俺達のダンジョン 5
俺達の、ダンジョン攻略も徐々に進んでいる。
俺達は、中層に行くようになってからは、1度潜ると10日近くダンジョン内で過ごすので、月に1度ダンジョンに入り、あとは休息にあてるようにしている。どれだけ準備をしても精神的につらいからな・・・。
王都の冒険者ギルドの情報では、1級冒険者をリーダーとするパーティーが、現在の最高到達者となっていたが、実際に何階まで進んでいるのかは教えてもらえない。うわさでは、確かレベル120のサントスって人がリーダーをしているパーティーで、他のパーティーメンバーもかなりの強者のようだ。きっとかなりの実力者なのだろう。今このパーティーは、特別クエストを受けて他国まで行っており王都にはいないそうだ・・・
俺達は、上層の敵を無視するように通り抜ける。道も覚え慣れてきたので時間はそれほどかからない。中層のマッピングも7階までは完了しているから迷わず7階まで来ることができる。
中層の1階や2階では、稀に他の冒険者を見かけるが、3階以降で他の冒険者に会うことはなかった。俺達は、できるだけ他の冒険者と出会わないように避けてダンジョンを進んでいるからな・・・。
あと、俺達が、中層に行っている事は、ギルドに伝えてあるが、7階まで進んでいることは伝えていない。
俺達は、7階までたどり着くとその日は、滞在用のコテージを出して休息する。ここまでを1日で終える強行移動だ。ダンジョンに潜るたびに工夫をするので徐々に快適に過ごすこともできるようになった。今日は、皆で夕食を摂り、疲れをとるため早めに寝る。
俺は寝ている間に、何かの気配を感じコテージの窓から外をのぞくと結界の外にオーガが見えた。普通のオーガよりも巨大な棍棒を振り結界を攻撃している。俺は、うるさいので武器をもってコテージを出る。
まだ、ゆっくり休みたいかなら・・・俺は、身体強化と気功術を使い強化すると四次元ポケットからオリハルコンの太刀を取り出した。
「丁度いいな・・・一度切れ味を試しておくか・・・」
普段は、玉鋼の太刀で十分なので使う事はないが、この先必要になるかもしれないからな・・・。
俺は、右手に太刀を持ち、オーガに相対する。結界を解くと同時に左手から雷魔法を放ちオーガの視界を一瞬奪う・・・その一瞬に俺は両手でオリハルコンの太刀を真一文字に振りぬいた。
ヒュッ!
オリハルコンの太刀は、何の抵抗もないようにオーガの身体を両断する。そのあまりの手ごたえのなさに俺がバランスを崩すほどだ・・・。
俺は、倒したオーガを解体スキルで解体し、現れた素材を収納する。そして、俺は再び結界を張るとコテージで横になった。隣の部屋で寝ているメグミから
「何かいたの?」
と聞かれたので
「ああ。大きめのオーガが騒音を立ててたから静かにしてもらった」
と答えておいた。
翌朝・・・。朝かどうかは、ダンジョン内ではわからないが、数時間の休息を終えると俺達は、装備を整えマッピングを再開する。これまで行ったことのない場所を調べ、階段を見つけなくてはならない。
俺達は、途中でエンカウントとする魔物は、連携やスキルを試しながら殲滅し素材を回収していく。新たに加わったナントは、まだ危なっかしいところがあるが、最近はきちんと指示に従うようになった。特にホクトとの連携はかなりうまくいっている。身体もどんどん大きくなっており、そのうちホクトと同じくらいの大きさになるのだろう。成長はうれしいが・・・子供の頃の可愛さがなくなってくるのが寂しく、肉の消費が増えていくのが今の悩みだ。
中層7階は、これまでの階に比べとにかく広い・・・。中層に来てはっきりとわかったのは、このダンジョンは深くなるほど広くなっていくタイプの迷宮と言う事だ。7階の探索にはこれまで以上に時間がかかっている。
だが、
「お、やっと階段を見つけたぞ!」
俺達は、8階への階段を見つけることができた。
俺達は、これまでのの階と同様に8階へと続く階段を下りていく。
階段を下り終えるとその先には大きな扉があり、これまでの階層と何か雰囲気が違った。
「なあ・・・これってさ、ボス部屋とかじゃないよな?」
ギルドの情報にボス部屋に関するものはなく、冒険者の話しにもそのようなものはなかった。
「ただの扉としては・・・立派だしね」
メグミも扉を見ながらそう感想を言った。
『索敵してもこの扉の向こう側は、わからないね』
ホクトの索敵も効かないか・・・
「でも、ここまで来たら進むしかないよな・・・」
俺は、そう言いながら仲間の顔を見ていくが、皆納得と言った様子だ。
「よし、警戒しながら扉を開けるぞ」
俺が扉に手を触れるとその重厚感からは想像できない軽さでゆっくりと扉が開いた。先は暗くてよく見えない・・・。覚悟を決めて俺達はその部屋に足を踏み入れると、予想どおり扉はゆっくりと閉じていく。一瞬真っ暗になる部屋の奥でなんの前触れもなく灯りが灯り始める。その灯りは、部屋の外周に沿って1つまた1つと灯されていき、部屋が灯りで囲われる頃には、部屋の奥にその姿を確認することができた。
俺達の目は、今、目の前にいる魔物に注がれている。
「やっぱりいるんだね・・・」
『ダンジョンだからね・・・』
「これが・・・ドラゴンか・・・」
俺は、魔物鑑定を発動する。
レッドドラゴン
レベル 42
HP 2680
ⅯP 780
力 240
体力 320
器用 210
素早さ 140
魔法 274
抵抗 355
スキル ブレスレベル3 火炎魔法レベル5 噛みつきレベル3
さて、とんでもないステータスだな。基礎値が俺達とは全く違うし、これまでの魔物とは比べ物にならない。でもな・・・うちのホクトの方がドラゴンより強いぞ・・・。
「油断しなければ大丈夫だ!きちんと連携して・・・火炎系の魔法に対処する。ナントは、ホクトに従え、動きまわって的を絞らせるな、動きを止めるとブレスがくるぞ!」
俺が、指示すると各自が自分の役割をイメージして散る。一か所に集まるとそこに魔法やブレスを放たれるだろうから俺達は、バラバラになって攻撃を始める。
俺は、ドラゴンの正面に立ちドラゴンを睨みつけると四次元ポケットから玉鋼の太刀を取り出す。これで十分だろ・・・。俺は、身体強化と気功術を発動させ刀を構えた。
ドラゴンが、口を開けると口の中に炎の塊が現れる。
「ブレス攻撃か!」
挨拶代わりのブレス攻撃を避けるため俺は横に走る。ドラゴンは、俺を追いかけるように首を振る。ブレスが俺に迫るように追いかけてくる。
その時、ドラゴンの後ろから魔力剣に氷を纏わせたメグミが剣を振った。メグミの剣はドラゴンの背中を切り裂くが、ドラゴンの鱗は硬く表面をわずかに切り裂くだけで大きなダメージを与えられない。しかし、ブレスは中断され、ドラゴンの双眸はメグミを捉える。
巨大なドラゴンの尾が、メグミを襲う。象に体当たりされるような重量感がメグミを襲うが、メグミは、宙に舞いそれを回避する。
メグミを襲った尾が勢いをなくし、ドラゴンの動きが止まる。その隙にドラゴンの首筋を狙いすますようにホクトがドラゴンにとびかかるが、ドラゴンは冷静に前足でそれを阻む、しかし、ホクトに少し遅れて飛び込んだナントの牙はドラゴンの首に牙を穿った。
首を振り、ナントを引きはがすドラゴン・・・ようやく食い込んだ牙から逃れるが、ドラゴンの首からは血が噴き出した。首の周囲は、背中なんかに比べればまだ柔らかいのだろう。
ドラゴンは、囲まれている事を懸念したのか火炎魔法で周囲に炎の壁を発現する。たちまち部屋の温度は急上昇し俺達の息苦しさが増した。ホクト達も炎の壁にうかつに飛び込めないようになった。
「なら!」
俺は、太刀を下段に構えながらドラゴンに向かって走る。当然、ドラゴンは、視界に入る俺を排除しようとブレスを準備する。だが・・・甘い。
「奇跡の力よ我が敵を貫け!」
俺に意識を集中したせいで、後ろで魔法を準備するメグミをおろそかにした。いや、魔法にはある程度耐えられる自信があるのだろう。だが、メグミの魔法は、おまえが思うほどやさしくない。
メグミが放ったのは、古代魔法・・・ドラゴンの使う火炎魔法の2倍の威力がある。メグミがイメージしたのは、魔法の矢だ。口を開きブレスを準備するドラゴンの口にその矢は、突き刺さる。口の中はさすがに鱗もないだろう・・・。ブレスの中断を余儀なくされたドラゴンは、痛みに大きく咆えたが・・・それがそのまま断末魔となった。
俺は、すでに太刀の届く距離まで詰めており、吠えるドラゴンの首へ太刀を滑るように振りぬくとドラゴンの首は切断された・・・。
ようやくドラゴンの周囲に揺らめいていた炎が消え、徐々に暑苦しさも軽減されていく。
「なんとかなったね」
メグミが後ろから駆けてきてそう言った。
「ああ、基礎値は高いが、スキルなんかはこっちの方が上だからな・・・」
俺は、解体スキルを使いレッドドラゴンを解体すると。「レッドドラゴンの心臓」「レッドドラゴンの鱗」「レッドドラゴンの角」「レッドドラゴンの魔石」が手に入った。
しばらくすると最初にドラゴンのいた場所に下へ降りる階段が出現した。
「9階への階段か・・・」




