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俺に異世界にいく資格はあるのか?  作者: 花山 保
俺達の国を造ろう
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冒険者潜入

「がははははは!急げ急げ!」


 サントスの号令でサントスに雇われた王都の冒険者たちが一気に門へ走る。


「ボルド準備はいいか?」


「ああ」


 サントスのパーティーの1人ボルドが、魔法を使うと門へと走る冒険者たちが次々と浮かび上がり門の中へと送り届けられる。


「まったく・・・おめえの浮遊魔法は、本当に便利だな。さあ俺も中に送ってくれ!」


 東側に集中していたため兵が配置されなかった西門に冒険者潜入が侵入する。ホクト達を頼り切ってしまっていた事が仇となった。


 ミクスの中に潜入できた冒険者は50名ほど・・・


「おい、跳ね橋とやらを下ろせ残りの奴らを中に引き込むぞ」


 冒険者は、仕組みはわからないが、門の内側から何らかの装置がないかを探し始める。複数の冒険者が、普段の冒険で培った経験を活かしきびきびと探査を開始する。


「あ、ありま・・・ぐぎゃ」


 ようやく作動装置を見つけ声を出そうとした冒険者が、報告の途中で悲鳴をあげる。冒険者の男の背後に現れた黒い鎧の獣人が冒険者の首を落としたからだ。


「そうはさせないにゃ」


「おいおい。ずいぶんと派手な鎧を着た獣人が来たぞ・・・お前らとっとと始末しろ。」


 サントスの指示で冒険者たちが黒い鎧の獣人カイルを包囲する。しかし・・・


 ひゅ!ひゅ!ひゅ!ひゅ・・・。わずかな風を切る音に反応できたサントスを含めた冒険者は、その音の回避に成功するが、数人の冒険者は後ろから投げられた短刀よりも少し短い刃物を身体で受ける。


「なんでえ・・・まだいやがったのか」


 絶命した冒険者を見て舌打ちしたサントスが、現れた黒隊を見て自分たちが囲まれている事を察知する。


「おまえら負けるんじゃねえぞ!」


 そう言ったサントスは、カイルへ向かい走る。剣術には絶対の自信をもっているサントスは、愛刀を抜くとカイルに襲い掛かる。するどい剣をカイルは後方に宙返りして避ける・・・が、わずかに鎧をかすったのか着地と共にバランスを崩す。


「派手なだけあって良い鎧を着てるじゃねえか・・・」


 サントスは、その手にわずかに手ごたえを感じたが、カイルは傷を負っていない・・・。レベルでは、サントスの方がはるかに上回っているが、種族差もあり素早さの基礎値だけはカイルが上回っている。


「めんどくせえな・・・」


愛刀を肩にかけ、ため息交じりにそう言ったサントスは


「ノールおめえに任せた。俺はせっかくだからこの街を少し見学してくるわ」


 サントスは側で見ているノールにカイルの相手を任せ自分は、興味を引く街を探索に行くと言う。


「あいよ。任されたわ」


 サントスの指名に答えたノールは、何の武器も持たずにカイルへ歩み寄る。サントスは、それを確認し


「おまえらは、さっさと門を開けやがれ、いつまで突っ立ってみているつもりだ?」


 と冒険者たちに声をかける。冒険者たちは、慌てて黒隊に備える者と門を開ける装置へ向かう者に分かれて動き出す。


 カイルに歩み寄るノールが両手を広げると、そこにはさっきまで何も持っていなかったはずなのに今は短剣が握られている。カイルと似たタイプの戦闘をするノールは、その手数の多さと奇抜な短剣の使い方でカイルを圧倒する。


 戦いの形勢が、サントス側に有利に運びだす。黒隊は冒険者たちと一進一退の戦いを送っており、カイルもノールの攻勢に押され気味になっている。ノールが両手の短剣をタイミングをずらしてカイルに放ち、カイルがその短剣をはじいた隙に再び手に握られている短剣を持ってカイルを襲う。回避が遅れたカイルが、一撃もらうことを覚悟したとき


「お待たせしました」


 とノールの短剣をはじき飛ばし、ミールが現れる。


「なんだよ・・・邪魔しやがって」


 ノールが悪態をつきながら、次の短剣をどこかから出して握り警戒する。新たに現れた若い女をじっと見るが・・・戦闘員にも見えず、武器も持っていない。


「女・・・なにしに来やがった?」




-----------------------------





「おいおい・・・この街はなんなんだ・・・」


 サントスが探索する街は、サントスが考えている街と大きく違う。正確に計算されて作られた街は、綺麗な碁盤の目のように建物がならび、その建物1つ1つが見たこともない建築方法で建てられている。


「しかも一人っ子一人いやがらねえ・・・」


 鍵のかかった建物の入り口を壊して潜入しても人の気配はない。つい先日まで生活していた様子はあるが、きれいに片付けられている。


「見たことのねえ・・・魔道具が結構ありやがる」


 わずかの時間で情報を集め・・・壊した玄関から出ると目の前に仮面をつけた女?が剣を持って立っていた・・・


「ようやく住人のお出ましか・・・それでこの街は仮面をつけた女がいるってのか?」


 仮面をつけた女に聞いてみるが、返事はない。サントスは、女だからと手加減するつもりはなく、邪魔ならば排除する気で女に剣を向けるが、あっさりと剣が受け止められた。

 サントスは、これまで剣をここまで簡単に受け止められたことがない。


「お?なんだ・・・」


 何かの偶然かと集中しなおして剣を振るう・・・が、剣はやはりはじかれ、受け流される。今まで体験したことがない何かを感じたのか、嫌な汗が流れ落ちる。


「お前何もんだ?」


 返事は期待していないが、サントスは女の素性を聞いてみたくなった。


「・・・」


 返事の代わりに仮面の女の方から剣が振るわれ、サントスが受けに回る。かろうじて仮面の女の剣をさばき切り、わずかに間合いを取る。


「いや・・・参ったな。剣術だけで倒せない奴はしばらくぶりだ」


サントスの顔つきが真剣になる。


「これは受けられるか?」


 言ったとたんに飛び出し一気に距離を詰める。サントスは、身体強化を使い仮面の女を倒さんと剣を振るう。サントスの身体強化はレベル7・・・さきほどの力量差なら身体強化があれば覆すことができる。そう考えてサントスは勝負をかけた。

 が、その剣すらも特に焦ることもなく受け止められた。


「なっ!」


 受け止められたどころか、逆に弾き飛ばされてしまい民家の壁に背を打ち付ける。幸い致命傷には、なっていないがサントスは大量の冷や汗をかきながら腹部に作られた切り傷を触る。うっすらと血がにじむ・・・

 相手は、自分よりも剣術が使え、切り札の身体強化すらもこちらより上のようだ。こっちに比べ呼吸も穏やかで疲れも見せない。


「なんだ・・・なんなんだよ・・・おまえは・・・」


「引いてください・・・そして2度とここへは来ないでください。次はありません」


 初めて女が口を開いた。若い女の声・・・ちゃんと会話ができるじゃねえか・・・。だが、ありがたいな・・・死をも覚悟したぞ。


「あ、ああ。もうこりごりだしな・・・引かせてもらうよ」


 サントスには、これ以上、女と対峙する気持ちに余裕がない。身体が動くうちに退避しなければ全滅すら考えなくてはならない。

 サントスは、逃げるように西門へ走る。


 西門まで走り、仲間に撤退を指示しようとしたが、冒険者の大半はすでに倒されており地に伏せている。


「ノール!退くぞ」


 かろうじて膝をつき肩で息をしているノールに声をかける。西門の上にボルドがタイミングよく現れ、サントスとノールを門上へ・・・そして3人はそのまま西門の外へと浮かび上がる。


「すまないMPがようやく回復した」


 ボルドは、50人にも及ぶ冒険者を浮遊魔法で浮かせたためMPが切れ、ポーションで回復していたようだ。


「いや。おめえのおかげで命拾いした。お前らも逃げるぞ!」


 門の外に待機していた冒険者に撤退を告げると血の気のないノールに肩を貸し必死に走る。


「何があったんだ?」


 事情を知らないゴールが、サントスに聞くが


「今はとにかく逃げろ・・・あそこには化け物がいやがるからな」




--------------------------------




「逃がしてもよかったのか?」


「タクミに怒られるかもしれないけど・・・あのひとたちに帰ってもらって伝達して欲しいの。この街には来ない方がいいって」


「確かにそうじゃが・・・」


「カイル達は大丈夫?」


「助かったにゃ~。先に駆けつけて門はまもったけど相手の人族がかなり手練れだったから冷や汗をかいたにゃ」


 幸い黒隊からは軽傷者しか出なかったようだ。負傷した兵士には治癒魔法をかける。


「おや・・・まだ生きている奴がいるにゃ」


「た、助けてくれ・・・て、抵抗はしないから・・・」


 命乞いする冒険者は、さっきまで死んだふりをしていたが、死体として運ばれそうになった時にカイルに見つかる。


「さて、どうするかにゃ?僕の仲間はそう言ってもきっと殺されたと思うけど?」


 カイルが、短刀を首に突き付けると「ひいいい」と情けない声を出す。


「カイル・・・この人は捕虜にしてあげて。責任は私がとるから」


「いいのかにゃ?」


「人族側の情報を得るためにしゃべってもらうつもり」


「それなら仕方ないにゃ。こいつを縛って王の元へ連れていくにゃ」


「じゃあ。後始末はお願いね・・・」


 メグミは、カイル達に後始末を任せ東門へ報告へ向かう。


「ミールが相手した人は、どうだった?」


「人族ならそこそこなのでしょうが・・・タクミ様を見たあとではな・・・」


「そうよね・・・私が相手した人もそこそこってところだったからな・・・」




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