閑話 私はまだまだ
「うーん・・・」
私は、ベッドの布団をめくり、上半身を起こして身体を伸ばす・・・。ようやくこの家のベッドにも慣れたのか安眠できるようになった・・・
ベッドの脇で丸まって寝ているホクトに
「おはようホクト・・・」
と声をかけ、私は、ベッドから抜け出す。パジャマを脱いで動きやすい服装に着替えた。着替え終わると部屋の隅においた姿見の鏡の前に立ち、寝癖なんかがないかチェックする。
「大丈夫よね・・・」
鏡の前でのチェックが終わるとタオルをもってリビングへ降りる。洗面所で顔を洗ってタオルで拭いた。
「ここに鏡があれば一番いいんだけどな・・」
私にとって洗面台に鏡がないのが今の不満になっている。私はもう一度寝室に戻り鏡でチェック。
「よし!」
私は、マジックバックを持つと再びリビングへ降り、自宅裏の倉庫の前まで行くと、マジックバックからミスリルの剣を取り出し振りはじめる。
「えい!」「やっ!」
私は、ミスリルの剣が、少しでも手に馴染むように繰り返し振る。剣の長さや重さは、鉄の剣とほとんど変わらないが、ミスリルの剣の凄さはわかる・・・。
「次は、魔力剣ね・・・」
私は、一通り素振りするとそう言って、剣に魔力を流すイメージを持ちながら氷魔法スキルを発動する。するとミスリルの剣から冷たい冷気が洩れはじめ白く霜のようなものが剣を覆う。
私が、その状態で剣を振ると纏った冷気が空気を裂く・・・。
「ホクトお願い!」
側で様子を見ているホクトに声をかける。ホクトは、待ってましたとばかりに口にくわえた木材を宙に放つ・・・私の眼前でくるくる回りながら放物線を描く木材を私はミスリルの剣で切り付ける。
「えい!」
剣はいとも簡単に木材を両断する。両断された木材は、切られた瞬間に氷つき、地に着くころには氷で覆われている。私も魔力剣の使い方に徐々になれてきたな・・・
今度は、新たに覚えた雷魔法を魔力剣に纏わせる・・・。
「ホクトもう1回!」
私が、声をかけると再びホクトが木材を飛ばす・・・
「やっ!」
私は、再び木材を両断する。振り下ろす最中、帯電した剣身から雷が放たれる・・・両断された木材が真っ黒く焦げ煙をあげている。
私は、呼吸を整えながら考える。
あとは、これを実践できちんと使い分けたりできるようにならないとな・・・。私には、まだまだやらなくちゃならないことがたくさんあるのだから・・・
剣の鍛錬を終えると私は、タオルで汗を拭き、ミスリルの剣をマジックバックにしまう。
「次は・・・」
私は、訓練のために索敵スキルを使い周囲に人がいないことを確認する。よし・・・誰もいない・・・。自宅の裏は高い塀に囲まれており、周囲から見ることはできないし、その塀のうしろには水路が流れているため人目につかない。私が今いる場所は、秘密の鍛錬にはぴったりの場所だ。
これから私は、他の人にはあまり見せられない魔法を使うからね・・・
私は、深呼吸すると呼吸をさらに細かく整え集中する。目を閉じ気持ちを落ち着けてから目を開く・・・。15mくらい前には、ホクトが的になる木材を土台の上に置いている。
私は、左手を前に突き出し右手を添える・・・魔力を左手の先に集約していく。
イメージは、光の矢・・・そして・・・
「奇跡の力よ我が手より生まれ敵を討て!」
古代魔法発動!
私がイメージした光の矢が、私の左手前方に発現し、的に向かって放たれる。射出された光の矢は、的には届かず少し手前の地面に突き刺さった。
光の矢は、硬い地面にやすやすと突き刺さり、しばらくすると消えていった・・・
まだ制御が甘いし、力加減が難しいな・・・。古代魔法は威力が大きいため加減が難しい。今もレベル1で放ったのだが・・・的になかなか命中しない・・・もっと練習しなきゃだめね・・・
一通り訓練を終えるとメグミは、自分のスキルを確認する。
光魔法レベル6 氷魔法レベル5 水魔法レベル5 雷魔法レベル4 古代魔法レベル3
魔道の神髄レベル3 魔法強化レベル5
剣術レベル6 身体強化レベル6
スキルレベルも上がってきたし種類もだいぶ使えるようになったな・・・
私が、確認していると後ろからタクミの声がした。
「すごいな・・・剣も魔法もかなり上達したし・・・今のが古代魔法か・・・メグミも頑張ったかいがあったな・・・」
ま、まだまだだよ・・・まだ私は、タクミには追いつけていない
「うーん・・・まだ、ぜんぜんだよ」
私は、もっと頑張らなくちゃいけない。
でもね・・・私は今、とっても楽しいの・・・




