私の一人旅 4
「何?逃げただと・・・馬鹿な事を言うな!」
クライスは、報告に来た兵士を怒鳴りつける。王城のそれも監禁を目的とした部屋からどうやって女1人で脱出できると言うのだ・・・。仲間や何かがいても王城に忍び込むなどできるはずもない。
「女は、部屋の扉を破壊するとグレイウルフと連れ立って王城から脱出した模様です。部屋の扉は、魔法か何かで破壊されておりました。王城内で多数の兵士が相対しましたが、協力な魔法とグレイウルフの攻撃を受け突破されたようです」
「今、その女はどこにいる?」
「はっ!王都の北門から王都の外へ逃走したところまでは確認しておりますが、その後の行方はわかっておりません。現在、周辺の探索を行っています。また、女が自宅としていた王都内の屋敷に踏みこみ情報を集めております」
「女は、すでに王都から逃れたか・・・。私は、このことを王へ報告する。お前達は、引き続き捜索に当たれ」
クライスは、兵士に指示すると王への謁見許可を申請、許可を得るとすぐに王の間へ足を運んだ。王に謁見したクライスは、怪しい女が王都から逃げだした事、その女と連れの男が尋常でない力を持っており、おそらくダンジョンを攻略した事を報告する。そして・・・
「その者たちは、魔族である可能性があります。急ぎ王国内や友好国に知らせ捕えることをお勧めします」
クライスは、王にタクミ達が魔族である嫌疑をかけた。
「本当にその者たちは、魔族なのか?世が、王になってから魔族が山脈を越えた事はない・・・魔族である証拠か何かがあると言うのか?」
王は、クライスに尋ねる。
「捕えた女は、王城の控えの間から単身脱出しております。あの部屋の扉は通常の魔法スキルなどでは、破壊する事はかないません。人ならざる者でなければ出られない部屋から出たことこそ魔族である証かと考えます。また、他の冒険者の報告によれば、その女の連れも見たこともないスキルや設備を使用し、ダンジョン7階のオーガすら1撃で仕留めるような力を持っているとのこと。これまで王都で有名を馳せていた冒険者達が、口をそろえてその者たちを異状だと申しております」
クライスの弁は、理に適っており王もそれ以上の問いを避ける。ほどなく、王命と言う形でタクミとメグミは、指名手配されることとなり、王国内外に知られる事となる。
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『メグミ・・・この先の街もだめだ』
「私達ってすっかりお尋ね者って感じだね~」
メグミとホクトは、北門を抜けるとすぐに東に進路を向けたが、人目を避けながらの移動となったため、先々の街には、すでにメグミ達を捜索する兵士であふれていた。
メグミのマジックバックには、必要な物が揃っているため物資に困る事はほとんどないのだが、野宿が続く生活は若い女性にとってうれしいものではない。
「お風呂だけでも何とかならないかな~」
追い詰められている状況からは考えられない悩みだが、メグミが一番困っているのがお風呂事情だった。タクミの持っているコテージがあったら便利なのだが、あいにくもっていない。
「タクミ・・・この事知らないよね。行く先で捕えられたりしないかな?」
『タクミなら心配ないだろう・・・むしろこっちのことを心配するだろうね』
無事であることや王都を追われた事を早く伝えないといけないけど、タクミがどこにいるのかわらないためメグミ達は進路を迷う。
「獣人の森へ向かおう。辺境の街の東か南東に獣人が住む森があるってタクミも言っていたし・・・」
『そうだね。タクミの事だから何かつかむのも早いだろうし近くまで進む方が確率も高いだろう』
メグミが決断し、ホクトが賛同する。メグミ達は、辺境の街を超えて東の森へと向かった。
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「結構、奥まで来たけど・・・」
『魔物がいるくらいであまり他の気配はないね』
メグミ達は、森の南東へ踏み込んでいる。時折、魔物と遭遇するくらいで獣人は、なかなか見つからない。
メグミ達は、さらに奥へと進む。
『メグミ!どうやら出会えたみたいだよ』
メグミは周囲を見渡すと茂みの中から何人かの獣人が現れた。
「人族が森になんのようだ?」
獣人の男が警戒しながらメグミに声をかけた。
「私は、タクミと言う人を探しています。何か心当たりはありませんか?」
メグミの反応に男達は、顔を見合わせた。
「おまえはなぜタクミを探している?」
「えっと・・・タクミの婚約・・・者ですから・・・」




