81話〜落ちた天使〜
今週から掲載再開します。
天界・桜雲の海
「射撃隊、ってーっ!」
光の弓魔法が怪物を射抜く。
「ちっ、こいつはもう使い物にならないか」
「次は貴方ですよ?」
射撃隊の光の矢が男目掛けて飛ぶ。
「甘いな」
光の矢は空中で静止する。
「結界…では無いですね。魔力ですらないなんらかの力を操るスキル。力で矢の動きそのものを静止させた」
「アレはマズいかもしれん。お前は天宮に戻れ」
「それでは…先輩が」
「俺の事はいい!今為すべき事を為せ」
「…はい」
先輩は死を悟っていた。おそらくそう言う事なのだろう。
天宮。
「ミナミ様」
「…マズい事になりましたね。フローリアさん。地上へ向かって下さい」
「承知しました」
「これを使って下さい」
「私なんかが神器の弓なんて使ってもよろしいのでしょうか?」
「そう自分を卑下しないでください。フローリアさんは立派な天界狙撃部隊長です。誇っていい事です。銀翼とナイトスカイオーヴを託します」
「はっ」
地上・上空。
「何ですかアレー!」
ボアの両肩に竜の頭と翼が生えた怪物が襲ってくる。
竜の頭が炎の球を吐いて来る。魔法弓で相殺しきれず肩に炎を受ける。
「あづ…」
その頃。
「ん?」
「お姉様?」
「なんとなく感じた事無い気配」
「お前も感じたか。コンとトウカに確認を取れ、アイツらなら知覚出来る範囲だろ?」
「はい」
コン、トウカ、俺がいる周辺に何かいるか?
(範囲拡張っと、んー?何これ?よく分からない。見た事無いタイプのにセレスティアが終われてる)
(えーと、すみません、私もこれは見た事無いです。ボアをベースに下級の竜種を掛け合わせたような)
この世界にキメラの生物とかいるのか。
「とりあえず行きますか」
「俺も行く」
見つけた。空飛ぶイノシシ。本当にキメラらしい。
「問題無え。俺1人でやれる。フブキはそいつを回復魔法で回復させとけ」
「承知しました」
そう言うと拳銃を取り出す。師匠に渡したやつ。
「闇夜を彩る漆黒の弾丸よ、穿て、ミッドナイトショット!」
ワンパンじゃないっすか。
「光よ、かの者に祈りの癒しをもたらせ、メガヒール!」
傷は問題無く回復していっているように見える。確か、出血多量にいいって言うポーションもらってたな。マシュから。
「傷は塞いだけど出血量多そうだからとりあえずこれ」
とりあえず飲ませておく。
フブキ邸。
「ありがとうございます」
「とりあえず話聞く前に、俺はフブキ・サクライ。一応この街を収めてるって形になるのか」
「フローリア・ホワイトリリィ。天界狙撃部隊長でした。おそらく、もう全滅しているかと思われますが」
「あのキメラらしき怪物と無関係って訳じゃないか」
「何者かがアレとは違う合成獣と共に襲撃しました」
「何者か、と言うと単独のサモナーとかだったり」
「らしいのですが断言出来ません」
らしいという言葉が引っかかる。
「と言うと?」
「弓魔法をスキル、或いは別の概念の力で止めるそれがかなり強力なのと、この世界のキメラ技術を凌駕するキメラ。到底只者とは思えません」
「現状なんも言えんか。ってかこの世界そもそもキメラを生み出す技術あるんだ」
「結構昔、千年以上前には確立されています。この辺では少なからず確認されておりませんが」
マジか。
「ですが、この世界で確認されているキメラより生物の特性、身体能力、能力やスキルの継承がより強力。この世界の技術では到底実現出来ないレベルの違和感が多々」
「この世界の元のキメラ技術知らないからなんとも」
「現在もあるにはあるらしいんですよ。一般的には国の法等でほとんど禁忌とされていますが」
一応この世界国単位の法は存在する。ただ、日本に比べるとゆるいらしい。この街はそもそもんなもん無い。
「とりあえず師匠とかアイリスさんとかに話聞かなきゃだけど」
「アイリス様とお知り合いなのですか!?」
「まあ色々あって、っと、付いてきて」
公共浴場。
「お、お風呂ですか」
「服もなんとかしてもらうよう頼んだからさ」
「ありがとうございます」
フローリアの背中を流す。
「痛いとこ無い?」
「ありがとうございます。お陰様で傷は治癒してます」
良かった。まあ回復魔法は得意な方ではあるが。
「良かったって軽く言っていい話じゃないな。1人の天使が無事だった。敵は謎のキメラと謎のサモナー?元々キメラの知識も無いし」
「見つけた」
「アイリスさん」
「アイツから話は聞いたわ。あたしはアイリス、よろしく。天界の天使さん」
「フローリアと申します。名は聞いております」
「アイツから話は聞いたけど、キメラが出たのね」
「はい。天界には使役する者も」
「…天界か。今更天界なんてって思うけど。そのままにもしておけないし」
「キメラについて教えてください」
「あたしも詳しいわけじゃないけど。それはアイツのが詳しいから。魔導科学の禁忌とされる技術、生体改造、生体錬成、生体合成の類ね」
「あるん…ですね。その類の技術が」
「ええ。まあフブキちゃんでも顔色悪くするくらいなのは分かるけど、事実よ」
「悪寒走りますよそりゃ。平然装ってましたけどさっきのキメラみて結構精神には来ましたし」
「アイツが詳しい事調べてくれるでしょうから」
「あとは生物の知識がそうでもないのが問題か」
「それも任せるしか。でも、オウカとアステル、あのアサシン以外にも人材隠してそうな気がするのよね。基本最低限の仲間しか見せた事無いとは言え」
「その辺詳しく知らないので…。あ、俺はもう行きますね。っとフローリアさんの着替えは置いてくれてるらしいので」
「ありがとうございます」




