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俺に異世界にいく資格はあるのか?  作者: 花山 保
異世界で俺は・・・
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俺は人族の街へ

 ケモミミ姉・・・ケモミミ妹・・・俺。


 なんか無言で隊列を組み一列になって進む。なんだこれ・・・。

 まあ、会話は、そんなに得意じゃないからいいんだけどさ・・・。


「GHUUUU!」


 新手の魔物の遠吠えか・・・。いや、妹くんの腹の虫か?


 顔を赤くして前後を見てきょろきょろしてる小動物・・・。あ、子供のころ飼ってたリスを思い出した。


「腹が減ってるのか?パンならあるぞ食べるか?」


 紳士の俺が気をきかせ、四次元ポケットを空中に出現させるとそこからメロンパンを取り出す。ケモミミ妹が、こくこ・・・


「ミ、ミリア! あ、あとで何かあげるから、今は我慢しなさい!」


 頷こうとするケモミミ妹を姉が止めた・・・。俺は、姉妹を見て


「・・・別に毒やら睡眠薬やら入れたりしないぞ・・・俺は・・・。まー、いらないっていうなら俺が喰うからいいけどな・・・」


 いらないそうなので、俺は手にしたメロンパンをぱくりとかじる。メロンパンは、ふちのとこが好きなんだよね。姉妹の前でもしゃもしゃ食べてやる。


「GHUUUU!」


 そりゃそうだ。目の前で食べられたら腹も不満を言うだろうさ。でも俺からは、何も言ってやらん。断ったのは姉妹の方だ。うん、俺悪くない。


 ぷくっと頬を膨らませ、妹が、姉を睨む。そして、たじろぐ姉・・・。


「いや・・・だって・・・」


 姉の言葉は弱く。こういうときの妹は強い。うむ、真理だな。

 妹くんは、俺のとこまで来たら頭を下げた。


「ごめんなさい。お腹すいて動けません。助けてください」


 妹くんがそう言った。ちゃんと頭下げる分、この子は見るところがあるね。嫌いじゃないよ。俺は、再び四次元ポケットを出すと、中からメロンパンを取り出し、妹くんにプレゼントする。


「はいよ。」


 もう一度、頭をさげる妹くん


「ありがとうございます。お礼にできることは何でもしますので言ってください」


 お、ちゃんとギブ&テイクをわかっている。妹くんは、大物になるな・・・。


「いや、礼はいい。街まで案内してくれるので十分だ」


 メロンパン2個でMP6。これくらい、数時間で回復するからな。俺にとっては安いもんだ。

 妹くん、さっそくメロンパンを両手にもって「がぶり」・・・噛み切る前に目が見開かれ固まった。わかるわかる・・・食べたことないものを食べたときのあれだ・・・。想像にない味だったんだろうな・・・。やっぱり小動物みたいだわこの子・・・両手でメロンパンを次々に口に運びもぐもぐしていく。


「お、おいしいです。これ、こんなパン食べたことない。とってもおいしいですゥ!」


 妹くんは、メロンパンを絶賛。うまいもんは異世界でもうまいんだな。


「ほんとに、こんなおいしいパン?食べたことないです」


 2度言うくらいだから満足だろう。さて、もぐもぐ食べる妹を見ている姉・・・。あーもうめんどくさいな。


「あーなんだ。そっちの姉も喰うか?」


 返答に困る姉。本当にめんどくさい。いじわるになれる俺は、四次元ポケットからクリームパンを取り出す。くっくっく!さーどうする姉よ。


「あーもう1個あるパンを妹くんにあげようかな?」


 ちらっと姉を見て妹の前にクリームパンを出す。まだ、メロンパンをかじっている小動ぶ・・・妹くんもちらっと姉を見る。


「わ、私も、もらってもあげてもいいわ・・・」


 もらってあげてもいいわ?予想通りと言うか期待どおりなんですが・・・。


「じゃあ、もらわなくてもいいな・・・」


 俺は、クリームパンを2つに割って、妹くんに片方を渡すと、残りは自分の口に入れた。あむっと。クリームパンは、うめーなー。もぐもぐしながら妹くんの頭をなで続ける。ケモミミもついで堪能しておこう。


 この子は、犬か狼の獣人なんだろかね・・・。耳の形からして・・・


 あ、うっかり(わざと)姉を放置してたよ俺・・・。姉が、なんかプルプル震えている・・・。右手にあったメロンパンを食べ終わった妹くんが、左手に持っていたクリームパンと、俺と姉を順番に見ている。さて・・・


「なんか、食べていいみたいだよ・・・」


 いじわるな俺。そうなんだとばかりにクリームパンを口に運ぼうとする妹くん・・・。そして・・・


「わ、私が悪かったです。お願いですから私にそのパンをお恵みください・・・」


 しくしくと妹の前で膝をつき涙する姉、最初からそう言えば・・・。いえ、俺は最初からこうするつもりだった。


 おもしろそうだしな・・・。妹くんは、口にしようとしたクリームパンの半分を姉にあげた。この子、ほんとによくできた子やね。おじさん気分いいからもっといいものをあげようかな?四次元ポケット再起動、まだMPは大丈夫だしいいよね。おじさんは甘いのだ。

 

「妹くんはやさしいな。いい子にはご褒美をあげよう」


 俺は、四次元ポケットから新たにクリームパンを1個取り出すと妹くんに渡す。ぱっと明るい顔になる妹くん。


「わーい。ありがとうございますゥ」


 そうそう。子供は素直が一番、遠慮は二番だ。姉妹で、もしゃもしゃとクリームパンを食べる図が完成。クリームパンに驚愕する姉妹・・・ほくそ笑む俺。あっという間に食べ終わる姉・・・そりゃ半分だしな、あれだけ動いたんだからな腹もすいていたのだろうよ。2個目のパンを食べる妹の姿を涎を垂らしながら見る情けない姉の図も完成・・・。


「私・・・足りな・・・」


 姉がなんか言いかけたが、俺は知らん。これも修行だ、精進せよ姉。


「さて、腹も膨れたから、街まで急ぐぞ」


 俺の言葉に涙目になっている姉・・・。元気になった妹。さあ、人族の街まで頑張りますか。



「お腹、膨れてな・・・」


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