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俺に異世界にいく資格はあるのか?  作者: 花山 保
俺達の国を造ろう
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差別

「そんなルールに従えるか!」


 見た目にそぐわない大きな声が会議室に響く。エルフの里から避難してきたエルフの代表者に街すむ上でのルールを説明したのだが、代表者ラムセルはそれが面白くないようだ。

 会議室には、俺とロドス、猫族の代表者が席に着く。俺は、種族の代表者を人数に関係なく参加させる方針でいる。


「に、兄様。まずは落ち着いてください」


 一緒にいるアリヒアは、ラムセルの妹で、聞けば老エルフの孫たちとのことだった。先ほどから、不満を言うラムセルを必死になだめている。


「難しく考える必要はない。ここは、そう言う街だと理解してくれてかまわない。来る者は拒まないが、去る者も追わない。ここに住むつもりがなく、一時的に滞在したいだけと言うならその手配もしよう」


 譲歩できるのはここまでだ。


「我らも住居を人族に追われた身でここに身を寄せている・・・いつか再び住み慣れた土地を取り返したいと考えているが、それには備えも時間も必要だろう。エルフも同じなのではないか?」


 ロドスがラムセルに伝えるが・・・


「一緒にするな!勝手に襲ってきたのは人族だぞ。その人族が王だと言うこの街のルールに従えと言う事は、村を占拠する人族と同じではないか?」


 ため息をつきたくなるような問答が続く。一度、双方冷静になった方が良いのかもしれない。しかし、いずれぶつかるなら早い方が良いのかもしれない。納得いかないまま時間を過ごせば余計なトラブルにつながる恐れもある。


「まあ、何度も言うがな・・・俺は種族で差別する考えは持っていない。どの種族にも良い奴も悪い奴もいるからな・・・それこそ人族の中にだってまともな奴だっているんだ。なんでもひとくくりにしていたらきりがないだろう」


「そんなことはない。我らエルフは、古くから誇りを守り、後ろめたいような事はしてきていない。野蛮な者どもとそれこそ一緒にされるのは迷惑だ」


 会議室にやれやれと言う空気が流れる。何を言ってもこの調子では話しも進まない。


「じゃあ。エルフさん方は、どうしたいのにゃ?」


 猫族の代表が呆れたように聞くと


「それは・・・」


 そう・・・計画もなければ具体的な提案もない。ルールには従いたくはないが、かと言ってこの街から追い出されるのは困る・・・


「もう少し、時間が必要のようですね。エルフの皆さんも今後についてもう少し具体的に考えてください。明日にでももう一度話し会いましょう。それまでは、今使われている住居は使ってくれてかまいません」


 エルフの兄妹を会議室から退室させる。残った3人で今後について話しを進める。


「エルフの処遇は、置いておいて今後について少し相談があります。今回の防衛戦で、人族にこちらの街についての情報が知れ渡りました。今後何らかの形で接触があると考えています」


「今回の事で簡単にここは、攻略できないと考えるのが一般的だろう?」


 ロドスの評価は正しい。


「そうですね。この街を簡単には攻略できないと考える人族は、まずこちらの陣容を探るでしょうね。おそらくすぐにも斥候を放ち、この街に潜入させることを考えるでしょうからこちらも対策が必要です。次は、取り込みでしょうか?人質を使ったり、脅したりして内部から崩壊させるように働きかけるかもしれませんね。これにもある程度備えなければなりません」


「人族以外の潜入も考えられるのか?」


「ありえないとは、言えませんね。先ほど言ったように家族を人質に取られたりすれば仕方なく情報を教えたり、内通したりする者もいるかもしれませんから・・・」


「仲間のために仲間を裏切るのは・・・考えたくにゃいが、自分がその立場に立つと絶対ないとは言い切れないにゃ~」


「そうなんですよね。子供を人質にされたりしたらその両親は、何をしてでも助けようとするでしょうしね」


「しかし、そんな事を言っても対応する方法があるのか?」


「ある程度は、防ぐことができます。しかし、絶対もないですね。色々な事態に備える必要があるので俺も準備はしておきますよ。あとは、防衛関連の確認ですが、前回の動きで概ね大丈夫そうですね。みなさん、きちんと指示どおりに動いてくれましたから。心配なのは、油断と驕りですから慢心しないように伝達しておいてください」


「準備とは何をするつもりだ?」


「皆さんは、食料の調達や衣服等の生活用品の生産、街の巡回や警備の強化ですね。それと今日から数日中に街の外壁の外側に堀を作る予定ですので、注意するように伝達ください。3つ門の外側には、はね橋をかけますからその使い方もあとで説明します。完成後、夜間は3つの門のうち1つ以外を封鎖することにします出入りを管理しやすくするので門番にも説明が必要です」


「この大きな街の外にそんな規模の工事が数日で可能にゃのかにゃ?」


「この街だって半年ちょっとで作りましたからね。スキルがあれば可能ですよ。それと北側空き地に武器庫を作りました。そこに新型の弓矢を保存しておきましたので時間があるときに使い方の確認と試し打ちをしておいてください。訓練場は、武器庫の裏手に作っておきましたから。武器庫の鍵は、ロドス隊長が所持してください。俺とメグミも開けられるようにしてありますが、危険な物も入っているので注意してくださいね」


「いちいち驚いていられんが・・・まあ良い。了解だしっかり訓練しておくことにする」


「お願いします。ミールはきちんと支給すると皆さんには伝えておいてください。リルさん達が、アーケードにいよいよ店を出すようなので、食料や嗜好品も買えるようになりますから頑張っただけ生活は豊かになりますから」


「ああ。しっかりと伝えておくよ」

「楽しみだにゃ」


「それでは、また明日に。エルフの皆さんの意見も確認しましょう」


 会議を終えると各自帰宅する。俺も一度自宅に戻ろう。メグミにも相談しておかないとな。


「ただいま。会議終わったぞ」


「あ、お疲れさま~」


 帰宅するとメグミが服を作っている。かわいいサイズの子供服だ・・・。


「おい・・・まさか?」


「あ!違う違う・・・仲良くなった獣人のお母さんにあげようと思って・・・」


「驚かせるなよ・・・」


「へへへ・・・でも赤ちゃんか~。私もいつかできるかな?」


 それは・・・大丈夫じゃないか?


「いつでも大歓迎だが、もう少しここが落ち着いてからだと助かるな。俺がいない時に困るからな・・・」


「タクミはどこかに行くの?」


「できれば行きたくないが、一度王都へ潜入する事になるかもしれない」


「ええ~王都って危なくないの?」


「安全ではないだろうな」


「あまり危ない事はしちゃだめだよ~」


「みんなの安全のために必要なんだよ」


「王様ってもっとふんぞり返って命令ばかりしているのかと思ったけど、タクミが王様だと一番働くのがタクミって事になるから会える時間が減るんだよね」


「ごめんな。なんかいつもかまってやれなくて・・・」


「あ、そんなつもりで言ったんじゃなくて、もっと強力してあげたいって事だよ。一応私だってタクミくらい戦う事だってできるんだし、練習や訓練だってちゃんと続けているんだからね」


 メグミが、今も訓練を続けているのは知っている。なんとなく頭を撫でてやりたくなったので後ろから抱き着いて頭をなでることにした。


「ちょ、ちょっと、恥ずかしいよ」


「別に誰も見てないだろう」


「見てる見てる」

「そうそう」


 お邪魔虫・・・もとい妖精ガールズが庭に現れる。せっかくの夫婦の時間を・・・


「何かあったのか?」


「えっとねえっとね」

「なんだっけなんだっけ」


「水龍様が用事があるって」


 妖精ガールズは、また要件聞かずに来たようだ。後ろからホルトが追いかけてきて用事を伝える。


「そうか。わかった会いに行くよ」


 メグミの頭をポンポンと撫で


「すまん。出かけてくるよ」


「うん。気を付けてね。美味しいごはん作っておくから」


「ああ。頼むよ。じゃあ行ってくるからな」


 街を出ると街の北西にある妖精の池へ向かう。途中で獣人族が作っている畑が見えたが、実りも順調のようだな・・・。そのうち畑が増えるといいな。


 そんな事を考えているうちに妖精の池に到着する。


「おーい。来たぞー」


 声をかけると池の中から水龍が首を出す。


『おお。すまんな。用事があったので呼び出した』


「で?用事ってなんだ?」


『実はな・・・しばらくぶりにこの池に戻ったら、我の眷属たちが次々と挨拶にくるんじゃが、この池だけでは手狭でな新たな水場が欲しいんじゃよ。妖精たちに聞いたらここと同じ水をお主の街に引いていると言うからお主なら作る事も可能なのじゃろう?同じように眷属たちが住めるような水場を作ってほしいのじゃ』


 水場か・・・


「なあ。それってどれくらいの深さや広さが必要なんだ?」


『そうじゃな・・・我くらい大きな奴もいるからな・・・』


「ってどのくらいいるんだよ眷属は・・・」


『一応我は、この世界にいる5体の龍王のうちの1体じゃからな。水竜種や水の妖精なんかは、全部眷属と言う事になるの・・・』


「なんでそんな龍王が、リッチに捕まっているんだよ・・・」


『一時的に氷で拘束されただけじゃ。やられたわけじゃないわい。あやつは、物理攻撃も魔法攻撃も受け付けぬやつじゃから攻撃手段がなかったんじゃ』


 まあ、確かにとんでもないステータスがあっても無効化されると意味もないしな。魔法剣のようなものが使える龍もいないか・・・


「そうか・・・。実は、俺の街の外壁の外側に大きな堀を作るつもりなんだ。街の裏に水源地を兼ねたため池を作ってあるからそこと今度作る堀をつなげようと思ってるんだが、その池と堀なら飲み水とかには使わないから好きに使ってくれていいぞ」


『ため池と堀ならどこに住んでもよいのか?』


「住民を襲ったりしなければそれは構わないぞ。共存と融和が基本な街だし、俺の獣魔も自由に街を歩いているから。今更、水の眷属がいたって問題ないだろう。あ・・・堀に川魚を放す計画もあったんだっけ・・・」


『なるほどの・・・眷属には、迷惑をかけるなと伝えておこう。その・・・魚も放すと良いのではないか?少しくらい食べても問題ないのじゃろう?』


 なぜか魚への反応が良いな・・・


「ああ。養殖するつもりだしな。少しくらい食べてもらっても構わない。管理ぐらい手伝ってくれるように言っておいてくれればいいさ」


 魚は、猫族の要望だしな。


『なら契約成立じゃ・・・わしもたまに様子くらい見に行けるようにこの池の地下とお主の言ったため池の地下に水路でも作るかの・・・』


 水龍さん・・・自分で作れるんじゃないのか?


「ああ。その辺は任せるよ。仲良く暮らす分には問題ないからな」


『お主には、借りがあるからな。喧嘩する気はないぞ』


「借りは気にしなくてよいぞ。用事はこれだけか?」


『ああ。呼び出してすまんかったな。また、何かあれば妖精を使わすでの・・・』


 水龍の依頼を承諾し街へもどる。さっそく堀を作るとするか・・・






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