85話〜英雄の冒険譚〜
ナナノ大陸・ヨシノ北。
「妖のキメラ。興味深い」
慣れない気配。近づいて来る。
「ポポ、感知と補助は任せる」
「がってん」
ポポコ。人形遣い。精霊使いでもあり、精霊を人形に降ろして戦う。その精霊は俺が潰した研究所の妖精の犠牲者が年月を経て精霊となった。それを使役する。
「ユーリ」
「いつでも防御出来るわよ」
ユーリ。天霊のシャーマン。補助に特化した魔法を行使させる事が出来る。
キョウヤ・ナリミヤ。式術を操る一族の末裔。式神の禁忌を犯し、歯向かう一族を皆殺しにした式神。人型の感情を持った式神一号を使役する。
オウカ・ヨシノ。ヨシノ一族。ヨシノの国の王族に当たる一族。霊祓い等が出来るリトルスの系譜の女王。
ガルド。この黒い人は気付いたら仲良くなってた。どんだけ調べても故郷の事は分からない。一族、家系。何もかも。ただ言えるのは膨大な闇の力を制御している事。その闇に一筋の光がある事。アイちゃんやボクではなく、フブキちゃんが齎したボク達に無いもの。フブキちゃんは羨ましいよ。
姿を見せたのは尾が複数ある狐。それだけならまだいい。前脚は狼、肩から蛇の頭が2つ。
「表面だけならいいが」
狐の口から火の玉を吐き出す。
「ここはあたしが。ホーリーシールド!」
狐が吠えると足元に魔法陣が展開される。
「身体強化系だ」
「魔法を使えるキメラだと!?」
「フーミットの組織も取り込んでいたらしい」
キメラが飛びかかる。
「キョウヤ!」
「1号」
「はーい!」
人型の式神がキメラにグーパン決める。
キメラはすぐに立ち上がり炎を吐く。
「ここはお任せを」
1号が結界で防ぐ。
「ユーリ、オウカ」
「ええ!」
「りょーかい!」
ユーリのホーリージェイルと強化付与で強化されたオウカのワイヤーで拘束する。
そこへ魔法銃で撃ってトドメを刺す。
「なんとかなったな」
「こいつどうすんの?」
「オルナシアまで持っていく」
「アイツか」
「アイツだ」
オルナシア大陸。
「辺鄙な街な事で、相変わらずエルフの街は」
「煩い」
「なるほど、珍しい気配を感じて来てみれば、貴方方でしたか。お話は主より伺っております。っと、これは失敬。私はエメラルド。貴方方のよく知るスイカ様の使い魔です」
いつの間に。フェルパーの女子、違う。ケット・シー、いや。
「かなり位の高いフーミットだな」
「それを見抜くとは。流石です。どうぞこちらへ。スイカ様の下へ案内致しましょう。それが私の役目です」
エメラルドに案内されてエルフの街のとある家に着く。
「スイカ様。キョウヤ様方をお連れしました」
「ん…。ああ。久しぶりだね。皆。ガルドもタダじゃ死なないとは思ったが。まあそれはいい。上がってくれ」
スイカ。生物学者。高位のフーミットを使役する。アイリスより多分賢い女。
「で、君達がここまで来るってのは何かあっての事だろ?戦闘の人手では無いはずだ」
「こいつを見てくれ」
さっき仕留めた狐のキメラを出す。
「キメラか。もう存在しない御業かと思っていたが。っと。確か所謂教会とやらの技術ではキメラは作れない。となると」
「作れないのか!?」
「アレらの持ってるのは人体に関わる技術ばかりだよ。それと。このキメラを見る限り、この世界の技術では不可能だ」
「キメラを使役した襲撃が天界であった。それをスタートとすると天界を経由して別の世界から入って来た」
「そう来たか」
「天界の天使が地上へ逃げて来たからな。それがきっかけで旅してるわけだが」
「ふむ。発端のサモナーは降りて来ていないのかい?」
「そーゆー話は聞いてねえ」
「そうか。っと、東の大陸の姫君の約束もあるしファイランド行こうか。あそこは隔離された大陸だ。影響が少ない地域へ逆に赴く事で見えてくることもあるかもしれない」
「いやーどうしたもんかな。この中じゃボクは弱い方だしキメラ相手じゃ一番足引っ張り得るだろうから」
「ファイランドへ行くんだ、ついでに山にでも籠ってみろよ」
「やってみるか。フブキちゃんより弱いのはもう分かってるし届かないのも分かってるけど。何百年も生きてりゃすんなり諦めもつくよ」
「そのフブキちゃんって子は強いの?」
「フブキとその知り合い計4人でスノードラゴン討伐、その後イエティマンモスも討伐。それほどの統率能力とアイリスと戦って勝てる頭」
「アイリスってお前にディザスタージャイアントと戦うのを無理強いした魔法使いか。話にゃ聞いた事あるが、言うなればお前と正反対の光の魔法天使」
「ああ、アイツは正しい。だから嫌いだ。だがそれでいいんだよ。アイリスが綺麗事並べて正義面してりゃ。俺はそーゆーのは性に合わん」
「こいつはこいつで素直じゃねーな」
「まあそれぐらいでガルドはちょうどいいんだよ」
「お前らは先にファイランドへ行っとけ。俺は一度フブキ達のとこへ行く」
「おうよ」
フブキの街。
「さーてと」
「ここが」
「ああ。まあ俺も普段そいつの詳しい事は知らん。まずはこの街を治めている俺の弟子のとこだ」




