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俺に異世界にいく資格はあるのか?  作者: 花山 保
異世界で俺は・・・
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俺の一人旅 1

 春の陽気が降り注ぐ森を進む。木々の揺れる音が耳に心地よい。


 側をついて歩くナントが、びくりと森の奥へ視線を向ける。


 俺は索敵を使い周囲の様子をうかがう・・・二足歩行・・・3体か。


 俺は、四次元ポケットから玉鋼の太刀を取り出し、鞘に入れたまま左手に持った。ナントが、唸り声を鳴らす・・・。


 茂みの中から現れた魔物を鑑定する。


キラーエイプ

レベル  27

HP  470

ⅯP  130

力    85

体力   90

器用   90

素早さ 102

魔法   65

抵抗   73

スキル ひっかきレベル2 組織行動レベル2

武器 こん棒 攻撃力 15


 素早い動きをするキラーエイプにすれ違いざまに太刀を浴びせる。キラーエイプの身体は上下に真っ二つになり絶命する。仲間の死に一瞬たじろぐ残りのキラーエイプ・・・。俺が前に出ると後ろに下がる・・・おびえているな・・・。

 キラーエイプが躊躇しているところに横からナントが噛みついた。首筋に深く噛みつかれたキラーエイプの首から鈍い音が聞こえた。残る一匹は、俺達に背を向けるとすばやく逃げ去っていった。ナントが追おうとするが、俺は静止する。


「ナント、追わなくて良い」


 ナントは、了解とばかりに俺の側に戻る。何かの足しにとキラーエイプも解体スキルで解体し、解体時に現れた「キラーエイプの肉」をナントに与える。


 俺も休憩するため四次元ポケットから飲み物を出し倒木に腰を掛けた。


「かなり、森の奥まで来たけど・・・出てくるのは魔物ばかりか・・・」


 俺は、辺境の街にある森を奥へ奥へと進んでいる。この世界に初めて来たときにヒルデとミュアに会った森を奥へと進んでいる。もしかするとまた会う事になるかもな・・・


 休憩を終えると俺とナントは、再び森の奥へと歩き出す。


 あれから1年か・・・。


 数時間歩くが、特に気になるものや獣人の気配を感じられるものは見つからない。何か痕跡でもあればたどってみるのだが・・・ナントの鼻があるから匂いをたどるのもありかもしれない。


 俺達は、夕食を兼ねた休息をとる。今日はここで休むことにするか・・・。俺は比較的見通しの良い場所を選びダンジョンで使っていたコテージを取り出した。


 俺とナントは、コテージの前でたき火をする・・・俺はあえて目立つことで獣人のとの接触を期待していた。こっちから見つけられないなら、あっちに見つけてもらえば良い・・・。


 たき火でⅯPで出した牛肉を焼き塩コショウをかける。すぐに良い匂いが周囲に広がる。ナントには、生肉を与えておいた。ナントは、近頃1度に数キロも肉を食べるので、素材やⅯP消費もばかにならない・・・。


 焼けた牛肉を口に運ぶ・・・ジューシーな肉汁が口にあふれる。異世界に来て、食べ物に困らないってのは恵まれているな・・・。


「おまえらも食べるか?」


 俺は、日も落ちかけた薄暗い森に向かって声をかけた。ようやく接触か・・・

 

 森から何人かの男達が顔を覗かせる・・・。1人、2人・・・全部で6人か・・・。


「人族がこんな森へなんの用だ・・・」


 ケモミミも男の獣人だと・・・どこかの野獣を思い出すな・・・


「少し獣人の事を知りたくてな・・・お前たちに会いに来た。俺に悪意はない・・・良かったら俺をお前たちの村か街へ連れていってくれないか?」


 俺の提案は、獣人にとっては受け入れがたいものなのはわかっている。だが、最初に嘘をつくのは得策とは思わない。

 獣人の男がふざけるなと言わんばかりに俺に敵意を向ける。


「おまえ・・・自分が何を言っているのかわかっているのか?」


 獣人の中のリーダーなのか最初に声をかけた男が俺に問う。


「そうだな・・・俺はお前たちのことをよく知らない。お前たちと人族の間にどんなことがあったかも聞いただけしかわからない。お前たちの話しを聞こうと思ったのは知らないからだ・・・」


 獣人の男達の反応を見るとどれほど人族が憎いのかがわかる。


「だめだ!おまえなど・・・人族など連れていけるか」


 リーダーの隣にいた男が吠える。


「ならどうする?いつまでも睨みあうだけじゃ何もかわらないぞ・・・」


「やめろ!お前も無駄に挑発するな」


 リーダーの男が仲間を抑える


「俺達は、おまえと争う気はない。これ以上進むなと警告に来ただけだ・・・」


「俺が、これ以上進めば、いずれお前たちと接触する事になる。避けられないものなら迎え入れた方が無難じゃないか?」


「おまえの要求は滅茶苦茶だ・・・」


「ああ、それはわかっている。お前たちが俺を簡単に連れて行けないのもわかっている。だから、争わず、穏便に進めたいと思う。そうだな・・・まずは、一緒に飯でも食わないか・・・」


 俺は、そう言うとたき火で焼いていた肉が刺さった串を差し出した。獣人の男達は、顔を見合わせ、何か話し会うと・・・意を決したのかリーダーの男が俺の前に座った。俺は、串を2本つかみ、好きな方をとるように前に出す。男が1本を手に持った後、俺はもう1本の串に口をつけた。


「うまいと思うぞ・・・」


 敵意がない事を伝えるとリーダーの男も肉を口にした・・・。肉の柔らかさとうまさに驚きリーダーの男は目を見開いた。前にミュアが驚いているのを見ているからな・・・


「う、うまいな・・・」


 リーダーの男の感想に後ろの男たちの表情も変わる。


「肉はまだある・・・みんなで食わないか・・・」


 俺は、新たに肉を焼き始める。男達も顔を見合わせ、席についた。多くは語らない・・・嘘くさくなるからな・・・。俺には嘘をつく必要も媚びを売る必要もない。


「前にな1度・・・、そう1年くらい前になるか。俺は、この森で獣人に会ったことがある。」


 俺が話すと肉に集中していた男達の意識がこっちに向けられたのがわかった。


「会ったのは、小さな女の子とその姉だった。森でオークに襲われていたのを俺はたまたま助けた」


 男達は黙って聞いている。


「お前たちと俺との接点はそれだけだ・・・。俺は、今、何をなすべきなのかを見つける旅をしている。その旅の中でお前たちの声を聞きたいと思った。だから俺はここにいる」


「お前の目的は、なんだ?」


 ようやくリーダーの男が声を出した。


「言っただろ・・・お前たちの声を聴くことだ」


 


  

  

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