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俺に異世界にいく資格はあるのか?  作者: 花山 保
俺達の国を造ろう
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うれしくない形での再会

うれしくない形での再会


本文編集


 南に向かって飛行を続ける。途中、ガスターンがおいついて来て一緒に連なって飛ぶ形になった。


『主・・・せっかくだから案内するぞ。後、肉はうまかった』


 案内役をかってくれたので頼んだ。鷹の目は、はるかかなたの物も見逃さないって言うしな・・・。ガスターンと飛んでいると


『主・・・右斜め前方に』


 ガスターンが指示した方向を見るが、木々が邪魔して何も見えない。少し高度と速度を落とし、近づくと森の中を進む獣人たちを視界にとらえる。


「見つけた。俺は接触するからガスターンは、上空で警戒しててくれ」


『心得た』


 一気に速度を落とし、降下する。音もなく着地すると獣人たちの方へ向けて駆ける。索敵で獣人たちの位置を確認し、近づいていくと怪我しているのか肩を借りて歩く者や子供の手を引く女が目に入った。

 声をかけるか迷ったが、正面から顔を出す事にした。見知った顔があれば気づく可能性もあるだろう・・・。


「おい。大丈夫か」


 俺は正面から獣人たちに声をかける。俺の姿を見た獣人の男たちは、手にした武器を構えけが人達を庇うように俺を睨む。


「南の森の獣人たちか?」


 返事がない。警戒も解けない。


「ロドスを知っているか?俺はロドスに世話になった事がある。敵意はないから心配するな」


 男が警戒しながらも


「なぜ、ロドス様を知っている・・・」


 と聞いてくるので


「1年前にロドスの屋敷で世話になった。名前をタクミと言う。ロドスの娘たちとも顔見知りだ」


「な、なら娘の名前を言ってみろ!」


「ああ。かまわないぞ。ヒルデとミリアだ」


 警戒が少し和らぐ。獣人の男達が集まり、相談を始める。1人が走り去る・・・何か伝言を頼んだのか?


「少しまて確認させてもらう」


 警戒されないように武装せずに側の倒木に腰をおろす。獣人の男は警戒を続けるが、最初に比べれば警戒は薄れている。しばらく待つと見知った顔があった。


「タクミ!どうしてここに?」


 そこには、ヒルデの姿があった。少しやつれているかもしれないが、確かにそこにいたのはヒルデだった。


「ああ。そんなことより、いったい何があったんだ?皆怪我しているじゃないか?」


「それが・・・私たちの村が人族に襲われて・・・」


「襲われるって・・・人族にか?」


「うん・・・いきなりすごい数の人族が村を包囲して、降伏すれば命は助けてやるって・・・。父さんは、そんな指示には従えないって言って抵抗したわ。私達女子供は、父さんたちが切り開いた道を通って脱出したんだけど散り散りになってしまって・・・」


「そうか・・・そんな事が・・・」


「おまえ達、人族のせいじゃないか!」


 獣人の男が俺を非難する。


「俺は人族ではないようだぞ。人族には魔族認定されて追われているからな・・・」


「そんな事が信じられるか」


「やめて・・・違うのタクミ達は、人族に追われて北へ向かったのは間違いないの・・・」


 ヒルデが庇ってくれるが、獣人の男は納得しない


「信じろとは言わんが、けが人も多いし行くあてもないのだろう?この先に俺が作った街がある。そこには、人族はいないからそこに避難しないか?怪我人の手当もできる場所もあるし、食料だって提供するぞ」


「し、しかし・・・」


 行くあてがないのは、事実なのだろう。逃避行を続ける獣人たちの疲弊も高く、装備も食糧も十分とは言えない。


「私は、タクミを信じるわ。だからお願い何かあったら私が責任を取るから一緒に来て・・・」


 ヒルデが、獣人たちを説得する。男達は、まだ不満を述べるが、小さな子供を抱える女性たちは、ヒルデに従うと言ったので仕方なく街へ行くことを了承する。

 散り散りになった獣人たちを集めながら街へと向かう。


「あれが、俺の作った国・・・ミクスの街だ。住人はまだ俺とメグミ2人しかいないけどな」


 獣人たちに街を指さしながら説明する。その街の規模や姿に驚きを隠せない獣人たちはためらい警戒もしたが、何とか説得して門をくぐった。


『タクミどうしたんだい』


 門を抜けるとホクトとナントが駆けつけてきた。


「獣人達が、人族に襲われたらしい。難民になってこっちに向かっているから保護するつもりだ。ホクトとナントは、はぐれた獣人や動けない獣人がいないか森を探索してくれ」


「ガスターン!」


 上空に待機していたガルイーグルが降りたつ。


『主・・・どうすればよい』


「南に飛んでくれ。獣人たちの里がどうなったのかを知りたい。人族の動きがあれば教えてくれ」


『心得た』


 言うや否やガスターンは、空へ舞いあがる。


「お、おまえは何を・・・」


 獣人の男が俺にそう聞くので


「ああ。俺の仲間だよ。ロドス達がどうなっているのかを調べるように頼んだ。時期に情報が入るだろう。それよりもまずは、お前たちの休息と食事だ」 


 居住区へ獣人達を案内する。こう言う時は、個別に分けるよりも安心を得られるように集合住宅にすべきだと考え、家族向け集合住宅へ連れて行く。一階ホールに設けられたスペースに獣人達を休ませると四次元ポケットから作りおいた食べ物を出しテーブルに並べていく。途中、メグミが合流したので暖かいスープを作るように頼んだ。


「食べ物に心配いらないからな。好きなだけ食べてくれてよい。後、怪我人がいたら治療するから連れてきてくれ、重症者から順に治すからな」


「みんなちゃんと聞いた?怪我した人は、こっちに集まって。まだ動ける人は、怪我した人を誘導してあげて・・・」


 ヒルデや女たちがテキパキと動きだす。獣人の男達も子供や女たちの動きを見てようやく手伝ってくれるようになり、けが人を運んだりするようになった。


「よし。大丈夫だからな・・・もう少し辛抱してくれ・・・」


 声をかけながら治癒魔法を使う。最初の男は、肩から下を大きく切られており、すでに指さきの方が黒くなっている。このままでは、切断も考える必要があるが・・・。すでにレベル9に達している俺の治癒魔法があれば・・・


「おおお!すげーぞ。みるみるうちに傷が・・・」


 側にいた獣人の男が驚いて大きな声を出す。徐々に黒ずんでいた腕に血の気がもどる。ピクリと男の指先が動く・・・


「よし。もう大丈夫だ」


 声をかけると男もほっとしたのか意識を失った。その後も次々と傷や怪我を治していく、疲れからか食事を摂ったものは、次々と倒れるように眠りについていく。

 ようやく、治療が必要な者に治癒魔法をかけ終え、寝る獣人たちの様子を確認してまわる。大丈夫だな具合が悪そうな者もいない・・・が・・・


「ヒルデ・・・ミリアはどうしたんだ?」


 壁にもたれるように眠るヒルデをかわいそうとも思ったが、どうしても聞きたかった。


「ミリア・・・は、途中ではぐれてしまって・・・。里を出る時には側にいたんだけど・・・」


 話す途中からヒルデの目から大量の涙があふれる。


「みんなを連れて逃げなくちゃならないし・・・後ろから人族が迫ってくるし・・・もうどうしてよいのかわからなくなって・・・」


「もう良い・・・事情はわかった。起こしてすまない今はまず休め・・・」


 ミリアの安否が心配だな。ロドスの強さを考えてもそう簡単には獣人たちも負けないだろうが・・・これだけ早く女子供を逃がしたところを見ると人族の襲撃はかなりのものなのだろうな。


『主・・・』


 ガスターンか・・・。外に出るとマンションの上にガスターンがいた。


「どうだった?」


『南に向かうとところどころに人族の兵士がいる。主が言っていた獣人たちの里はすっかり占拠されていた。捕らえられた者たちは、拘束されているようだった』


「ロドス達は負けたのか・・・途中に逃げ遅れた獣人たちはいなかったか?」


『追跡が激しかったのだろう。捕まり連れられていく獣人がいたが、他には姿は見えなかった森に身を隠しているのだろう』


「そうか・・・色々すまなかったな・・・助かった。ゆっくり休んでくれ」


『主・・・』


 なぜだろう・・・。人族が獣人の里を襲う理由があるのか?

 いやまてよ・・・メグミが王都を去ることになった理由は、ダンジョンを俺達が攻略したためだったな。


「王都は、追い詰められているのか?」


 うかつだったかもしれない。俺達には手が出せない。ここまではこないだろうと・・・。貴重な収入源を失い経済が停滞することも、冒険者が王都を去るだろうことも俺には予測できたはずだ・・・


「俺が甘かったのか・・・」


「タクミ・・・」


 側にメグミがいる。なんだよ・・・ホクト達もいるのか・・・


「すまん。少し俺の考えが甘かったみたいだ。結果的に獣人族に迷惑をかけてしまったかもしれない」


「でも・・・タクミが悪いわけじゃないよ」


 わかっている。でも・・・種をまいたのは俺だ。


『抱え込みすぎると身を亡ぼすよ』


 ああ。そのとおりだ。だけどな・・・


「ああ。わかっているつもりだ。心配をかけてすまないが、けじめもつけたいんだ」


『どうするつもりだい』


「ロドス達を獣人たちを救えるだけ救いたい。せっかく街を作りこれからって時だけど・・・メグミ達を危険にさらすことになるかもしれないけど、ほっておくことは俺にはできない」


「いいよ。私はタクミについていくって決めてるんだから」


『僕はメグミが望む道を共に歩むからね』


「助かる。頼みがあるから聞いてほしい。メグミとホクトには、この街の守備と獣人たちの世話を頼みたい」


「え?一緒に行くんじゃないの?」


「そうしたいのもやまやまなんだが、怪我人を放置していくわけにもいかないしな。メグミには、獣人たちの世話を頼みたい。食料は、メグミのマジックバックに分けておくから好きなだけ使ってくれ。ホクトには、街の外の警護と森に潜む獣人たちの保護を頼みたい。一応、妖精の池の水龍あたりにも声をかけて危険になるかもしれないと伝えてくれ。ホクト達がいれば簡単には、街へ侵攻できないはずだ。俺は、ガスターンと空から獣人たちが捕らえられている場所へ潜入し、脱出を図るつもりだ。うまくいけば、ロドスやミリアも救い出せるかもしれない」


「そこまで考えているなら止めてもだめだね。いいよ。タクミが簡単にやられたりしない事は信じているから。でも・・・もし・・・どうしようもない状況になったらタクミの命が優先なんだからね。もし、タクミの身に何かあったら私は新婚早々未亡人になるんだよ・・・そんなの絶対に許さないんだから」


「ああ。俺だってまだ死ぬつもりはないからな」




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