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異世界転生幼女の英雄譚  作者: ひょうか.みかん
第7章〜生き残りの選んだ道(ライフ)〜
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75話〜廻ヶ丘廻と廻ヶ丘巡〜

 フォルネイア・中央森林


「おに…じゃなかった。お姉ちゃん起きてる?」

「ああ。無事女の天使だ」

「…結構いい身体じゃない?ズルくない?」

「お前もあっちよりいいじゃねーか。文句言うなよ」

「それはそうだけどさ」

「…ここにいましたか」

「あれ、女神様早っ」

「まあ時間もなんとか出来ますので。えっと、この世界に合わせた銃、所謂魔力銃のSIG SAUER、交渉して1丁は頂きましたのでお渡ししますね」

「…趣味まで理解して、あれ?みかんが既にシグ完成させてたと」

「はい。神器級の力の付与を施したのは私ですが。使い方だけ説明させていただきますね。魔力を銃に込めて撃つだけなんですが、性質の変換等を習得する事で、撃てる弾の種類が増えます。そこは自力でなんとかしていただくしかありませんが。一応耐久性も保証しますが、フブキさんに合流されてからならメンテナンスに関してはそちらでお願いします」

「分かったわ。ありがとう」

「それでは、失礼しますね」

 そう言うと行ってしまった。

「あの女神様みかんが完成させたものに手を加えたって言ってたけど、本体もかなり凄い物ね。これ」

「らしいな。で、俺の場合は道具と言うよりはとんでもない力が多数あるって感じか?」

「どんなのがあるの?」

「っと、所謂アイテムボックス系、錬金術に必要な小物に関しては生産出来て使用後に消滅する、あとは近くで採れる物やそれを使ったレシピもある程度記憶してる。地味に料理や毒の有無も出来るらしい」

「それは確かに凄いわね。んじゃ、とりあえず食材の収集と簡単なポーションや解毒剤の収集の情報を共有したいのだけど」

「よし任せろ。つっても現物見ながら説明するか」

 とりあえずざっくり素材を集める。

「これで基本的なポーションは作れるらしい。まずこの薬草を水に入れて沸かす」

 お湯が沸いたら火から離し、濾す。濾した液体に残りの材料を入れて冷ましてから再び濾す。簡単なポーション。

「これで1回分。ちゃんと出来てるが味は保証せん。最低限必要な物だけで作ってるからな」

「まあ最初だしね」

「そういやこの世界オリジナリティ溢れる生物いたな。黒い猫みたいなやつ」

「まあファンタジー世界だろうし、固有の生物いても疑問に思わないけど」

「まあ疑問は無いが興味はあるな。っと、言い忘れてたが俺の能力でポーションの使用期限は実質半永久らしいから特に気にする事も無いらしい」

「ほんと便利ね」

「まあゲームみたいな道具の錬成ってよりはポーション系と錬金魔法っていう物、それと炎、水、土の魔法性質らしいからまあ結構特殊ではあるのか。あと一応魔道具の適性が高めだけど俺自身銃はそうでもないからまあ近接はキツいか」

「料理のレシピあるならお菓子作れない?」

「お菓子のレシピあるにはあるんだが、まず糖分を抽出するのがクッソめんどい。あとは乳製品がこの辺無いからか割とキツい上に卵を確定で入手出来る物でも無いからほんと選択肢無い。糖分は最悪諦めるとしてフルーツ系か」

「そもそも選択肢とかの問題か〜」

「こればっかりはどうしようも」

「まあそうね。とりあえずついては行くから、使えるもの探さない?」

「そうだな」

 とりあえずの感覚で数時間その辺歩いて。

「色々使えそうな物は揃ったが」

「何か作れそう?」

「味の薄いパンケーキと赤い野菜ベースのスープなら。この赤いのはどう頑張っても甘くはならなそうだから」

「と、とりあえずそれでいいからご飯にしない?」

「その前になんだがトイレ行きたい」

「まあ無さそうだからその辺でするしか、まあ事故んなきゃ問題ないわよ」

 極論、まあそうだが。まあそこら辺はなんとかして無事料理完成。あとはついでに見つけてた生食出来る果物も。食器は生成出来ず使いづらい実験器具でだが。箸は出る。

「タンパク質が欲しいわね。美味しいけど」

「海が無いから川魚、肉、あとは豆の類か。肉がウサギ以外は鹿、イノシシ、鳥類が行けるらしいのあの猫みたいのは食用の範囲外だと。食えなくないが不味いと。猟やるならお前のその銃の試用が出来るからついでに頑張れ」

「お姉ちゃんの戦闘スペックはどんな感じなの?」

「最低限レベルの攻撃魔法はあるが、ヤバめの薬も作っておくか。ちなみに得物はやべえダガーと魔法系のよく分からん石のオーブか。ただ物理自体強いとは言えんからまあ、分かっちゃいたが。一応武器を強化する錬金術系の魔法はあるらしいが身体能力の低さがな」

「そんなのがあるのね」

「今使えるのはダガーアームズくらいだけどな。あとは一時的に身体を強化したり魔法能力を強化するポーションのレシピもあるが、効果切れると利尿作用があるっぽいからあまりよろしくない。身体強化魔法もあるけどそれも初期段階クラスだからまあご察しって感じか。多分身体能力っつーのは天使ってのは羽を除いたら人、ヒューマンと案外大差無いのかもな。魔法能力が高い分誤魔化しが効くのだろうけど」

「なるほど。大体分かったわ。一応強化ポーションの材料もいけるなら行って休みましょうか」

「ああ」

 移動後。

「大体、この辺のはずなんだが。なんかヤバいのに巻き込まれたのかもしれん」

「…嘘でしょ?」

 これは、感覚に干渉する魔法の類だろう。幻覚、幻惑、そういうタイプの魔法だ。理解出来ても対処出来ん。

(まさか、ここに天使が迷い込むとは、面白いですね)

 幻聴か、或いはテレパスなんかの念話、意思、思念伝達系統の魔法か。

(うふふふ、試してあげますよ。天使の姉妹さん)

「どうするの?」

「勘でやる。そいつの言葉を信用し切れん」

 そう言いつつも根拠はある。五感は狂ってるのだろうが魔力は正確に感じ取れる。本来ならそれも乱されているのだろうが、自分のそれは何故か信じられる。

(なるほど、これは、流石と言ったところでしょうか。貴女には乱されずに感じ取れる確かなものがあるんですね。それなら、それを信じて進んでみて下さい。必ず、その先に私はいますから。お待ちしております。天使様)

 そう言うとテレパスは何も届かなくなる。

 見る限り視覚は狂っていない。気がする。当然、幻を見ているのかもしれないが。

「…ねえ、なんで急に戻るのよ?」

「合ってる。戻ってる訳じゃない」

 そう言って1時間くらいだろうか。よく分からないまま歩き続ける。

(流石、と言ったところでしょうか。完敗ですね。一度、目を閉じて、ゆっくり開いてみてください)

 言われた通りにしてみる。そこは、よく分からない苔やキノコ、植物に照らされた幻想的な町。

「きれい」

 すると、宙に浮く手のひらサイズの少女が目の前に姿を現す。

「…流石です、天使様」

「テレパスと同じ声」

「フォルネイアの森、妖精の街の1つ、私がその代表の1人。大妖精位階、名はユリーカ。これでもちょっとした魔法使いだったりします」

「ジュン・メグリガオカ。コイツがメグリ、妹な。俺達は違う世界から女神の誘いで転生した」

「それがお導き、迷宮を抜けられる答だったのですね。さてと自然の変化が我々に伝えた世界の変化、それに立ち向かう為、私は貴女方の力となりましょう」

 そう言うと、ユリーカは俺を囲う魔法陣を発動する。罠や攻撃じゃないのは分かるし放っておく。

「魔法陣に魔力を流して下さい」

「あ、うん」

 言われた通りにする。

「契約完了です。私は貴女様の使い魔となりました。あとはこれを」

 何らかの強大な魔力、力そのもののようなものを受け取る。

「精霊や妖精が持つ魔力の根源の器、妖器です。貴女方は既にお持ちの天器、聖器(しょうき)の類はいずれ、使えるようになるかと思われます。なので私からも妖器を」

「あ、はい」

「そう言えば、聞きたいんだけど、この世界のフブキ・サクライって女について心当たりあるかしら?」

「噂は聞いております。この森の中央に位置する都市の姫君ですね。ですが、今の貴女様方では彼女達の使役する魔物には手も足も出ないかと」

「嘘でしょ?」

「ドラゴンも使役しているらしいです」

「それは確かに無理か」

「半年でそんな差が出るのか」

「姫君だけではありません。彼女の下には大剣の勇者や魔法剣の暗殺者がいます。彼女達はこの世界で半年で世界に名を広めるほどです、聖銀剣の暗殺者ユウ、大剣の勇者レン。最強クラスの剣士たちです」

「なるほどな、分かった。さてと、今日はここで一泊させてもらうとして、ここ抜けるのもあの迷路やるのか?」

「いえ、結界の影響を受けない魔法を付与させて頂きますのでまっすぐ出られます」

「ならいいけど、明日どっか行く当てあるの?お姉ちゃん」

「無いな」

「まあ、しばらくここを使って頂いて構いませんので」

「あ、はい」

「とりあえず食べ物はあるのよね?」

「あの結界迷路の前にある程度食料はあるから。タンパク質、炭水化物に難あるから満たされるか知らんが」

「あー、まあ、そうね」

 色々食材を並べる。

「これがあるなら団子が作れます」

「塩水が無いんだけど」

「それは何とか出来るかと。地中のナトリウム分を吸い取って果実に蓄えるソルトナッツです。生のを絞れば」

 試しにやってみる。ほんのりナッツのようなにおいがする。ちょっと舐める。

「塩だ。果実の青っぽい臭い混じってるけど塩気ある」

 コイツを使って団子を作る。果汁の分の水分を差し引いた量の水で作る。試しに食ってみるが味はほぼしない。

「何かかけるか入れるもん作ってみっか」

 手に取ったのは赤いトマトみたいなやつ。

「それは生食には向かないです。火を通さないと辛すぎて食べられないです」

「コイツベースにして団子スープにしてみるか」

 割ってみるとトマトのようなゲル状のものはなく、ぎっしり身が詰まっていて擦り潰して、水と共に火にかける。

「とりあえず出汁を取るものがメグリの試し撃ちの犠牲のイノシシかウサギか」

「このウサギがおすすめですね」

「んじゃ、あとは食えると判断された雑草」

「ショクヨウショクブツですね。アリかと」

「名前の付け方雑っ」

「当時は飢饉とかそう言うのがあった時代らしいです。食べられるからショクヨウになったと」

 どこの世界もそんな話はあるもんだな。とりあえず団子とウサギの主食化スープ。

 で、スイーツもついでに。妖精は果物を好むらしい。ルビーグレープ、スカーレットベリー、ガーネットオレンジ等、色々あるらしい。

 使うのはスカーレットベリー、らしい。団子の生地に甘い果汁と団子の粉を足して甘めの団子にする。スカーレットベリーは煮詰めてソースにし、オレンジで酸味を調整する。

周りに他に余った果物を添える。

「今出来るのはこのくらいか」

「果物に火を通すのですね」

「今回はソースで止めたけど、多分糖分に余裕がありゃジャムも美味しいだろうし、まあ好みかな」

「極限でスイーツ生産するお姉ちゃんグッジョブ」

「お前の俺への当たりが緩めになってお姉ちゃん嬉しいよ」

「お姉ちゃん可愛くなったし」

「もうどうでもいいよ」

 食後。

「美味しかった。まさかこんな料理出来るとは」

「団子って主食として食べる以外にこんな食べ方も出来るんですね」

「白玉に近いと言うか。向こうでは団子って主食と言うよりは菓子類の印象が強いわね」

「さてと、寝るか」

「お風呂入りなさいよ!」

「温泉とかあったりするの?」

「無いですね。我々は湧水で身体を清めてますので。妖精の街を出て少ししたところにかつて使われていたリトルスの集落の温泉がありますのでそこに向かってみましょう」

「ここって薬草とか余ってる?」

「薬草、ですか?まあみんな勝手に持ってきますので。状態保存の結界で保存してますが皆さん持って来て残ってるの忘れて集めるので勝手に使って頂いて結構です。案内しますね」

 摘んで束ねた薬草や果実などが山のように置かれている。

「えーっと、バブルフルーツ、アルコールココナッツ、エルアの葉あるからこの辺使ってあとはそこら辺から水持って来てあっためて」

 バブルフルーツ、食用ではない。食べられなくはないけど美味しいものではないらしい。洗剤などの原料。天然由来で肌にも優しい。

 アルコールココナッツ、一般的な食材。アルコールっぽい成分は含まれているがアルコールではない。危ない薬でもない。当然食料としても食べられる。果実は油分が豊富。

 エルア、薬草の一種。多肉植物。アロエに似た何か。

 それぞれ、果汁を絞ったり、すり潰したりして混ぜ合わせた後、濾過し、火にかける。とろみがついたらゆっくり冷ます。

「はい万能洗剤。身体髪も衣類も食器も掃除にも行けるらしい。向こうのボディソープやシャンプーほどではないらしいけどあるだけマシだから」

「錬金姉有能」

「言い方ぁ!」

「これ、明らかに果物主体で作ってるのに食べられないの?」

「バブルフルーツは食べられるものではないので。毒は無いですが味が」

「バブルフルーツそもそも匂いから石鹸だしな。まあいい、とりあえず移動すっぞ」

 リトルスの元集落。

「襲撃があった…って訳ではないらしい。何があった?」

「この集落の元住民は大都市の姫君が主導し、築き上げた都市に向かわれました。かつてこの森では大きな戦いがあり、その姫君は仲間と共に戦いを終わらせ、都市を築き上げました。この森の過半数の者は彼女の庇護を受けております」

「なるほどね〜」

 温泉。

「生き返る」

「あれ?ユリーカちゃん消えてる」

「帰ったらしい。まあいいけど。道迷う事ないし」

「…あたしたち最後に入ったのいつだっけ?」

「中学入ってからだろ確か?俺が周りの目を気にして」

「そう言えばそうだったわね」

「そんで今度は何を思ったか姉妹になってまたなんて」

「勝手に姉になっておいて何を」

「レンレンとみかんがなってて俺らだけ普通って嫌だからな」

「で、とりあえずこれからどうする?」

「錬金術、妖器の魔法を鍛えるか。妖器の魔法ならみかんといい勝負出来るかもしれねえ」

 絶対アイツその類持ってる気がするとか言っちゃいけないんでしょうね。半年って結構色々強くなる手段も技術も揃う訳だし。まあ勝てないでしょ。まあ黙っといたほうがいいわね。


その頃。森の屋敷。


 扉を叩く。


「はーい。ってあれ!?お兄さん!?死んだんじゃ!?何で…うわぁああああああ!!」

「リッタうるさい。いったいなんな、何でガルドお兄さんが」

「入るぞ。話がある。ついでに説明する」

 中に入る。

「えっと、全員揃ってるよ?」

「わーってる。まあ知っての通り俺は嘗ての戦いで死んだ。半年くらい前にこの世界に他の世界の人類が転生した。そいつが俺の魂を見つけた。そいつがあの天使やナナノの姫と手を組んで依代を作った」

「なるほど〜」

「とりあえず落ち着いたからようやく来れた。ってだけじゃないんだ。結構大きな話だ。お前らが決めろ。っとさっさと言うか。俺は今その転生者の下で暮らしてそいつの魔法の師匠をやってる。で、俺も基本そこに住んでるからお前らも連れて行くのとついでにそこの弟子の修行を手伝ってくれ」

「手伝うとは?」

「妖器のコントロール」

「半年経って今からそこに手出すの?」

「今までは実用的な魔法を教え、次に魔力定着、で、別の奴から武器魔法をある程度教わっている。ちょっとした事情で順序が入れ替わったんだ。アイツの身体ならおそらく全てに対応し得るが、妖器を引き出すのにお前の力が必要だ」

「分かった!」

「住む場所については話付けてくるが、全員で住める場所にする」



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