私の一人旅 2
「よし、できた!」
今日も朝からメグミは、調理を続けていた。これで朝から3度目となるスープができあがる。スキルを上げるには反復が一番重要な事を知っているメグミは繰り返し調理していた。
ホクトは、そんなメグミの様子を見ながら、欠伸をする。最近、メグミは、買い物以外ほとんど家から出ることもなく調理や掃除、洗濯を繰り返しているのでホクトにはほとんどすることがない。あれだけ、側にいるときはうっとおしく感じたナントもいないと寂しいと思っていた。
『メグミ、お客さんみたいだよ』
ホクトは、家の外に人の気配を感じメグミに伝える。
「お客さん?珍しいね」
メグミは、火を止めて玄関へ向かう。そこには一人の男が立っており
「ああ、ちょうどよかった。ええと、メグミさんでしょうか?タクミと言う方とパーティーを組んでいる方ですよね」
その男の言いようが不思議でメグミは次の言葉を失う。男は
「突然で申し訳ない。冒険者ギルドの職員なのですが、王命で冒険者の方に参集をお願いしています。あなたたちも対象に入っているのでご同行願います」
気がつくと男とメグミの間にホクトがおり、それぞれの顔を見ている。
『メグミ、少しだけ嫌な予感がするけど、どうしようか?』
『王命ってのが気になるけど、タクミがいないしどうしようかな』
メグミは
「あのー。うちのリーダーは、今王都を離れていて私は留守番をしているのですが、私がいかないとだめでしょうか?」
そう男に聞いてみると
「一緒の方は、どちらに行かれているのですか?」
「はい、辺境の街まで出かけていますのでしばらくは戻らないと思います。私には1年くらい戻らないと言って出かけていますので・・・」
「1年もですか・・・。それなら申し訳ないですが、あなたに来てもらいます。一応、王命と言うことになっていますので断られないほうが良いと思いますので・・・」
男は、申し訳なさそうにもメグミについてくるように告げる。
『ホクト・・・仕方ないからついていくよ』
メグミはホクトに念話すると
『そうだね。事を荒立てても良い事はなさそうな雰囲気だし、僕がいるから大丈夫だよ』
ホクトの心強い返答に安堵しつつ
「わかりました。これからすぐにですか?」
「いえ、ご自宅もわかりましたので今日の昼過ぎに冒険者ギルドの2階までお越しいただければ結構です」
男は、そう言うと帰っていった。男を見送ったメグミは、何が起きたのか?なぜ、ギルドが自分たちを読んでいるのかを考える・・・
「ねえホクト・・・何のために呼び出しなんてするのかな?」
『そうだね・・・ダンジョンの事だろうね。ひょっとすると僕たちが攻略した事でダンジョンが変質したのかもしれない。僕たちがボスを攻略したからもうダンジョンとして機能していないかもしれないしね』
「ダンジョンってボスを倒したら機能しなくなるの?」
『ダンジョンコアってのがあるダンジョンは別だけど、大抵はボスを倒したらダンジョンはそのダンジョンは機能を停止するんだ』
「そっかー。じゃあこの王都のダンジョンも機能しなくなっているかもしれないんだ。私達って、王都のダンジョンを攻略した罪でつかまったりするのかな?」
『まさかね・・・そんな事したら冒険者達が黙っていないだろうし、ただ、おもしろくないと考える人もいるかもしれないね。何か聞かれても知らぬ存ぜぬで通した方がいいかもね』
「了解。タクミもいないし、中層の入り口あたりで狩りしてたと適当に言う事にするよ」
2人は相談を終える頃には、昼になり簡単な昼食を食べるとメグミはギルドに向かった。
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ギルドの2階には、屈強な男たちが集まり、自分たちが何のために呼び出されたのかを話あっていた。
「おまえ!何をやらかしやがった?」
「馬鹿言うな、俺は何も問題になるような事はしちゃいねえ」
「あれか?今噂になっているダンジョンの事かなにかか?」
「そうかもしれねえな・・・この中にダンジョンを攻略した奴がいるとかな・・・」
男たちの会話がギルド2階の会議室で続いている中、
「し、失礼します」
と言ってメグミが入室する。数人の男は、ダンジョン中層で何度か見かけた事があるのでまったく知らない人ばかりではないが、20人近い男の中に女性はメグミ1人しかいなかった。
私・・・場違いだよね・・・。メグミが心の中でそう感じていると後ろからギルドマスターの男と国の監察官の男が入ってきた。
「皆、静粛に席についてくれ!」
ギルドマスターがそう言うと、男たちはそばの椅子に腰を下ろす。メグミもそばにあった椅子にちょこんと腰をかけた。ギルドマスターは、全員が座ったのを確認すると
「今日、集まってもらったのは他でもない。皆が挑戦しているダンジョンについてだ。今日はこちらに王の監察官の方がいらしているので話を聞いてほしい」
紹介された監察官の男は
「王の命で、ダンジョンの異変を調査している監察官のクライスだ。今日は、お前たちにダンジョンの異変について情報をもらうつもりだ。質問にはきちんと答えるように!」
監察官の男がそう言うと
「おい、冒険者の矜持ってのがあるだろう。いくら国のえらいさんでも冒険者のルールを無視されちゃ、俺達も困るってもんだ」
すぐにそうだそうだと冒険者の男たちが騒ぎだす。監察官の男は、ため息をつくと
「おい!お前たち」
と声をあげると廊下から王国兵がなだれ込む。武装した王国兵に囲まれた冒険者達は、監察官を睨みつけ一触即発の状況になるが、監察官の男はつまらなそうに
「だまって言う事を聞けばよい。痛い目にあいたくなければさっさと答えろ!」
威圧的な言動に場の空気は一層悪化する。たまりかねたギルドマスターが、
「お、お前たち、争うのはやめろ。無駄に抵抗はするな・・・」
ギルドマスターの言葉に不満を感じながらも冒険者達はしぶしぶ席にもどる。それを確認したクライスは
「お前たちも知っているようにダンジョンに異変が起きた。調査の結果、ダンジョンが攻略された可能性が高い。お前たちの知っている情報を教えろ」
クライスの言葉に冒険者達も顔を見合わせる。
「俺達もダンジョンの異変には気が着いているが、ダンジョンが攻略されたって話は噂でしか聞いた事がない。何をどう答えれと言うのだ?」
冒険者の男がそう答えるとクライスは
「おまえは、何階まで攻略していた?」
「それを答えろと?」
「そうだ、まずはそれを答えろ。そして、互いに目撃したのならばその階で見かけた奴を教えろ」
物言いに不満を感じる冒険者達を前に一歩もひかずクライスは尋問する
「ちっ!冒険者の隠し事をなぜ教えなければならない」
冒険者の男が不満を言うが
「拷問なんかはしたくないのだがな・・・国家への反逆者として取り扱うまでよ」
クライスの目は冷たい。さすがに冒険者の男たちも観念したのか
「6階だ。うちは6階までしか行ってない、7階の階段を探している途中だ」
「俺も6階だ。7階の階段は見つけたが、7階の魔物には歯が立たねえからな。7階は1度行ったきりだ・・・」
冒険者の男たちは、次々と進捗状況を伝えていく。メグミも嘘がばれないように合わせるつもりで
「私達も7階の入り口を見つけたところです」
と答えた。
「ほう、女連れで7階までたどり着くとはな・・・たいしたもんだ」
他にも女連れのパーティーはあるが、その数は少ない。まして、メグミのように若く華奢な女は多くないのだ。
全員の返答を聞いたクライスは、
「さて、今の会話におかしなところはないか?嘘を言っている奴はいないか?」
と言って冒険者達を見渡した。
すると




