Lost daily〜全ての始まりと天然と約束された性転換転生〜
変わらない日常。
ピピピピ。
「ああ、結城か。どうした?」
結城
『今日の対人入れそうか?』
サブモニターにゲームの公式の日程を見る。確かに今日の夜に対人の日程が入ってる。
「もももは?」
『来るって言ってたぜ』
「あんにゃろ。わーったよ。やってやる!」
『みかんちゃん愛してるぅー!』
「うっせ、レンレン、お前がダガー二刀すればいいのに。大剣売ってミスリルクリス買え!」
『大剣はロマンだろーが!』
「じゃあ盗賊やめて戦士やれよぉおおおお!」
『運が足りん!』
「火力足りてねえんだよ!クリ率上がっても素の火力足りてねえから結果戦士のがいいんだよ!それからサブから作り直すか転生して種族変えろ!」
『言ってそのままでも組んでくれてるみかんちゃんさいっこうに愛してるぜ。みかんちゃんが女なら告ってたのに』
「言っとけ。お前が女ならまあ考えてもいいが。すまん、一旦切るわ。食材買ってくる」
『ばいばーい』
外に出る。夏休み。14時過ぎたころ。
暑い。油蝉に紛れてツクツクホウシが少量。煩い。歩いて数分のモールに向かう。
携帯にメッセが入っている。もももからだ。
ももも〉とりあえずノルマ分上げたぜ。
みかん〉了解。今外だから後で確認する。乙。
ももも〉ほかって寝るわ。対人までに起きる。
メッセを確認して生鮮食品売り場に向かう。
今日はカレーにしよう。ルーと玉ねぎはある。肉は豚にして、人参と茄子とトマト、林檎も買うか。ついでにアップルパイでも作ろう。野菜と肉を買った後林檎を眺める。
「あ、桜井さん」
「神楽坂、お前もか」
買い物カゴを眺める。クミン、カルダモン、ターメリック。
「お前、そこからお前のレベルでカレー作れると思ってんのか?」
神楽坂咲夜、同級生のですわ口調の一般家庭女子。別にお嬢様ではない。
「うっ」
「やめとけ。食いたきゃ金さえ出せば俺が作るし、如月なら、あいつは甘いからあいつでも作るだろ。俺でもあいつの腕は認める」
神楽坂の料理レベルは中の下、出来るとは思えない。如月は俺と同じくらいはある。勉強すれば、教えさえすれば大抵出来るようになる。ついでに多少可愛いショタ顔イケメンとか。
再びメッセが入る。今度は一条青葉である。
青葉〉土曜日空いてる?
吹雪〉空いてる。
青葉〉ファンタジーランド行こっ!
吹雪〉おk。
青葉〉10時前の神扉行き乗ろーねー。
吹雪〉了解。
この時、この遊園地デートが来ることは無いとなど思いもしなかった。
奪われた日常。
天界
白黒ゲームをしている2人の女神。
「これで、あたしの勝ちね。きのこチョコの美味しさが証明されたわ!」
と言うのは運命を司る女神である。
「それは関係ありません!たけのこチョコのが美味しいです!」
反論するのは同格とされる自然を司る女神。
「証拠は?」
「SNSなりネットなりで売り上げと総選挙結果見れば一目瞭然じゃないですか」
「うっ、でも、ここで引き下がる訳にはいかない!私が!きのこのが美味しい事実を証明するためにあんたに戦争をふっかける!」
「受けて立ちましょう!たけのこ代表してわたしがお受けします!」
バチバチと火花を散らすエフェクトが思い浮かぶような光景。
これがこれが全ての始まりと同時に終わりであることを知る人類は今いない。
「あんたらまたやってんですか、しょーもない」
硝子の様に透き通った珠に映る下界。それを眺めるのは文化を司る女神。
「文化神様!それはあなたでもしょーもないなんて言わせないわ!」
「はぁ。頭が痛いです。えい!」
文化を司る女神は女神2人の頭にチョップを入れる。
「痛い」
「痛ったあ!」
珠を運命の女神の前に転がす。そこに映るのは天変地異で変わり果てた夜の街。
「これは少し先の未来、貴女方が起こしたケンカで起こる未来です。とりあえず私は創造神様に報告してきます」
珠に映る光景を眺め、言葉を失い、顔色を悪くする2人の女神。
「私も最善の努力はします。消滅しない努力はしますが。数百年単位での罰は覚悟して下さいね。神としての資格取り下げも可能なら回避しますので」
「う…ぁ」
言葉を失うのも無理はない。数百じゃ効かない命を奪った罪は重い。神の力が人の世界に影響を及ぼす。それがいかに危険か、分かっただろう。
創造神の間。
「失礼します。文化担当上位です」
「どうぞ〜」
軽い言葉で返す金髪のショートボブ、碧眼の少女の女神、創造神。
「あ、紅茶要ります?あと人間界の船の絵のあるチョコクッキーもありますけど」
「いつものでお願いします」
そう言うと林檎を取って来てカットされる。
「何故にうさぎさん。とりあえずまあいただきます。ではなく!」
宝珠を生成し、手渡す。そこに映るのは女神2人のケンカの内容と下界の様子。
「…うわー派手にやっちゃいましたね」
「申し訳ありません、私が付いていながら」
「起こっちゃった事は仕方ないのでこれからどうするか、ですね。まずは…えーっと、どこにしまったかな。ちょい探して来ますね」
消えてすぐに戻ってくる。
「転生の杖です。これの使用を許可します。なので自然ちゃんと運命ちゃん連れて死神ちゃんのところ行って下さい。話は通しますので死神ちゃんのとこで指示を受けて下さい。それが終わったら下2人の子と一緒に降りて転生した方のサポートをしてあげて下さい。数百年くらいはかかりますが起こした罪に対する罰に相当すると判断しますその間御二方の格は返還、文化ちゃんは一応報告も適当でいいのでお願いします」
紅茶を飲んで林檎を食べて立ち上がる。
「ご馳走さまです。とりあえず死神さんのとこ行きます」
罪と罰
死神の居住域。
ってか死神って何人も居たような気がしますけど話通してくれているらしいので向こうで話を聞けばなんとかなるでしょう。
「うわぁ…えげつない光景」
門に着く。
「文化神様と自然神様、運命神様ですね。お話は創造神様から伺っております。イチイ様の所へ案内します」
死神序列一位、死神イチイ。死神は純粋な神とは違う。故に持つ名の由来も変わっているのも分かる。
死神は別に命や魂を刈り取ると言うわけではない。死んだ者の魂の行方を振り分ける。それが基本で死を齎す力は無い。管轄がまるで違う。会うのは初めてだ。
「イチイ様!文化神様、自然神、運命神様が到着されました」
「ほいほーい、入っていいよ」
「私は失礼します」
下位の死神が下がる。
「で、なるほどね〜。こりゃあ酷い。もうある程度準備はしといたよ。あの世へ逝く方々振り分けた。未練のある若い命、魂だよ。あと残ってるのは」
「この方々の魂の振り分け。と言うかそいつ使って転生先と転生後の事を色々」
という事で人間世界規模ではほんの数分だがここは実際には時間感覚が違う。体感数日にわたって、振り分ける。
転生後の事は宝珠を使って色々調べて決める。
「イチイさん」
「ほいほい、どうかしました?自然神ちゃん」
「新しい身体を用意するに当たって種族や年齢はともかく、性別を変えるのは問題ありますか?」
「ぶっ飛んだ事言うね君。なんかあった?」
「2名ほど、文化神様が見ていた人間の話でお互い女ならって発言が気になったのと、彼らの望みの一部に全く別の人生、そして魔法や異世界の技能に対する夢、ロマンのようなものを感じ取りました」
「2人にはそう言う世界に行ってもらうからね〜。そう言う技能を習得する面で確かにメリットはある。了解。桜井吹雪、結城蓮、2人の転生において性転換を許可する」
…やばいことになった。とりあえずこれについてはしばらく黙っておこう。
とりあえずこの2人の意見を汲み取りつつ強制的に桜井吹雪、結城蓮の情報を勝手に構成してゆく。捻じ曲げられた歪んだ転生はこうして生み出されてしまった。
っと記録完了。
「桜井吹雪、結城蓮、神楽坂咲夜、安藤蜜柑、望月桃、小鳥遊優、一条青葉、如月和泉。面白くなりそうですね。ええ、分かってますよ。異世界転生幼女の英雄譚、始まり始まり」




