87話〜ゲームのメンツでパーティ組んでみた。〜
数日後。
「みーちゃん、ここはどうだ?」
見晴らしのいい高台、街が見渡せる。
「んじゃ、ここにするか」
「うーし。準備入っか」
「レンレン、たま、るー、ゆー、ゆーな、ととも。お揃いで」
「みーちゃんは描かねーの?」
「もう少し落ち着いたらな」
「みーちゃん。近い、知らん気配」
「なるほど」
「え!?何?」
フォレストボアに狼と竜の頭、蛇の尾。
「うわ何あれ気色わる」
「キメラだ。この世界とは違う世界から持ち込まれた合成生物だ」
「なるほど」
そうゆーが一言言うと消える。テレポートか。ワイヤーでキメラの全身を拘束し、無数のナイフで刺し殺す。
「マジで?ゆーちゃんヤバくね?」
「ここに来る前はアサシンやってたんで魔法剣を使う剣術の他にワイヤーや飛び道具、暗器術はそれなりに使えるんですよ」
「俺こいつに殺されかけたからな。興味本位で」
「うっ」
「ゆーちゃんがそんな事する訳」
「しました。見つけたので勝負挑んだら勝ちました」
「アレで挑んだってよく言うよ。背後から首絞め殺すかすっ飛ばす不意打ちかました癖に」
「エゲツない」
「アレですよ。新しく得た力とか技って試してみたくなっちゃうじゃないですか」
「分かるー」
「悔しいがそれは否定出来ん。俺もそうだったし。魔法回路とか。ほぼぶっつけ本番でゆー相手に使ったわ」
「魔法回路って上手く使えるとかなり強いですよね。魔法の位階の概念が壊れるくらいには」
「ももももかなり上達してるよな。ソウルチューニングと併せて前は結構」
「でもみーちゃん強化形態とスペルカード使いこなして余裕で勝って見せたじゃん」
「わざわざ鍛えたからな。あのままガチ剣士になってたまるか」
「あはは」
「だったら髪伸ばそうぜ」
「やめとく。こっちは向こう以上に手入れも大変そうだし」
「それ言われると否定出来ない」
「っと、まだ来る。油断するな」
「マジかよ」
さっきのよりデカいキメラ。クマに竜系の手足。
炎の玉で攻撃してくる。魔力の通ってない純粋なブレスだ。
「ブリザードウォール!」
吹雪の魔法防御壁で防ぐ。
「ゆーはさっきやったから別に無理しなくていい。レンレンの剣にイグニスソードを付与」
「承知しました」
「もももはイマジンアートで長射程の準備。お前の精度は知らん」
「あいよ。それならこれで」
「『月の丘』ですね!」
「月の丘」と呼ばれる題名の絵にアルテを降ろす。
全身が深く濃い青にアルテが変わる。頭に月の模様が浮き出る。ってかでけえ。そしてもももの思念を受信して弓を形成する。
「んじゃ俺は行くぜ」
「了解、足だ」
「はいよ!」
足を斬り体勢を崩す。切断とまではいってないが十分深いように見える。そこをもももと俺で撃ち抜く。
「ちっ、外したか」
「当たってるが!?」
「急所を外した。まだ息がある」
「んじゃ」
「レンレンが出るまでも無い」
テレポートして魔法回路で刀に強化付与を施してトドメを刺す。
「っと。こんなもんか」
「やっぱ先に来てしまった組の主戦力はやべーな」
「レンレンがヤバいのはともかく、もももが結構」
「病気から解放されて普通の身体で成り行きで魔法使いになったが、前にレンレンには負けてるし。今アルテの力借りても怪しい」
「そう言えば病気で身体が弱い方ってのは聞いてたけど」
「ちょっと珍しい病気にかかってな、街にある病院じゃ難しかったらしい。すぐに命に関わるようなものでもなかったらしいけど。ついでにボクが死んだのは地震が影響したっぽいし」
「そう言えばさ、俺、ちゃんと聞いた事無かったが、俺らがいなくなった後の世界、どうなってた?主観で語ってもらって構わないから」
「生活自体は割と戻ってたわ。学校も順次再開、ライフラインは完全に復旧、周りもそれなりには」
「なるほど。お前らがこっちに来たのは自殺じゃないだろ。とすると」
「とすると?」
「あの金髪神か」
「よくご存知で」
「るーの銃を作ってくれって頼みに来たんだよ」
「そういう」
「さーてと、次はるー、たま、ゆーな、とともの4人でやって見せろ」
「マジで言ってる?あの意味不明ななバケモン相手にまともにパーティ組んだ事もない俺らで?」
「死にそうになったら俺がワンパンしてやんよ。みーちゃんでもいいし、もももでもゆーでもそんくらい出来る」
「まあそうなったらな」
少し歩くとまたいる気配。
ゴリラだ、ゴリラいんの!?
「んじゃ、やってみろ」
「これ、この辺にいないやつだよな?」
「ああ」
「いやいや、マジかよ」
「俺も初めてみるわ」
ゴリラ。4本腕。頭が同種ものが2つ。
「キモいな」
「すげーキモいわ」
「まあ無理そうならレンレンが真っ二つにすっから」
「ん?構わんぞ」
「出来るのかよ」
「レンレン身体能力、物理火力と耐久力、スタミナは俺以上だからな」
「お前魔法特化だろ」
「そうでもねーよ。短剣や刀で近接も出来る。魔法剣もあるし剣術として、技術としてはは俺以上だ」
「そこのアサシンに喧嘩売られたからやり返す為にな」
「なんなら剣士としての疾さもな」
「レンレンは力でゴリ押す、ゆーは暗殺の技術に加えてカウンター、こっちの剣を綺麗に捌いてカウンターでスキをついて潰しにかかってくる」
「みんな違って差別化出来てんじゃん」
「とりあえずアレを俺らでやらんといかんか」
明らかにやばいのは分かってる。だとすると必要なのは力じゃない。戦術だ。
「鉄よ、形を変え、敵を縛れ。アイアンバインド」
「ユウナ」
「はい!」
ゆーながバフをかけてとともを強化し、斬る。援護するようにるーが撃つ。
「やるじゃん」
「油断するな。落ちてない」
「マジか」
ゴリラは拘束を力尽くで解いて、動き出す。
「これなら!」
るーが肩を撃ち抜く。
「んじゃ、鉄の魔力よ、刃を形成し、敵を貫け、アイアンエッジ!」
アイアンエッジも決まってる、が。
「決定力に欠ける」
「これ無理じゃね?」
「そんな気がするわね」
と廻ヶ丘姉妹が言う。
「どーする?俺行く?」
「いや、俺が行く」
ブリザードアドを刀に付与して一閃。首を落とす。
「断面凍ってるし」
「ブリザードソード、ではなくフブキさんの性能だとアレでブリザードアドでしょうね。冷気を物に纏わせる魔法」
「ああ」
「お前らがみーちゃんと対等に立とうってんなら今より2段階は強くならんとな。今のままの俺如きがみーちゃんの足許にも及ばんのは分かってる。それどころかもももに追いつかれてるくらいにゃ」
「あんだけやって見せても互角というかキミは」
「もうそこまで迫ってきてんだよ。俺も鍛えてはいるが覚醒系の力は血鬼壊放止まりだかんな〜。しゃーねえ。鍛えるか。まあもうちょいゆっくりしてから。んで、そんときゃ勝負な。次は確実に勝つ」
「確実とは」
「前は共倒れで引き分けだったもんな」
「過去の時点で正面から勝つとは」
「不意打ち失敗したとはいえ、そこから普通に圧倒したお前が言うな」
「うっ」
「もう許してあげなって」
「許してはいる」
「そう言えばここに来てから殺しはやってないっぽいけど」
「一応そっちも今も鍛えてはいるんですけどやってないですね。ワイヤー、暗器術、飛び道具、剣は勿論短剣、投げナイフも色々と」
「銃とマナブレード使ってみるか?」
とりあえずロックを解除してマナブレードを渡してみる。
「柄の部分しか無いと軽いですね。普通の剣より暗殺に向いてそうな」
「頼んでおこうか?直でマシュに会うのはゆーはそう無いだろうが」
「今まで公共の浴場と昼食で各1回くらいずつしか会ってませんが」
「用事がないとずっと引き篭もってるからな。自室と化した研究室は見れたもんじゃないくらいには汚いし」
「友達いないのでしょうか?」
「ココアと仲良いし、当然他のメンバーとも良好だよ。自分から話すようなタイプではないけど。あと俺が頼んでちょいちょいトウカに掃除をしに行ってもらってるけど」
「そう言えばマシュねーちゃんノーラちゃんに向けて撃ってそれを斬る特訓付き合ってたのちょいちょいみるぜ」
「ちょっと待って、そんな話聞いてない。安全な魔法弾だとしても…。はあ。とりあえず話だけ聞くかそのうち」
「とりあえずこのゴリラどーすんよ?」
「師匠に話を聞かねーとな。とりあえず」




