俺は、ゆっくり寝たい
休憩を終えた俺。さて、どうやって今夜は野宿するかな。寝袋にただ入るだけだと襲われたときに怖いしな~。
何か良い方法を考えないとだめだ。俺は考えながら四次元ポケットからホットドックを出してかじりつく。
俺には、サバイバル系の資格があるから、アウトドアには、そんなに不安がないが、この世界には魔物がいるからなー。四次元ポケットに家ごと入れておくか?。いや、それは悪目立ちすぎだ。そもそも家がないし・・・
考え方を変えるか。
何かが近づいても察知できれば、襲われたときに対処できる。自分の気配を絶てば、魔物に気づかれることもない。索敵スキルと隠密スキルを組み合わせるか?。
レーダー系の特殊無線資格などで得た、索敵スキルレベル6と冗談でとった忍者系の資格で、隠密スキルレベル4がある。
このスキルにMP消費があるのか?意識するだけで使えると思うが、寝た後どうなるか?だな。
試してみるか。俺は、索敵を意識する。お、頭の中に周囲の情報が流れ込んでくるな・・・気配と言うか、空気と言うか、存在の有無が感じられるな。MP消費は・・・なし。ただし、意識しないと感じられないのか。
これは、慣れないとだめだな・・・鑑定すら忘れる俺が・・・。
隠密はどうだろな。隠密で姿を隠す事を意識する。うん?自分だとわからないのか?これ・・・
どうしようかと考えていたら、良いタイミングで木からリスが下りてきて周囲をうかがった。俺の存在が気にならないのかリスは俺の目と鼻の先を通過し、再び木を登って行った。
なるほどね。気配を絶てるってこういうことかな・・・。MP消費は・・・これもなしと。でも、意識しないとこれもだめだな。使いどころが難しいな。
よし、あきらめた。別の手段だ。スキルがありすぎるのもこういう時に恨めしい。効果の検証だけで俺の人生は終わるのではないか・・・。まーそれは大げさか。
お、これ、いけるんじゃないか。結界スキル・・・祈祷師とかの資格からもらったスキルだな。陰陽師とか祈祷師っておもしろそうだったんだよね。えっと結界スキルレベル6か。あ、もういちいちスキルってつけるのやめるよ。結界レベル6な。
さっそく試す。まずレベル1で発動だ。
「結界よ 我を守れ(やってみたいのよ)」。
ぱーっと光だすと半円状のドームが周囲を覆う。直径で見ると3mくらいかな?。しばらくすると光は収まった。
「あれ?消えたのか?」
ふと、思い当たって結界の壁を意識してみるとそこには見えない何かを感じることができる。見えないだけで壁のようになっているのかな。MP消費5か。レベルを上げるとどうなるんだろな。俺は、結界を消す事をイメージして意識すると。あきらかに何かが消えるような感覚があった。消すは、一瞬でMPも消費しないようだな。ならば、
「我を守れ! 結界レベル6!」
意識すればいいだけだが、確認もかねて叫んでみる。誰かに見られていない事を祈る俺。再び、光が周囲を覆う。このとき、俺は自分のイメージで結界の広さと厚さを調整できることを直感で理解した。広くすれば薄くなり、狭くすれば厚くなる壁だ。寝るだけだからな5mのまま厚めに設置しよう。
光は、半円状のドームを形成し、固まると見えなくなった。結界があることを感じたので消えたわけではないな。MP消費が30、レベル1毎に5だな。基礎消費量があって、レベルが上がるごとに5増えるってところだな。爆発魔法と同じ仕組みだ。
「あとは、どれくらいの時間持つかだな・・・」
俺は、手応えを感じたので、このまま寝ることにする。四次元ポケットから寝袋を取り出し、寝袋に包まった。なんやかんやで疲れているからな・・・。zzz
「がん!」
「ドーン!」
・・・何かをぶつけるような音・・・。
ふっと覚醒した俺・・・。目の前には、俺に向かって突撃する巨大なイノシシ。あっけにとられながらも、寝袋から抜け出し周囲を見る。結界は、まだその役目をはたしており、イノシシの突撃に耐えていた。あたりを見るとなぜか倒れている狼・・・熊・・・そして血まみれになった目の前のイノシシ。
「俺が寝ている間に何をやってるんだこいつら・・・」
ひょっとしてだが、俺を襲いに来た熊か狼が俺を巡って争っているところに、この巨大なイノシシみたいな魔物がそれを奪おうと・・・とか?
お、そうそう鑑定してみよう。鑑定っと。
ビッグボア
レベル 23
HP 262(370)
MP 45(75)
力 89
体力 80
器用 23
素早さ 62
魔法 16
抵抗 15
スキル 突撃レベル2
うん。これ猪突猛進タイプだな。鑑定くん死んだやつも鑑定できればいいのになー。あ、一応死体を鑑定すると名前だけはわかる。熊は、「レッドベアの死体」狼は、「ブラックウルフの死体」だとさ。レベルとかスキルは表示されない。死んだら一緒か・・・。
それにしてもボアの基礎値、めちゃくちゃ高いな。これ、種族差かな・・・。
まあいいやさっさと倒してしまおう。俺は、結界を解除すると、ビッグボアに向かって歩き出す。ビッグボアは、結界に何度も突撃したせいかすでにぼろぼろだ・・・それでもビッグボアは、突撃してくる・・・
「せい!」
踏み込むと同時に突撃してきたビッグボアの側頭部に拳を叩き込む。
「ブキィ!」
ビッグボアは、数メートル吹っ飛び、木の幹に身体を打ちつけた。しばらく、ビクビクしていたが、やがて息絶えた・・・