避難所
四次元ポケットから出したコテージで女たちにシャワーを使わせる。使い方を教えると皆喜んで使ってくれた。少しでもさっぱりしたいだろうしな・・・
結界をコテージ周りに張り、俺は外で警戒した。女たちは1つのベッドに重なるように寝ている。
着替えをもっと用意しておけばよかったな・・・。朝になり、服装を見ると申し訳なくなった。今は、満足な服は男ものばかりで、女性用の服がない。女たちは、渡した布生地を器用に身体に巻き付け、俺が渡した男物のシャツや服を上からきて裾を縛っている。
「すまないな・・・街につくまで不自由させる」
「そんなことないよ。色々気遣いありがとね」
一晩を休息にあて十分な食事を食べさせたので幾分元気になったな。あとは、この森を抜けて北へ迎えば俺達の街へとたどり着ける。
「どのくらいかかるの?」
リルが聞くので
「そうだな・・・このペースで行けば明日にはつけると思うぞ。少し遠回りしているからな。食料や水には心配はいらないから少し我慢してくれ」
「大丈夫。それより、あなたはなぜ、私達獣人にここまでしてくれる?」
「そうそう。私は今まで人族なんてただ怖い存在だと思っていたから」
他の獣人の女たちから矢継ぎ早に問い詰められる
「俺は、世界を旅して色々な人に会ったり、色々な人や・・・そうだな人以外からも話しを聞いたんだ。その旅でわかったのは、どんな種族にも良い奴と悪い奴がいる事と種族が違っても考えることには大きな違いがないって事だ。だけど、同時に、人族の国にも他の種族の国にも差別や偏見ってのがあることもわかった。俺は、俺の好きな奴が・・・俺と同じような考えを持つ奴が困っていたりしたら助けたいし、一緒に楽しく暮らしたいと思っていた。だけど今の世界には俺のわがままが通る国や街はなかったんだ。だから、俺は国を・・・俺のわがままの街を作りたいって考えた。そんなとき、俺に色々教えてくれたロドス達が困っていると聞いたからな・・・手を貸したいって俺のわがままだよ」
「じゃあ。あなたは、種族とかは関係なくあなたが気に入った人なら助けたりもするんだ?」
「そうだな。もし、お前たちが、俺の嫌いな事をしたりするなら見捨てるかもしれないぞ」
冗談も交えて会話できるようになったな。悪くない・・・ことだ。
「ロドスには色々と世話になった。だからロドスのためにもロドスに変わって仲間を助ける手伝いをする」
「そっか・・・ロドス様のおかげで私達も助かるのか・・・」
「まあ、間違いじゃないな。実際、ロドス達と縁がなければここまではしてやれんからな」
「さあ、そのロドスが首を長くして待っているだろうから、皆で頑張って進むとするか」
腰をあげると行軍を再開する。昨日よりも足取りが良い・・・
「さあ、いくぞ!」
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「そうですか・・・予想通りですね」
「辺境の町が襲撃されることがわかっていたのですか?」
予想どおりと言ったセイオスにウードが尋ねる
「ええ。と言ってもここで報告を聞いてわかったのですがね。どうやら裏で動いている者がいるようです」
「獣人でしょうか?」
「さて・・・。まだ何者と言えるだけの情報はありませんね。それで、辺境の町の様子はどうだったのですか?」
「獣人たちを見張っていた兵士のほとんどは、毒で死んでいました。毒を飲まされたのではなく、毒を吸い込んだようです。様子から毒魔法が使用された可能性が高いと思われます。また、捕らえていた獣人の女たちの姿がありませんでした。檻も壊されておりましたので、何者かが連れ去ったと考えます。しかし、死んだ兵士たちが発見された時、町の門は閉じられたままでしたので町中に潜伏していないか捜索させています」
「そうですね・・・。もう町にはいないでしょうね。門を通らず侵入できるようですから脱出手段ももっていたと考えた方が良いでしょう。今頃は、安全な場所に逃げているのではないですかね」
「女子供を連れてそこまで逃げれるものでしょうか?」
「さて、獣人は身体能力も高いですし可能なんじゃないですか?」
「セイオス様は、これからどうされるのですか?」
「王へは、別ルートで捕らえた獣人を送ってありますから問題ありませんよ。予定通り、獣人を王都で処刑し見せしめとします。この里から奪った金品を献上し、この里を拠点にして次へ駒を進めます」
「逃げた獣人はどうされるのですか?」
「ほっておきますよ。そのうちどこかで再開するでしょうしね。それより、少し気になることができました」
「何かわかったのですか?」
「ええ。斥候に出した兵からの報告で逃げる獣人族の中に人族の姿があったそうですよ」
「人族に獣人族についた者がいるのですか?」
「どうやらその方が、裏で動いているようですね。まだ、情報が足りませんが、そのうち確定するでしょう。今は、できるだけ早く、この里に拠点を作りこの先に住む別の種族を支配下に置く事でしょうね。そういえば、グラム将軍から南にある別の獣人族の村を占拠し多くの者を捕獲したと報告がありましたから、次は東か北へ攻め入ることになります。あなたも準備を頼みますよ」
「かしこまりました」
指示を受けたウードは、天幕を出ていく。
「こちらも少し駒を増やしますかね」
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「ねえ・・・ホクト。まだかな・・・タクミ」
『メグミ・・・いくらなんでも1時間おきに聞かれても返事しようがないよ』
そう言われてもホクトから捕らえらえた獣人の人を助けるために、また人族のところへ向かったなんて聞いたら落ち着いていられないよ。
「すまんな、奥方。すっかりわしらのせいで旦那を危険な目に合わせてしまった」
ロドスに言われ、慌てて弁明する。
「ち、違うよ・・・私が勝手に心配しているだけで、ロドスさんたちが悪いわけじゃないし」
「しかし、結果的に何から何まで世話になってしまっているからな」
「うーうん。これは、タクミが勝手に決めたことだから、私達のわがままだよ」
「タクミと同じ事を言うのだな・・・」
「へへへ・・・。私達もようやく夫婦になったからね」
「そうか。それは、祝いの言葉くらいは言っておかないといけないな」
「それよりも、街の方は、大丈夫?」
「ああ。わしらには信じられんくらい良くできた街だな・・・風呂やトイレとか言う設備もすごいな里の女どもが、驚いていたぞ」
「そうでしょ。タクミが作った街だからね」
中央の公園でホクトとロドスと話していると、時折、獣人の人が街の中を歩いている。今は誰も住んでいないから物珍しい街を見て歩く獣人が多い。
こっちに気がつくと頭を下げたり、手を振ってくれる。
「食事は足りてる?」
「ああ。里よりも贅沢なくらいだな」
「怪我した人たちはどう?」
「重傷者はいないし、怪我した者も徐々によくなっているようだ」
「何か不自由があったら遠慮なく言ってね」
「いや。これ以上はな・・・むしろこの生活に慣れると心配なくらいだ」
獣人たちは、タクミの指示もあったので居住区の家族向けマンションタイプに住んでいる。大きなタイプだと4LDKのもあるから家族が多くても一緒に過ごすことができる。仲の良い種族は、側に仲間がいると安心するからとの気遣いもあった。
魔物の肉あたりをかなり多めに配給し、各自が部屋に備え付けられた冷蔵庫に保管し、好きに調理してもらっている。給湯や冷蔵庫、換気扇は、マンションに大型魔物の魔石をつける事で魔石の魔力がつきるまで動き続けるようになっている。いつでも水やお湯が蛇口から出るし、空気も循環するので匂いも気にならない。
「獣人の人は、何が得意なの?」
「そうだな、男どもは狩りや農作業だな。女どもは、機織りや畜産なんかをやっているな」
「うーん。今ね、一番足りないのが、皆が着れるような服なんだよね。タクミならなんでも作れると思うけど、皆が着る服を作るには人が足りないと思うんだ」
「確かにな・・・」
「タクミが戻ったらその辺も相談したいね」
「ああ。まずは、タクミが戻るのを待つしかないな」
『どうやらタクミが戻ってきたみたいだよ。今、ガスターンから連絡があったから。それとね獣人族の人も7人連れているってさ』
ホクトの念話が届く。自然に顔がほころんだ。
「うん?どうした?」
「今ね。タクミが帰ってきたって連絡があったの・・・あとね。獣人族の人も7人連れているって」
ロドスが天を仰ぐ・・・仲間の無事がうれしいんだろうな。見てる私もうれしくなる。
早く帰ってこないかな・・・私の大切な人




