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俺に異世界にいく資格はあるのか?  作者: 花山 保
俺達の国を造ろう
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動き出す街

 朝、昨日から機動させた中央公園にある大時計の鐘の音が街に響き渡る。朝8時と夕方6時になるこの鐘の音は、ミクスの街にとって重要な意味を持つ。


「王よ。皆集まりました」


 自宅側に役所として昨日完成させた建物の1階にロドス達獣人の男が集まる。挨拶を交わし、全員が着席すると今日の作業内容を伝達する。朝の打ち合わせ会議だ。

 男性獣人は、4人ずつチームを編成し、2交代で勤務させる。打ち合わせで持ち場を決め、各自から報告などを求めた。勤務に当たっていない男達は、自由に街の外へ狩りへ出かけたりしている。元々、休むと言う概念がなかったので、休みと言う事ではなく非番と言った方が理解が早かった。


 女子供は、メグミと一緒になって生産活動を始めた。当面無償貸与する事にした畑で野菜を育てる者や魔物素材を加工して服を作る者などに分かれて仕事をする。


 通貨のミールは、鍛冶スキルで加工した。銀にミスリルを加えて加工したので簡単に真似することはできない。1ミール銀貨、10ミール銀貨、100ミール銀貨、1000ミール銀貨、最高で10万ミール銀貨まで作る。間に5ミール銀貨、50ミール銀貨、500ミール銀貨と混ぜる事で貨幣を使いやすくしてある。流通するまでは、大量に作った銀貨を俺とメグミが所持し、対価に獣人たちに分けていくことにした。


「へえー。こうやって服を作るんだ~」


 俺が服の作り方をヒルデやミリア達、獣人族の女に教えていると一緒に作ると言ってメグミも習い始める。すぐにスキルを覚えそうだな・・・。


「羊型の魔物がいたから育てれば、羊毛もとれそうだな。近いうちに挑戦してみるか」


 やりたい事や挑戦したいことが増えすぎて追いつかない。獣人たちは、次々と新しい技術を身に着けていくので教えるのも楽しかった。



 数日後、ロドス達警備員の制服代わりにとしばらくぶりに鍛冶スキルで獣人用の装備を作ることにした。


獣人族用の皮鎧 +6

防御力 28(+30)

 付加 自己修復 身体能力強化 斬撃耐性


獣人族用の爪 +6

 攻撃力 38(+60)

 付加 自己修復

  付与 軽量化


 獣人族用の爪は、獣人族の意見を参考にしてアダマンタイトを素材にして作った獣人族専用武器だ。皮鎧の素材は、山脈で手に入れたエイプの皮などを使って作った。エイプの皮は、暑さにも寒さにも強い上、斬撃に抵抗力も強い優れものだ。そして、ミクス国の兵士の証として


ミクス国兵士の指輪 +6

 防御力 5(+30)  

 付加  魔法抵抗値上昇

 付与  他者の使用制限


 を作った。ミクス国兵士の指輪は、王が直々に授けるアイテムとして扱う事にした。この装備を付けた獣人たちは、威容もさることながらその力を飛躍的に高める。兵士には、治癒効果の高いポーションも所持させることにした。


 あとは、ロドスを無理やり隊長職に就任させ専用装備を与えた。アースドラゴンの角と鱗を元にミスリルを加工して作った特製の装備だ。魔物素材を金属に組み合わせることができるようになったので俺の太刀も再構築した。


アースドラゴンの鎧(ロドス専用)+8

 防御力 100(+80)

  付加 抵抗強化 自己修復 

  付与 軽量化 瞬間装着 自動回復


アースドラゴンの太刀(ロドス専用)+8

  攻撃力 100(+80)

  付加 属性攻撃地 自己修復

  付与 地魔法 身体強化


オリハルコンの太刀+9

 攻撃力120(+90)

  付加 属性攻撃火 自己修復

   付与 身体強化 


 ロドスに作った装備を隊長専用だと伝えて渡した。あまり、喜んでいないように見えたが、後日、ヒルデとミリアから、自宅でこっそり着ていた事を報告される。どうやら気に入ってくれたようだ。ダルカスにもねだられたが、隊長の特権と言って断った。



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 猫の獣人たちが50人ほど街に来訪したのは、街の巡回を終えたときだった。ロドスと共に面会してこの街の事を説明する。


「猫族は、自分たちのさらに南に位置する森を拠点に生活していたのですが・・・」


ロドスがそう説明すると


「ある日、いきなり人族が攻めてきて、あっと言う間に私たちの村は占拠されてしまいました。仲間もかなり殺されたり、連れていかれたりして・・・何とか生き延びた私達も行く当てもなく途方にくれていたのです。その時にこの街の外で狩りをしていた獣人の方にここに相談するように言われたので無理を承知でうかがいました」


 猫族の代表がこれまでの事を説明する。


「そうだな。この街のルールさえ守ってくれるのなら街に住む事は許可しよう。この街のルールについては、ロドス達に聞いてくれ。あと、俺の事が気になっているだろうから先に言っておくが、容姿は人族だが、人族とはむしろ争っているから心配はいらない。この街は種族による差別を禁止しているからそこは理解しておいてくれ」


 この後の話しは、ロドスに一任した。種族が違っても獣人に聞いた方が聞きやすいだろうし、俺はどう見ても見た目人族だからな・・・。それにしても人族の動きが活発だ・・・ついこの前にロドス達を責めたばかりなんだが・・・。ここに人族が来るのも時間の問題かもしれんな。



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猫族は、郊外の一軒家を選んで住むことになった。


 これで、この街には、狼族の獣人と猫族の獣人が住むようになった。猫族は女子供がほとんどで、男は数人しかいなかったので、生産関係の仕事につくように勧めた。猫族は、器用な手先を活かして小間物を作ったりしている。


 猫族が、うまく街になじめるか心配しながら巡回する。気楽に声をかけてくれる狼族に比べるとまだ、猫族との関係は浅い。


 ふと、アーケードでリル達、狼族の女衆を見つける。


「どうした?」


 後ろから声をかけると


「あ!王様だ」


 とリルがからかう


「王様はやめてくれ。それよりも何をしているんだ」


「今ね。この辺りに店を作る計画があるんだ。それで下見に来ているの」


「そうか。まだ、店を開くって奴はいないからな」


「ここも1年分の税を納めれば自由に使ってもいいんでしょ?」


「ああ。売り上げはすべて自分たちの物にしていいぞ。場所によっては少し税が高くなるが、今ならそんなこともないだろうしな」


「ここにとりあえず雑貨屋を開いて、素材の売買や作った服や道具を売ろうと思ってるの」


「なるほどな。街の外で手に入れたものなんかをここで売ってミールにすることもできるし、作った服や道具をミールで売っても良いしな。店の運営は、なかなか大変だからしばらくはやり手がいないと思っていたからうれしいよ」


「王様には、お世話になっているしね。私たちの生活も便利になるから良いでしょう」


 街で働く者は、少しずつミールの所持量が増えていくから、そのうちその金で買い物をするものが出てくるだろう。


「よし。試験的に使う事を許可しよう。試験期間中は税はいらないからな。明日、朝の打ち合わせ会議で提案するからその後、しばらく挑戦してみてくれ。そうだな・・・特別価格で少し良い魔物肉でも提供してやるか」


「さっすが、王様ね。門番なんかをまじめにしている男達が、ミールを握って肉を買いに来るかもよ」


 ようやく女たちの笑顔が、見られるようになったな。しばらくは、なんだかんだ言って暗い顔をすることも多かったから心配していたんだが・・・。


「この辺りの店用の家には、裏に倉庫と大型の冷蔵庫、冷凍庫があるからうまく使えば肉なんかの保存も効くはずだからうまくやるといいよ」


 助言を加えるが、それ以上は彼女たちのアイディアに任せよう。5人で集まったリル達は、あーでもないこーでもないと論争に花を咲かせている。


 巡回を続けよう。次は、公園から先へ行くか。俺は、中央公園の噴水まで歩くと噴水側に設置したベンチで横になって休んでいる獣人を見つける。具合でも悪いのかと声をかけると


「お、王様。別にサボっていませんよ」


「いや、俺はそんなことを聞いていないぞ。具合でも悪いのかと心配して声をかけただけだ」


「ああ。そうでしたか・・・てっきり」


「あ、ここに居やがった。おい、とっくに交代の時間が過ぎてるじゃないか」


 どうやら門番の交代時間に行かなかったようだな・・・。怒鳴る男が俺に気がつくと


「あ、こりゃ王様・・・。かっこ悪いところを・・・ほら行くぞ」


「い、行きますよ~」


 どこの世界にもこんな奴がいるんだな・・・。公園でサボり男が寝ていたベンチに腰をおろし休憩する。さて、次はどこへ・・・


『主・・・報告がある』


 ガスターンから念話が届く。上空に目をやると旋回しているガスターンが見えた。


『何があった?』


 念話でガスターンに確認する


『東からエルフたちが大勢やってくる。おそらくだが、人族に追われているようだ』


 ついに魔の手がそこまで来たか・・・。


『わかった。予定どおり人族に対抗する。ガスターンは、そのまま警戒を続けてくれ』


『ホクト!ナント!聞こえるか?』


『人族の襲撃だね。ロドス達を集めればいい?』


『ああ。相談していたように緊急招集してくれ。俺もすぐに向かう』


 猫族が来てから準備していた計画を実行する。



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