ドラゴン
「ぐぎゃるおーーーーーん」
ホクトとナントの後方から聞こえる咆哮は、聞いたものを委縮させるようなものだった。
『威圧効果のあるブレスだ!恐慌を誘うから・・・タクミもメグミも問題ないか』
ナントだけが、咆哮に当てられ身体を震わせている。
『ナントは、まだ進化前だしレベルも低いからちょっと相手が悪いね。僕が避難させるから』
ホクトは、ナントの首を軽くかむようにつかむと後方に軽々と飛び退いた。タクミは、闇の奥にいるであろう新たな敵の方を睨みつけた。
ブラックドラゴン
レベル 81
HP 6290
ⅯP 1250
力 450
体力 562
器用 324
素早さ 278
魔法 402
抵抗 563
スキル ブレスレベル4 威圧レベル3 噛みつきレベル2 闇魔法レベル4 自動回復レベル1
あきらかにこれまでの相手とステータスが違う。基礎値がその種族の力を現していた。
「ブラックドラゴンだ。レベルは81。おそらくこれまでで最強だろう。闇魔法があるから魔法にも注意が必要だ」
メグミに声をかけると
「了解!魔法で牽制するね」
メグミの声に頷くと太刀を構える。メグミが魔法を起動するまで注意を引くようにドラゴンを睨みながら太刀を片手で持ち魔法を使う。
「エクスプロージョン!」
最大のレベルで爆発魔法を使う。激しい轟音が洞窟に響く・・・
「があああああああ『人族ごときが・・・』」
わずかにダメージが入ったのかドラゴンが唸る。同時に念話のような声が響いた。
ブラックドラゴン
レベル 81
HP 6190
ⅯP 1250
力 450
体力 562
器用 324
素早さ 278
魔法 402
抵抗 563
スキル ブレスレベル4 威圧レベル3 噛みつきレベル2 闇魔法レベル4
タクミは、再度鑑定するもHPは、わずか100しか削れていなかった。そして確認するさなかHPは、回復を始める。どこかにやりとドラゴンがタクミを見たように感じた。
「爆発魔法でもこんなものか・・・しかもすぐに回復すると・・・なら!」
再び、魔力を手に込める発動したのは、
「ポイズンダスト!」
タクミが使ったのは毒魔法・・・タクミがイメージしたのは、毒の霧でダークドラゴンを包んだ。毒を吸い込んだダークドラゴンは、最初は何が起きたのかわからないようだったが、徐々にその効果を理解する。
『人族ごときが無駄な・・・ことを・・・』
ブラックドラゴンが答える
「くうっ!これでも回復を妨げる程度か、魔法やスキルへの抵抗が半端じゃないな」
タクミが放った毒魔法は、ドラゴンの回復を妨げる程度の効果しかなかった。
「まあいい、これで自動回復はないようなものだからな・・・」
「ぐおおおおおお『ごみどもよ一掃してくれるわ』!」
ドラゴンは、ブレスを溜める。黒い霧のようなものが開いた口の中に集まっていく。タクミは、結界スキルを張り準備する・・・。
「があああああ!」
ブラックドラゴンから放たれたのは、黒い炎のブレス・・・。結界スキルが炎をはじいていくが、その威力に結界にもひびのようなものが入っていく・・・結界にひびが入ると言う出来事にタクミも少し焦りを感じる。
「メグミ、結界も限界かもしれん!状況によって動くぞ!」
魔法に集中しながらもメグミは頷く。タクミの結界に限界が来るのとブレスが途切れるのはほぼ同時だった。パリンと音が聞こえたわけではないが、そんな音が聞こえそうな形で結界はその役目を終える。
再び、ブラックドラゴンは、ブレスを溜めはじめる。おそらくは、さっきのブレスよりも強く放出するつもりなのだろう・・・。
「ホーリーランス!」
その時、タクミの後ろからメグミが古代魔法を放った。メグミがイメージしたのは、光の槍だ。相手がブラックドラゴンだからと言う理由で選択したのだろう・・・。およそ20本くらいある光の槍は、ドラゴンの頭上に形をあらわすと降り注ぐようにドラゴンを襲う。硬いドラゴンの鱗を貫通し突き刺さる事に成功し、ドラゴンの背には、幾本もの槍が立ち並んだ。
「ぐぎゃおーーー」
ブラックドラゴンがその痛みからか悲鳴をあげるが、闇色の靄がブラックドラゴンを覆うように現れると光の槍は姿を消す。
HPも2500くらい削ることができたがまだ倒すにはいたらない。
ブラックドラゴン
HP 3630
ⅯP 1050
タクミも追撃とばかりに雷魔法を放つが、先ほどからブラックドラゴンを多く闇色の靄が魔法を霧散させる。
「あの靄みないなのが、魔法抵抗しているぞ」
タクミは、すばやくメグミに状況を伝達する。ちょうど後方からナントを安全な場所に置きホクトが戻ったのを確認できた。
『タクミ・・・僕が活路を開くよ』
戻ったホクトが、そのままの勢いでブラックドラゴンを襲う。前足でホクトを牽制するが、ホクトのすばやさには及ばない。ふっと消えるように前足をさけたホクトが、光に包まれた。
ホクトが光に包まれた瞬間、ブラックドラゴンの前足は宙を舞う。
「ぐぎゃーーーーー」
ブラックドラゴンの叫びがダンジョンにこだまする。
『タクミ!』
ホクトの合図に了解とばかりにタクミは、ブラックドラゴンへ疾駆する。前足を失ったブラックドラゴンもその痛みに耐えながらら口でタクミを捕えようと試みる。タクミは、その攻撃を予測していたのか、そのドラゴンの口めがけて
「これでもくらえ」
と爆発魔法を叩きこむ。身体の表皮であれば、魔法をほとんどはじいていたブラックドラゴンも口の中を爆発させられ苦悶の表情で吠える。
「メグミ!」
タクミに連なるように接近したメグミが、タクミの肩を踏み台に飛び越え、氷を纏ったミスリルの剣をドラゴンの頭上に振り下ろす。切っ先は、ドラゴンの硬い表皮を切り裂いたが、ダメージを与えるには少し浅い。しかし、纏った氷はたちまちのうちにドラゴンの頭を氷漬けにする。
メグミの攻撃にあきらかに動きが鈍ったドラゴンは、すでにほとんど動くことができず、そこをオリハルコンの太刀を抜いたタクミが切りつけた・・・
ひゅっ!・・・
タクミが、太刀を鞘に納めるとブラックドラゴンの斜めに落ちる。ブラックドラゴンを倒したの確認したタクミ達は、呼吸を整えながら周囲の様子を確認する。
『もうそばには魔物はいないよ』
タクミ達は、ホクトの索敵報告にようやく緊張を解いた。




