俺達は魔族の国へ
翌朝、タクミ達は、ロドスの屋敷を静かに旅立った。あまり、親しい姿を見せるとまたいらぬ誤解を受けると考えてのことだ。
獣人たちの里を出ると2人は、森を北側に向かい歩きだす。
「なんかホクトの機嫌がいいような気がするよ・・・」
2人の後ろを歩くホクトとナントを見てメグミがそういうと
『メグミ、どういう意味だい?』
と念話が届く。すっかり、ホクトに懐いたナントは、タクミが指示しなければホクトの側を歩くので仲良く連れ歩いているようにも見える。
「まあ、これから仲良く連携していかないといけないからいいだろう」
タクミもその姿を見て好意的にとらえる。
「旅と言ってもダンジョンで使った簡易な家もあるし、食材もまだまだあるからあまり心配はしていないが、魔国に向かう途中の山越えがどの程度のものかによっては準備も必要かもしれないな」
「そうね・・・。暖かい服とかもあるけど防寒具ってのは持っていないから雪が積もるくらい高い山だと厳しいかもしれないね」
『僕とナントは、たぶん大丈夫だけど2人には必要かもしれないね』
「人族の街だと、俺達は指名手配されている可能性が高いからどこかで仕入れるか作らないとだめかもな」
「どこかって?人族以外の村とか里とかってこと?」
「そうだな・・・ロドスから聞いた話しだと山脈のふもとにドワーフの村と北の森にエルフの里があるって言ってたからそこなら人族の手配も及ばないと思うんだ」
「なら、そのどちらかで山越えに必要な物をそろえるってことね」
『じゃあ、僕とタクミで索敵しながら村とかを探せばいいんだね』
「そうなるな。それとこれもロドスから聞いたんだが、山脈には高レベルの魔物がいるし、何か所かダンジョンもあるようなんだ。俺達のレベルももう少しあげておきたいから良い狩場があったら寄り道もしたいんだ」
「そうね・・・自分の事くらい自分で守れるように、私ももっと強くなりたいしね」
「よし、決まりだな。ドワーフやエルフを捜しながら強い魔物を見つけたら倒す。ついでに素材なんかも手に入れておこう。素材や鉱石なんかはいくらあっても邪魔にならないからな」
タクミ達は、次の目標と計画を立てるともくもくと森を進む。
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タクミ達は、数日森の中を進む。タクミ達には、ダンジョンで使ったコテージがあるので野宿しないで済むのがありがたかった。
日暮れとともに当日の移動をやめたタクミ達は、コテージを準備すると夕食を作り始める。
「やっぱりこの森はかなりの広さがあるな・・・」
「そうね・・・私もステータスがあがってなければこんなにも歩いたりできないかも・・・」
2人で協力して夕食を作る。ホクトとナントには、ついさっき倒したオークの肉を塊で渡しておいた。ようやく調理が完成すると少し遅い夕食となった。
「タクミは、エルフとかに会ったことがあるの?」
「いや、ドワーフなら辺境の街で見たけどエルフにはまだ会ったことがないな」
「獣人と人族の仲が悪いのは、わかったけど、エルフとかドワーフってどうなのかな?」
タクミとメグミの会話を聞いていたホクトは
『どちらも人族に対して中立ってところだね。エルフは、自分たちに害がなければ関係ないって考えだし、ドワーフは、鍛冶や酒に関心が強い職人気質が多いから種族の事にもあまり関心を持たない。エルフは、ほとんど森を出ないから会う機会も少ないけど、ドワーフは結構あちこちで見るかもしれないよ』
と2人に念話した。
「ドワーフは、鉱石や酒でも持っていけば懐柔できそうだな・・・。問題があるとすればエルフか?」
『そうだね。排他的な考え方のエルフが多いからエルフの里に近づくと攻撃される可能性もあるよ』
「何かエルフと交渉材料になるようなものがないかな?」
「エルフって何が好きなのかな?」
『菜食主義者で自然と調和して生きるのが森の住人と言われるエルフだからね。あまり、嗜好品ってのもね・・・そうだミスリルで作った物なんかは喜ぶかもしれないね』
「ミスリルか・・・」
タクミは、四次元ポケットからミスリル製品を探す。MPに余裕がある時にミスリルやアダマンタイトなどを使って色々な武器や防具を作っていたタクミは、その中からナイフとティアラを取り出した。
「うわーきれいだねー。それってティアラだっけ?」
メグミが装飾品に反応する。
「ああ。他にも色々と作ってみたんだがなイメージがどうにも地球のものだからな」
「ね、ねえ?これって指輪とかも作れるの?」
「そうだな・・・防具のアクセサリーってことになるからできるぞ」
ミスリルのティアラ+6
防御力 15(+30)
付加 抵抗強化+ 自動修復
「なんか・・・どこかの国の国宝みたいだね」
「まあ、俺も否定はせんが、ようやく防具も作れるようになったからな」
タクミは、何とか鍛冶スキルで防具の軽量化を考えたが、結局うまくいかなかった。そこで思い切って発想を変える事にした。タクミが持つ膨大なスキルの中から教師やカウンセラー系の資格からなぜかもらった「付与スキルレベル7」を使う事にした。この付与スキルは、対象物に特定の魔法などを付け加えると言うもので大量のMPを必要とするが、効果は大きかった。
「これを見てくれ」
タクミが四次元ポケットから女性用の鎧と思われるものを取り出す。出したそばから光り輝くその鎧は鏡のように見る者を写す。
「うわっ。すごいねこれ・・・女性用だね・・・ひょっとして私のかな?」
「ああ。一応メグミ用に作った。気にいったら持っててもいいし必要な時に使ってくれても良い」
オリハルコンの鎧+8
防御力 120(+80)
付加 抵抗強化+ 自己修復+
付与 軽量化 瞬間装着 自動回復
「一応、俺にも同じ性能の鎧を作ったんだが・・・欠点がな・・・」
「『目立って仕方ない』ね」
そう光り輝く鎧は、どうやっても人目を引き付ける。
「そうなんだ。こんなのを着て歩ける場所はあまりないだろう・・・付与スキルで目立たなくする魔法をかけることも考えたんだが、どうも3つまでしか付与できないみたいでな・・・2つの鎧に大量にオリハルコンを使ったからオリハルコンの在庫もなくなったし・・・」
「で、でもすごい性能なんだからダンジョンとか人目のないところなら使えばいいよ」




