけど間違ってはいない気はする。多分。

「その話はいい。とりあえず、オウカってフェルパーとか化け猫何人くらいは…」

「2桁は余裕だけど3桁はキツいかな。魔力が足りないし」

「お前そんな魔法使う奴だったか?」

「その数魔法無しでヤレるとでも!?」

「お前俺らと組む前、クリエイツ、つまり人造人間の開発研究所や人工能力や人工魔力炉の研究所を1人で潰したと聞いたが」

「戦闘の素人と雇われの端くれ冒険者くらいだからね。その辺の相手は。野生本能むき出しのフェルパーみたいな群れてるのよりよっぽどマシだよ。魔法飛んで来るけど」

「お前って確か小刀とワイヤーが基本的な武器だったな」

「干渉魔法はまともに使えないからね。攻撃魔法や攻撃を強化するのは苦手かな。幻惑や分身で錯乱を狙ってメインは武器!」

「お前は別に魔法で無理する事は無い。アステルが何とかする」

「うっ!」

「…リトルス、フェルパー、ディアボロス。転生者1人に女神、かつてのパーティメンバー2人と手駒揃ってんだ」

「手駒って酷い!」

「ごはん出来たよ〜」

メルナさん空気読んで!ってか食事作ってたの!?

「いや〜。料理の力ってすごいね。モテモテだよ。料理が」

作った本人にも目向けてあげて!スープだ。美味しそう。

「あ、うさぎ」

うめえ。

「わたげうさぎは煮込むのがベスト!鳩混じってるけど!」

鳩…鳩。美味しいからいいか。いつもの団子みたいなのも入ってる。

「おい、コン。こいつから料理習ってみたらどうだ?」

「料理は美味しいけどこの女なんか間抜けっぽそうで信用出来ない」

「うっ」

「一応俺が見てた範囲で4種のクリスタルを同時起動させて使い分けるくらいの才能はあるぞ。攻撃魔法が少ないのは難点だが守りを固めていいようにサポーターとして使ってやればまあ役に立つだろう」

「いつまでも昔のままじゃないんだからね!」

すると赤、紫、青、緑、橙のオーブを取り出して操作してみせる。

「このくらいは出来るようになったよ!」

「ほー。そう言うとこちゃんと成長してたか。まあ土と炎で殴れるし干渉魔法もあった気がするから何とか自力で戦えるか。戦闘センスは知らんが」

獣と言うか食肉どっかから狩ってくるとこまともに見たことそんな無いけど狩って来た動物が何か魔法使った痕跡って無いんだよな。

綺麗に武器でやってるんだろう。

「これ食べて力蓄えて戦の準備だよ!」

「あ、はい」

まあ食べられる分だけ食べた。

 作戦もほぼまとまった。リトルスの主戦力は俺以外だとポンデルちゃんとポンデルちゃんが連れてきた6人主体のおよそ1000人。その6人が、アルケミストのルーファ君、剣士のエレン君、人形遣いのカレンちゃん、召喚士のココナちゃん、魔法使いのフルーラちゃん、エリームちゃん。フェルパーがノーラちゃん含めてミーシャちゃんとケイ君が中でも戦闘能力に秀でているらしい。しかし、フェルパーの特徴らしく魔法方面は厳しいらしく高い身体能力を活かした近接戦闘術が主となるであろう。リトルスみたいな強化は無いがリトルスには無い機動力がある。あとは身体のリーチ。リトルス足速いと思うけど歩幅狭いしダガー使うと結構リーチ足りない。同じ武器をフェルパーが持つよりよっぽどハードモードである。

 大体まとまったところで集落を歩いて回る。地理的に物が乏しい。建造物、いわゆる住居もかなりガタが来てる。作りは多分悪くない、はず。多分。気付いたフェルパーの女性は笑顔で手を降っている。それを真似するように返す。基本は温厚なのだろう。窮地でありながらも前向きである。一通り回ったところでノーラさんの家で寝る。

 数時間が経った。ちょいちょいケットシーの勇者を讃える歌がバラバラで聴こえる。個々で歌って合わせようと言う意識は無さそう。故にめっちゃ気になる。ついでに男女高低パートはともかく何人か音程外れてるし。ノーラさん一緒に寝てたはずなのに居ねえ。ってか歌ってるな。声が聞こえる。とりあえず声の聞こえる方向に歩いていく。ちょっと抜けた泉でノーラさん含む何人かの女性が身体洗いながら歌っている。湯気…温泉か?

「あれ?フブキ様?どうかしましたか?」

捕獲されてしまった。

「この子がフブキ様…可愛い!」

「アヒルの燻製恵んでくださったのですよ!」

「ちょっと待って!服濡れるから!分かったから!一緒入るから!着替え持ってくるから!」

とりあえず着替え持って温泉に戻る。

「フブキ様〜」

 ノーラちゃんに懐かれた。うちのあのノーラとはえらい違う態度だ。あの子はツンデレだけど。ってかベタベタし過ぎ、めっちゃくっ付いてる!もういいよ。

あ、絶妙にいい湯加減だ。またゆっくり寝れそう。落ち着く。

「ふぅ。そう言えばさ、みんなバラバラに歌ってるのがすごい気になるんだけど」

「あ〜、まあ好き勝手やってますからね。私達は」

「合わせないの?」

そう言うと合わせて歌い始める。ん?

「誰か音程外れてない!?」

「えっと、タマキちゃんですね。まあ、元々歌うのが上手い種族って事もないのでまあ数人外れてるのもいるのは目を瞑ってあげて下さい」

そうなんだ…。

「いや、うん。自分達の歌なら外しちゃうのも何かって」

「千年以上前の勇者をその辺りの吟遊詩人が歌ったとからしいんで厳密には誰の歌かすらも分からないんですよね。この土地で代々歌い継がれてきたのは事実ですが」

あ、そうなの?

「音程はまあ…この場合は外れてますね。タマキちゃんは」

タマキちゃん、黒い毛の女の子。ノーラさんとあんま年の差は感じられない。ノーラさんよりあそこはアレだが。

「まあタマキちゃんは貴重な魔法使いですから。戦える訳ではないですが」

まあ戦闘向けじゃないのもあるし。

「観測魔法と感知魔法が使えます!」

 一般的な感知範囲より外の、広範囲の情報を収集するのが感知魔法、五感及び感知魔法等で得られた情報を整理、処理する魔法で狭い範囲では高速演算紛いな事をして情報処理するのが観測魔法。この2つが組み合わさると未来予知とまではいかないがある程度のシミュレーションには役立つらしい。しかし感知魔法や感知魔法の類は干渉魔法のような攻撃の補助にはならない。その辺は自力になる。そしてタマキさんは戦闘能力が高い訳でもないらしい。

「干渉系伝達魔法使えれば一気に変わるんですけどね」

 まだ使えないけどテレパスとかマジックテルとかそう言う類のはいくつかあるらしい。確かに感知魔法と観測魔法で得た情報を処理してそれを伝達出来ればかなり強い。策士、参謀なんかだとかなりの力を発揮出来るだろう。こう言うシンプルに活きる持ち合わせって良いよね。とりあえずガルドさんにぶつけてみる。

『伝達魔法ってどのくらいの習得難度ですか?』

『ん?あぁ、観測魔法と感知魔法が使えるってんなら難しい訳じゃないが、転移系より楽だぞ?演算も楽な部類だし伝達魔法はアステルやオウカにも教えた事はある。問題はあるが』

『問題ですか?』

『その手の魔法だと使用者のレベルにもよるが、比較的簡単に傍受されやすい。そのくせに傍受を防御する方法は結構難しい』

諸刃の剣か。伝達に関してはかなり楽にはなるがその分あっさり筒抜けになると。

『い、一応自分でも覚えてみたいです。あと教えてあげられれば』

『わーったよ。俺も師としてのプライドがある。教えてやる。時間はまだあるな』

「…そろそろ出るよ。向こうの方も落ち着いてきてるっぽいし」

「承知致しました」

身体を拭こうとするとタオルを奪われる。

「私が拭きます!」

「自分で拭けるから!」

ダメだこりゃ。

「あ〜」

諦める。

「出来ましたよ!良い肌ですね」

「そーなの?」

「保湿性高くさらさらすべすべもちもち、完璧です!」

完璧だったのか。ん?あれ?俺、何もしてないぞ?

「何もしてないと言うか出来そうにもない環境で生きてるはずなんだけど」

「何故でしょうね?」

服を着たらそのまま抱えられて部屋で寝る。

いつの間にか歌っているのは誰もいない。


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