僕達の王都旅行 4
俺達は、馬車の旅を続ける。前の世界がいかに便利だったか改めて実感するなこれは・・・。移動の足があるだけまだいいのだろうが・・・馬車の管理だってゆるくない・・・
馬の餌や水の確保・・・定期的な休息。俺たちのトイレ・・・食事や水の確保・・・夜の安全確保・・・盗賊や魔物への備え・・・とやることが多い。俺たちは、収納系のスキルなんかを持っているからいいけど他の人はもっと大変なんだろうな・・・
後ろを振り返る。なんか、メグミもホクトも疲れ気味のようだな。最近は馬車の荷台で寝ているか本を読んでいるようだが・・・。あまりすることもないしな・・・仕方ないだろう。俺もいいかげん尻がいたいよ・・・
俺達は、トライムの街を出て馬車で1泊する。ここからは峠越えになり、王都までの旅の最大の難所に差し掛かる。おまけに魔物や盗賊の心配もあるからな・・・俺も注意して進もう。
俺達が峠に差し掛かったころ、前方に荷車を引く一団が目に入る。警戒が必要だな・・・。
荷車が近づいてくると向こうも警戒していたようだ。どうやら何かを運んでいる様子だ。すれ違いざまに軽く会釈・・・荷車に載る物が目に入る・・・鉱石?のようなものだったので、俺はすばやく鑑定する。
荷車を引く一団は、どうやら冒険者のようだ・・・クエストで鉱石でも集めて帰るところなんだろうね。ただ、気になったのはその鉱石がすべてミスリルだったことだ・・・俺が前に鉱山で手に入れたものよりも大きく、荷車に載っている鉱石はほとんどがミスリルだった。
この先に?ミスリルが採れる場所でもあるのか・・・。ポーカーフェイスで何事もなかったように旅人を装い・・・一団とすれ違う・・・。向こうも警戒を緩めたのがわかった。
まあ、どっちにしても先に進むことになるからな・・・、俺は馬車を走らせる・・・
峠に入るとそれほどの急斜面ではないが、あきらかに馬のスピードが落ちた。これは休憩も多めにとらなければならないな・・・馬への負担も考慮しないと・・・。
俺は、馬車を止められそうなスペースを探す・・・。峠の途中に少し広がったスペースを見つけ、俺は馬車を止めた。さて、少し休憩だな・・・メグミ達に声をかけ休息を伝える。馬に水を出してやり、飼葉を与える。
作業をしていると、ふと荷車の車輪の後が目についた・・・車輪は、休憩しているスペースから死角になるような場所に続いており、なんとなくその後をたどるとその先に道があった。
これは、気がつかないな・・・。丁度岩で見えない位置に道が続いている。さっきのミスリルはこの先で手に入れたのかもな・・・俺は王都へついたら鍛冶ができるようにする予定を立てているので良質な素材なら大歓迎だ・・・。さて、メグミ達と相談するか・・・
「あー。休憩中に悪いんだが・・・少し相談があるんだ」
俺は2人にそう切り出した。
「どうしたの?」
メグミに聞かれ俺は
「この先にミスリルが採掘できる場所がありそうなんだ・・・少し寄り道してもいいか?」
俺の提案に状況を理解したのか2人とも反対はしなかった・・・
「なら休憩終えたら向かってみよう・・・」
俺達は休憩を終えるとその道を進む・・・
それほど時間もかからず俺達はあきらかに採掘していると言う場所にたどり着いた・・・
「なんか・・・秘密鉱山って感じだな・・・」
俺の率直な感想だ。
「そうね・・・でも別に誰のものでもないのでしょう?」
メグミが確認する。
『一般的な話だけど鉱山や森の薬草なんかは、自由に採取や採掘しても問題はないと思うよ。国や軍が絡むような場所なら立ち入りが禁止されているからね』
ホクトの説明にうなずきながら周囲をうかがう。索敵も発動し周囲に誰もいない事を確認する。
「少し、音が出るが一気に崩して持ち去るぞ」
俺は、周囲に人がいない事を確認し、爆発魔法の準備をする。
「少し安全なところまで下がっていてくれ・・・あの岩盤を砕くからな」
俺が指さしたのは明らかにミスリルが見え隠れする岩盤だ・・・。2人が下がったのを見ておれは魔法を起動する。
「エクスプロージョン!」
「どかーん!!!」
すさまじい轟音が山に木霊する。鳥たちが慌てて飛び出していく・・・。粉塵が風で落ち着くとそこには砕けたミスリルの鉱石が山積している。
「さて、手分けして積み込みますか・・・」
俺とメグミは、次々と鉱石を四次元ポケットやマジックバックに収納していき、ホクトは周囲を警戒している。
「ここは、すごいな・・・ほとんどがミスリルとはな・・・お!これオリハルコンだぞ!」
俺は、たくさんのミスリルの中にオリハルコンを見つける。どうやらここは、ミスリルが大半で稀にオリハルコンが採掘できるようだ・・・その後も俺はめぼしい鉱石を詰めていく。
「まあ、こんだけ採掘すればしばらくは心配ないだろうな・・・」
俺は2人に合図し、馬車に戻る。あまり、人目につきたくないからさっさと行くつもりだ・・・かかった時間はわずか2時間程度・・・一般的な採掘とはやり方が大きく違うのだ。
ホクホク顔の俺は、元来た道に戻り、再び峠を登る。峠の頂が見えた頃、夕日が山に隠れた。
「寄り道のせいで遅れてしまったな・・・。今日はここで野宿するぞ」
俺達は、野宿の準備をし夕食を摂る。今日は簡単なもので我慢してもらおう。俺は、四次元ポケットからパンをいくつか取り出しメグミに渡す・・・。煮炊きの煙や臭いは、魔物の的になりやすいからね・・・。食事のあとは、いつもどおり結界を張り、メグミは馬車で、俺は寝袋にくるまる・・・。ホクトは番兵役だ。
俺達は、しばしの休息をとる。
『タクミ!起きて・・・』
ホクトの念話で意識が覚醒する。手早く寝袋から這い出る。
「何が?」
周囲を見るが暗闇が広がるだけだ・・・。メグミも馬車から顔を出す。
「魔物の襲撃?」
メグミが聞く
『まだ、わからないけど・・・何かの気配がするんだ」
俺達の緊張感が一気に高まる。
『来る・・・』
ホクトの声に俺は索敵を発動!・・・しかし、何も確認できない・・・
「クスクス・・・」
笑い声・・・?
「クスクス・・・」
なんだ・・・。危険察知スキルは反応しない・・・そこまで危険な奴ではないのか・・・
『上だ!』
ホクトの声に俺は視線を上げる。暗闇に浮かぶ火の玉のような・・・闇・・・。魔物鑑定!
シャドウ
レベル24
HP 1
MP 180
力 0
体力 0
器用 0
素早さ 0
魔法 124
抵抗 109
魔法 闇魔法レベル5
「敵はシャドウ・・・物理耐性がありそうな奴だ・・・魔法に気をつけろ!」
俺は2人に叫ぶ。数は・・・気配が弱いからはっきりとしないな・・・
「何匹いるかわからん・・・注意しろ!」
俺は、そう言うと雷魔法を発動する
「ライトニング!」
言葉を発するのは、イメージのためだ!。イメージに応じた雷魔法レベル5が頭上のシャドウを襲う!しかし、ほとばしる雷は、シャドウの周囲に張られた膜のような壁に遮られる・・・
「クスクス・・・」
「ちっ・・・魔法もはじくのか・・・」
シャドウの笑い声・・・俺が、次の攻撃へ移る頃、メグミは、光魔法を発動させる!相手は闇だしな・・・間違いない選択だ!
「レーザー!」
メグミのイメージは、レーザー光線だな・・・光が収束し光の刃がシャドウへ向かう・・・。シャドウが闇魔法で応戦した・・・シャドウが発した闇の渦は、光を飲み込み相殺していく・・・
「クスクス・・・」
嫌らしい敵だな・・・宙に浮かぶシャドウが不意に俺の前に現れる・・・その手が俺の肩に触れると・・・
「ぐあ!」
「タクミ!」
ものすごい気持ち悪さが俺を襲う。ちくしょう・・・吐きそうな不快感・・・。うげ・・・MPが吸われてやがる・・・。俺のMPは半分を切る・・・
「気をつけろ!こいつらMPを吸いやがる・・・」
ドレインタッチって奴か・・・。こんな奴もいるのか・・・
最近、危機感のない戦闘ばかりしていたからな・・・。しかし、なぜ、危険察知が反応しない?
ホクトが、シャドウに飛び込んでも物理攻撃はすり抜けてしまう。
魔法抵抗も強いしやっかいだな・・・だけど・・・俺は思いつくままに
「ホーリーライト!」
神聖魔法レベル6を発動・・・
頭上でクスクス笑うシャドウ達を聖なる光が包み込む・・・
「キェー・・・」
金切声が断末魔だった・・・。俺の放った神聖魔法は、シャドウ達を浄化する。どうやらこいつらは死霊の類のようだ・・・最初から気がつけばよかったよ。シャドウは跡形もなく消え去る・・・
「タクミ!大丈夫・・・?」
メグミが側にかけよる。
「あ、ああ。まあ、倒し方さえわかればどうってことはないさ・・・」
焦ったけどね。
『死霊やゴーストの類は、倒す手段がないときは逃げるしかないんだよ』
ホクトが冷静に突っ込む・・・お前も空ぶっていただろ・・・
「そうだな・・・いい勉強になったよ。」
俺はステータスを確認する。MPがかなり減ったな・・・おや・・・
「俺も魔力強化スキルを覚えたようだな・・・おまけにレベルも上がったようだし」
タクミ・シスミ
レベル30
HP 760(865)
MP 126(780)
力 60
体力 56
器用 58
素早さ 61
魔法 46
抵抗 53
追加スキル 魔法強化レベル1
メグミも上がっているようだ。パーティは経験値共有だからな
メグミ・タカキ
レベル29
HP 740(840)
MP 700(805)
力 52
体力 49
器用 60
素早さ 56
魔法 67
抵抗 65
追加 光魔法レベル6(+1) 魔法強化レベル5(+1)
どうやらかなり経験値が良かったみたいだな・・・。メグミもまた強くなったと言っているしな・・・。落ち着くまで3人で話をする。
話の中でメグミから古代魔法を覚えたことを聞かされた・・・。何をしているかと思えば・・・2人で頑張っていたのか・・・。
「頑張ったんだな・・・」
そっとメグミに言うと「えへへ・・・」と喜んでいた・・・。褒められ慣れてないな・・・
「さて、今度こそゆっくりと眠るぞ」
俺達は再び準備を整え眠りにつく。




