Extra story12〜桜井家の日常(異世界)〜
榛名達が来て数日。
「よっと」
「これでどうだ!」
振る剣を受け止める。
「結構速いじゃん。っとこんなもんにしとくか」
「ああ」
「お姉様めちゃくちゃですわね」
「半年先に来てる分の差はデカいな。でも十分強い。しっかり基礎は作ってくれてる。そっちの鉤爪も使えてるし。ってかそれ、金じゃなくてオリハルコンだったのか」
「まさかの。知りませんでした」
「初めて見た」
オリハルコン。調べた範囲でこの世界最硬の金属。この世界にはファンタジーとかで見る物質も存在する。そもそもマナとかオーブもほぼ向こうには存在しない。
「希少なんですね」
「少なくともここらで採れた記録が無いんだが」
らしい。主な採掘地はシクサリスとスライネである。ミスリルはそこそこ出てるけど。
「でも、お姉様の杖や短剣、ミスリルですわよね?」
「多分それと同じで女神から貰った。もらった女神は違うが」
「その辺りはよく分からんが」
「オリハルコンは純粋な強度が、ミスリルは魔力を受ける事でもたらされる効果が高いのですよね」
「そーそー。純粋な強度ってのも大事だけど、この世界では魔法の親和性も大きなカギとなる」
「この世界の魔法とは一体」
「魔法はプログラミングだ。線を引いて言語を結びつける。魔力を持った言語は与えられた命令を遂行する。言葉にするとそれだけの事。分かってしまえばどうって事はないんだよ」
「なるほど」
「?」
「お前らはそうか。俺たちのいた世界の現実には魔法は存在しないが魔法の構造は近いものを知ってたからな」
「そう言う事か」
「難しい話じゃないんだ。根本は。さーてと、風呂入って飯にするか」
フブキ邸・風呂
「半年生活すればお姉様もものすごい馴染むものなんですね」
「いや、想定外の成長してるぞ。最初お前より背低いし」
「え」
「進化2回で身体も進化したしなんか天使のハーフっぽいのになったしな」
「魔法能力がかなり高いですわね。その影響か」
「まあ魔法前提ならオールラウンダー出来るけど」
「なるほどな」
「でも、こんな複雑な技術を操るとはさすが主様」
「分かってしまえばどうということはないんだけど。2人もそれなりになりつつあるのはまあすごいけど。でもまあ魔法の勉強って楽しいんだよな」
「なるほど」
「ケットみたいな鉤爪は無理だけど、一応銃と刀、ダガー、杖、オーブか」
「魔法を増幅させる道具はあまりな」
「別にいいんだよ。得意を伸ばすのが一番いいんだ。でも魔法剣や武器魔法、干渉魔法を扱うならオーブは扱えるようになれば結構変わるが、別に浮かせる必要は無いんだアクセにしたり、ケットならガントレットか作らせてみるか」
「権限ヤバいですわね」
「まあね。資源には恵まれてる方らしいし。っとそろそろ出るか」
食事中。
「お姉様、お願いがあるんですが」
「どーした?」
「お姉様を含めた連携を実戦を交えて増やしておきたいと」
「そう来たか。とりあえず丁度いい狩場が無いからそこら辺は誰かに聞くとして。一応俺は前でも後ろでもいいからな」
「遊撃手と言ったところですか」
「まぁ、攻撃だけじゃないけどな。結界、回復、サポート、妨害とか色々やる」
「半年有れば色々出来るんですのね」
「色々やったな。冒険もしたし一応それなりに料理も覚えて魔法回路も使えるようにして。のんびりするのもいいけど3人がしたい事には付き合うさ」
「無論お姉様がしたい事にも付き合わせていただきますわ!」
「まともに鍛えるか料理するか勉強してるかくらいだからな。今更新しい何かは見つからない」
「でしたらお姉様らしく、女性らしく振る舞いましょうよ」
「今更出来るか!んな事」
「まあ簡単な話ではないですわよね」
「とりあえず食ったら確認してから獲物でも探すか」
食後。街周辺森林。
感知魔法でレベルに合わせた獲物…って言っても自分が高すぎるからこの辺りでそこそこ強い程度の。
「これいけるか?結構やばそうなの見つけたが。最悪俺が本気出せばどうという事ないだろうけど。まあ俺は普通に戦うが」
移動する。
「ブラッドスネークか」
赤銅色の大蛇。何mあんだよ?
「大き…すぎるよ」
「アンチポイズンウォール!フィジカルバリア!」
「広範囲に毒を無力化する結界を、あとは対物理結界をハルナとはぴこに張った。解毒魔法や回復魔法は使えるから」
ケットがウインドブーツとファイアクローかアレは。鉤爪か。
「んじゃ、俺は」
脇差を召喚する。
「刀…。ブリザードアドで問題無いっしょ」
「氷の力を付与。ただ、マスターは流石と言うか。刀に付与する魔法の効果を的確に刀に収まってる」
「これはケットも修業する。っと、それは後にして、行くぞ」
「ああ!」
「はぴこ!動きを止めろ」
「うん!銀よ、我が声に応え、あらゆる形に変化し、拘束せよ!シルバーバインド!」
蛇を拘束し、動きを止める。
「ハルナ」
「アレを倒すのは無理ですが!?」
「問題無い。正面から光魔法撃ち込むだけで」
「分かりました。光よ焼き尽くせ、収束する魔光、シャイニーレイ!」
シャイニーレイは致命傷にはならないが効いているようだ。
「上出来!ケット!右から攻めろ!俺が左から切る」
「承知。風の力よ我が爪に力を与え、万物を断ち斬れ、ウィンドクロウ!」
「万物を凍てつかせる吹雪よ、我が剣に纏い全てを斬り裂け、シルバーブリザードブレード!」
左右からブラッドスネークの身体を斬る。
「やるじゃんケット」
「…流石マスター」
「ヘビか〜。食えん事は無いだろうが、鱗や骨は使えるか?」
とりあえず回収してテレパスを飛ばす。
マシュ今大丈夫?
(フブキ様、何かありましたか?)
うちの家族との実戦でブラッドスネークを狩ったんだが使い道ある?
(この辺でブラッドスネークとは珍しい。結構大きいんですよねアレ。鱗と牙は欲しいのですが毒あるので)
処理出来るならテレポートでそっち行って現地に連れて行くけど。
(あ、お願いします。すぐ準備するので)
数分後。
「結構大きいですね。この辺りの鱗は使えそうです」
その後さらに数分かけてバラしていく。
「満足です。でも、皆様方が満足するような物にはならなそうですが。これなら肉も食べられますね」
「こんな蛇食べられるんですね」
「毒が全身に回ってないようなので」
「へ、蛇食べるんですね」
「まあ蜘蛛とか蠍とか食ったし今更気にする話じゃないけど」
「トウカさん蛇の料理とか出来るのでしょうか?」
「さ、さあ?出された事ないから。レンレンにも聞いてみるけど」
「可食部、と言うより美味しいと言われるのはこの辺りですね」
サシの綺麗な霜降りみたいな部位を切り出してくれてる。
「も、戻ろうか」
戻って。
「トウカ、これ何とか出来たりする?」
「ブラッドスネークですね。この辺りで見た事無いですが我々、ディアボロスの故郷ではよく食べてましたね。処理さえきちんとすれば美味しいですよ。状態も良さそうですし毒も問題無さそうですので夕食にでも出しましょうか?」
「食べてみる。3人はどうする?」
「おおおお姉様が食べると言うなら」
「別に無理しなくてもいいんだぞ?原型見てるし食べづらいだろ初見蛇は」
「何事も挑戦せねば」
「経験な〜」
「俺はどうこう言う権利は無い」
「あるよ!?もうちょい好き言っていいよ!?」
「お肉だしおっけー」
「とりあえずお風呂入るか〜」
「よーし」
「承知しました。それでは焼いた物を果実を煮込んだソースで召し上がって頂くものを提案します。私達はよく食べていた物なので1番自信はあります」
「んじゃ任せるよ」
風呂。
「うわ生臭っ」
「しかし蛇食べるのにも抵抗とか無いのかマスターは」
「そそそ、そうですわ」
「前に蠍とか食ったから抵抗無いわ。まあバス並みにデカい奴だったが。匂いは多少気になったが蟹とか海老みたいで美味いのは美味いぞ」
「バス並みにデカかったら刺されるだけで死ぬのでは?」
「だろうな、あの針の最大直径ボウリングの球とそんな変わらんな」
「え」
「レンレンは蜘蛛も食ったらしい。味は似たようなものだが蠍のが美味いとの事」
「う、うわぁ」
「よくやりますね」
「アイツが最初にこの世界に飛ばされたのがスライネ、砂漠でそう言うのがいる地域なんだよ。イズミがシクサリスの洞窟、鉱山の中の都市、ユウがトゥリナの雪の街。俺がこの辺。まあ大きな戦いもあったし楽じゃなかったが。おかけでオールラウンダーだ。剣術と魔法、2つの武器がある。身体能力には何故か恵まれてたし。見た目の割に」
そう言うとハルナは俺の胸を触る。
「何すんだよ」
「見た目の割に…」
「…つまり私もお姉様と共に頑張れば胸も生えて立派な天使に!」
「それはどうだろう」
ぶっちゃけなんだかんだ最後アイリスさんとの実戦があったのも大きな理由だし。とりあえずアイリスさんと師匠にでも相談してみるか。
「一応特訓もつけるし色々試してみるけど、天使の確率は胸以上には期待出来るかもな」
「…えぇ?」
「体型の変化はともかく意図的に天使になる方法は行ける可能性はある。あとで相談しにいってみっか」
入浴後。
「師匠ここにいましたか」
「あ、フブキか。あとハルナとケットとはぴこだったか」
「えっと、私もお姉様と同じ天使になりたいのですが」
「あー、とりあえずフブキ、アイリス中心に魔法を鍛えて経験積んである程度出来るようになったらフブキから天器の器もらって天器魔法を軸に鍛えろ。そっちのフェルパー2人は光を重点的に鍛えて妖器魔法を鍛えろ」
「渡し方とか知りませんよ!?」
「力の授受ってのは自分がやってるのと同じことを相手の中に自分の魔力を流して構成する感覚だ。まあある程度アイリスが基礎は叩き込んだらしいな。もう少し基礎をお前が仕上げたらハルナに天器を、そっちの親子に妖器を与えろ。妖器の基礎までいけたら天器か聖器でいい」
「2人をケット・シー、妖精の系譜にすると」
「その方がいいだろ?猫又とかそっちよりは」
「そうですね」
「ケットの得物は?」
「剣と鉤爪を用いる」
「鉤爪か。ヤトナにもそれなりには鍛えてもらったんだろ?」
「ああ、いくつか武器魔法も使えるようにはなった」
「光をベースに魔法剣を扱えるのはフブキとノーラとじーさんか」
「あとはリオ殿から魔法剣はいくつか習った」
「…えっと、リオです」
「ゆーしゃの亡霊か。まあそれが出来てるなら問題ないか。鉤爪を使う以上は体術も鍛えておけ」
「ああ」
「体術ってなると」
「オウカならいけるだろ」
「なるほど」
「光魔法をそっちの女2人はアイリスから習ってんだよな?」
「それなりには。はぴちゃんは最低限レベルですが」
「リトルスのお前はよく分からんがはぴこはフェルパーの子供だから見りゃ分かる。まあ仕方ないか。でもまあ俺はお前の闇の力も扱えるようにはしてやりたいとは思う」
「一応言っておきますと私はお姉様とは1つしか違わないんですよ?お姉様が進化を繰り返して見た目は変わったようですが」
「…ん、あーそうか。お前も元リトルスだもんな」
「半分リトルスですよ。半分天使になって童力は消失しましたが」
「リトルスの中の妖精の血がリトルスを消してるだろ」
「それはそうかもしれませんが戦っただけで天使の力取り込めるのおかしくないですか?」
「お前は闇の剣を使いこなしているようだが、攻撃魔法は光のが多く使っているように見える。両方あっても光のが適性自体は高いんじゃないかって思ってな。俺としては惜しいが。まあ天使になろうと闇の魔力が消えるわけではないし」
「まあ感覚と言うか、使いやすいと言うか。ただ、あの魔導書の魔法剣は使いやすいのでそれは使ってますが」
「今じゃないが、そのうちその魔法剣の著者に会わせてやる」
「ご存命なんですか」
「いや、霊だぞ」
「なるほど」
「まあ今はお前はアイリスの下のがいいか。お前のが強いとはいえ、知識面においてはまだまだだ。光魔法、天界の魔法、天器魔法もあいつなら使える射撃、狙撃以外にも十分な。闇の魔法はいつでもいい。俺がお前に仕込める基礎は叩き込んだからな」
「あ、はい」
「まあどっちにしろ世界で戦えるレベルにはなりつつあるし問題無いだろ」
「世界レベル」
「お前が目指すのはそれレベルではないが易しくはないぞ」
「まあ俺がこっちきてつい最近の進化でこれだからな。2回目の進化、半年かけて得た半分天使の力。望んで得た力では無いけど信じられないくらいには馴染んでる」
正直天使になるとは思わなかった。魔法能力が上がればそれでいいとは思ってたが。なんだかんだ剣術も最低限使える体力もあるし。
「まあ下級からなら最初の進化でも天使の系譜への進化は目指せなくはないぞ。魔力の器を引っ張り出すか、フブキから天器をもらって」
「お姉様お願いします!」
「やった事ないんだけどな、そんな事」
「さっき言った感覚でやりゃ多分出来る。対象の身体に触れるとやりやすい」
「お姉様ならどこでも」
「脱ごうとするな。額でいい」
額に手を当てて天器のを形成するイメージする。
「ふぅ」
「やるじゃねえか。出来てるぞ。あとはそれを引っ張り出せるかはハルナ次第だ」
「成し遂げてみせます!」
「天器魔法はフブキでもそれなりだし、アイリスは極めてるレベルだからな。どっちでもいいだろ。アイリスと面識あるらしいし嫌とも言わんだろ」
「まあ俺も頑張りますか」
「はい!」
夜。
「そろそろ飯行くか」
「はい!」
移動後。
「どうぞ。出来ております」
「あの蛇がこんな美味しそうに」
だがハルナは若干疑っているようでとりあえず俺が先に食べてみる。
「あ、美味しい。脂も思ったより重くないしさっぱりしてる。果物を合わせたって言うのもあるのか後味もいい、意外と鶏肉に近い?」
「あら、本当ですわね。思った以上に食べやすく美味しい…」
「毎日頑張って蛇倒すぞー」
「美味しいのは認めるが流石に無理がある」
「うっ」
そんな感じで新しい世界で家族の1日は楽しく過ごせるのであった。
事前に報告しましたが、来週は休みを頂きます。27再開予定です。




