商人はいつだってたくましい
スノーエイプに襲われていた3人の妖精が街の公園にある池に住みついた。最初は、色々言っていたけど今は好き勝手に噴水の周りを飛び回っている。住む住人もいないので妖精たちも周囲を気にせずに遊んでいた。ホクトとナントも時間があれば、スノーエイプを追い払うように池の周辺を巡回しているからそのうち池に戻れる日も来るだろう。
街造りも落ち着き、今日は何をしようかと考えていたら
「ねえねえ・・・知らない人が街の中にいるよ」
「うんうん・・・街の中をきょろきょろしてたよ」
妖精ガールズが耳元を飛び回りながら報告してくれた。どうやら誰かが街に入ったようだ。
「メグミー!街に誰か来たみたいだからちょっと出てくるからなー」
キッチンで調理するメグミに出かける事を伝えると妖精の後を追う。ちなみに妖精の男の子の名前は、ホルト。妖精の女の子は、キルルとキコルと言うそうだ。
キルル達の案内で街へ出るとほどなく1人の男が歩いているのを見つけた。人族か・・・
「やあ。初めまして」
きょろきょろする男に声をかけるとビクッと振り向いた。
「お、驚かさんといてください。びっくりしましたよ」
「それはどうも・・・。俺はこの街の代表者をしている者ですが、この街にはどのような要件で?」
「え?この街の代表の方ですか?誰も住んでいないようなので、この街がどうなっているのかと思ってましたよ」
「ええ。まだできて間もない街ですからね」
信頼がおけないうちは、あまり多くの事は伝えられない。人族ならなおさらだ。
「私は、商人をしておりまして、ドワーフの村に買い付けに行く途中にこの街を見つけたので立ち寄らせていただきました」
「ああ。ドワーフならこの街を出て北東に進むと鍛冶の煙が見えると思いますから、その煙を頼りに進めば村まで行けるはずですよ」
「なるほど煙を頼りにするとは良い考えですね。実は、この辺まで来たのは初めてでして不安も多かったのですよ」
「そうですね。魔物も結構いますし、迷いやすい森ですから気をつけてくださいね」
この街の事をあれこれ人族に伝えられたくはないので無駄な情報は渡さない方がいいな。
「と、ところであたなは、この街の代表者と言いましたが人族の方ですよね?こんなところにこんな立派な街を作ってどうされるおつもりですか?」
詮索は無用だよ
「まあ、変わり者ですから。気まぐれですよ。それよりも早く行かないとドワーフの元につくまでに夜になってしまいますよ」
「おっと、それもそうですな。どうにも商人をしていると情報もばかになりませんからな」
そう言うと周囲をきょろきょろしながら東門から商人の男は出て行った。一応、念のためにだが・・・
「ナント!今の男を尾行して本当に商人の男かどうか探ってくれ、途中で怪しい行動をとるようだったらそれを報告してほしい」
『主様の御意のままに』
ナントは、消えるような速さで男を追う。
ナントを見送りながら俺は考える。街の出入りくらいは監視できた方がいいな・・・門を閉じておく方法もあるが、何かいい方法がないかな・・・猫の手も借りたいくらいだな
「猫の手か・・・」
家に戻り、メグミの作った昼食を食べる。人族の商人に会ったことをメグミに伝え、ドワーフの村へ行った事やもしかすると人族にこの街の事が知れるかもしれない事を説明する。
「それにしても手が足りないからな。少し手を増やすことができるようにするつもりだ」
「どうやって増やすの?誰かに来てもらうとか?」
「それなんだが、少しテイムスキルで従魔を増やそうと思うんだ。複雑な事じゃなく見張りなんかに使えるような魔物をテイムするつもりだ」
「そうね・・・。空とか飛べる魔物とかが従魔にいると便利よね」
「ちょっと山とか森に出て手頃な魔物をテイムしてみるよ」
「うん。気をつけてね」
出かける準備をする俺にメグミがピタっと張り付く・・・
「ああ、気をつけて行ってくるよ」
そう言ってぎゅっと抱きしめてキスをしておいた。行ってきますの・・・だな
「私も何か初めて見ようかな・・・」
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「さて、どんな魔物が良いかな・・・」
狩りをしながら魔物を物色する。まずは、メグミも言っていたが、飛行能力のある魔物がいいな。高い所には、鳥がいるだろうから山へ向かうか・・・
山道をはずれ、崖沿いに目を光らす・・・こう言うところに鳥は巣を造るだろうからな。崖の下から上を見ていると遠くの空を飛ぶ鳥が目に入る。
「鳥形の魔物だな・・・」
近くに巣があるかもしれないので崖に沿って上を見ながら歩く、首が痛いな・・・
「索敵してみるか・・・」
索敵スキルを使い周囲を確認する・・・といくつかの反応・・・そしてこれは
「クエエエエエエ!」
かなり大きな声の主が、頭上に現れる。巣の卵でも狙っていると思ったのか羽ばたき俺を威嚇する。
ロックバード
レベル 33
HP 425(425)
MP 80(80)
力 142
体力 80
器用 35
素早さ132
魔法 23
抵抗 31
ロックバードか、レベルも高いし悪くないかもしれない。標的に定め、ロックバードをどうやってテイムするか考えていると・・・
そのさらに頭上から現れた影にロックバードも俺も隠れてしまう・・・
「何が・・・」
そう言ったとたんに頭上で俺を威嚇していたロックバードを、両足握り潰すようにつかんだ鳥の魔物と目があった。こいつは・・・
ガルイーグル
レベル 62
HP 1405(1405)
MP 246(246)
力 370
体力 250
器用 180
素早さ 465
魔法 172
抵抗 278
スキル 爪撃レベル3 風魔法レベル3 索敵レベル2
かなり高レベルな魔物だ・・・この辺りの食物連鎖の頂点かもしれないな。山頂近くにいた魔物も強かったが、この辺りにもこれくらいの魔物がいるのか・・・
だが、今なら・・・。飛行魔法を使う・・・かつては、MPが足りず使えなかったが、今なら十分使うこともできる。人目がない所で練習しておいたしな、遠慮なく使わせてもらおう。
タクミ・シスミ
レベル 86
HP 4209(4209)
MP 3630(3630)
力 201
体力 193
器用 180
素早さ 202
魔法 195
抵抗 185
タクミの主な戦闘スキル
剣術レベル10 体術レベル10 身体強化レベル10 気功術レベル10
爆発魔法レベル9 結界魔法レベル9 毒魔法レベル9 神聖魔法レベル10 治癒魔法レベル9
雷魔法レベル8 危険察知レベル10 高速思考レベル10 金剛レベル3 自然回復レベル3
飛行魔法レベル6
この1年で俺達は、さらに力を増しているからこの程度の魔物なら心配はない。飛翔する俺に驚きロックバードを手放したガルイーグルもは、空中戦では負けないとばかりに爪を立てる。
「よっと」
さすがにステータスでは及ばないな・・・。鋭い爪が俺を襲うが無軌道に飛ぶことができる俺は急上昇や急降下を繰り返したりできるので簡単にはもらわない。
「ライトニング!」
雷魔法を放ち、ガルイーグルの出鼻をくじくとガルイーグルは、回避するため左に旋回するが、高速思考で先を読む俺は、次の雷魔法を完成させてその場所へ放っている。
雷撃の直撃を受け錐もみしながら墜落していくガルイーグルを飛行魔法で追跡する。途中で羽ばたき再び宙を舞おうと試みるガルイーグルの背中に飛び乗りガルイーグルの首を絞める。ステータスではかなわないが、身体強化した俺が締め付けると暴れても振りほどく事は難しい。
俺とガルイーグルがもみ合いながら落下していく、ガルイーグルは何とか振りほどこうともがくが俺はそれを許さない。間もなく地表にと言うところで俺の飛行魔法がガルイーグルと俺の落下を止める。そのままゆっくりと地表まで降りるとそのまま大地にしばりつけた。
「テイム」
テイムスキルを発動する。スキルが発動したのかMPが1200くらい減った。ずいぶんと消費するな・・・相手のレベルが高いからかもしれないが・・・
光がおさまるのを待つとガルイーグルも暴れるのをやめた。用意しておいたミスリルのブレスレットをガルイーグルの太い足につける。
「俺の声がわかるか?」
『聞こえておる・・・主よ・・・』
「悪いが、少し手を借りたい。無理をさせるつもりはないから協力してくれ」
『強き者に従うは、自然の事ゆえ不満はない』
「俺は、タクミ。この先に見える新しい国の王だ」
『なるほどな。主は、王か・・・』
「おまえの名前は?」
『我の名は、ガスターンだが、主が名づけるのではないのか?』
「そうだが、せっかく良い名があるようだからそのまま使わせもらうぞガスターン。これより俺の国の象徴の1つとして国を守ってくれ。今思いついたんだが、俺の国の旗は、狼と鷹にするつもりだ」
『ほう・・・国の象徴とはな。心得たぞ主よ』
「それと食べ物に苦労はさせないから安心しておけ」
ガルイーグルを空に放つ。
「呼ぶまで好きにしていてかまわん。そのマジックアイテムがあれば居場所もわかるはずだからな」
ガスターンは、一気に高度を上げ空の彼方へ消える
「さて、次の魔物を探すとするか」




