俺達の王都旅行 2
俺達は、盗賊のアジトに寄ったため余計な時間を浪費した。
「今日はこの辺りで一泊だな・・・」
俺は、後ろの2人に提案する。ここで普通なら誰かが寝ずの番をしなければならないのだろうが、俺の結界スキルとホクトがいれば夜の襲撃はそれほど心配することはないだろう。
俺は、馬に餌を与え近くの木に繋ぎ休ませると・・・調理を始める。と言ってもMPを消費すれば皿ごと出てくることがわかっているのですぐに食べることができる。まったく最高のスキルだよ・・・
「何が食べたい?」
俺がメグミに聞くと・・・
「わ、私ね・・・カレーライスがいいな・・・あ、あとね・・・」
おう。いいな。俺もそれ食いたいよ・・・この世界ではまだ食べてないからな・・・数ヶ月ぶりのカレーだな。
「あとは、なんだ?」
「いや、あのね・・・甘口がいいの・・・」
ああ・・・そっちか。甘口のカレーね。
「つけ添えはいるのか?ラッキョウとか福神漬けとか?」
「あ、ううん。つけ添えなくてもいいの・・・」
「ポークか?ビーフか?チキンか?」
せっかくだついでに聞いておこう・・・
「私の家・・・豚肉だったからポークカレーがいいな」
了解っと。俺は、甘口ポークカレーをイメージするとトレーにライスとカレーの器が出現する。スプーンもついているよ・・・
「わあ・・・自分でルーをかけるんだよね・・・」
メグミは、反応いいな・・・まあ・・・かわいいからいいか・・・
甘口カレーを口に運ぶメグミを見ていると横からホクトが顔を除きこむ
「あ、悪い。ホクトは何が良い?ビーフでいいか?」
『僕は、今日はチキンがいいな。鳥を丸ごと1羽で・・・」
すっかりホクトも味をしめたようだ・・・俺は毛を毟った鶏肉をイメージする。出現した鶏肉を、すぐにホクトが食べ始めた・・・
さて、俺もカレーにしよう・・・そうだな・・・乗せちゃうか・・・。俺は、ハンバーグの乗ったカレーをイメージする。カレーは中辛だ!
出てきたカレーを食べ始めると・・・見ていたメグミが抗議する。
「ちょ、ちょっと・・・ハンバーグはずるくない?」
食べ物の恨みは何とやらか・・・仕方ないな。俺はハンバーグを出現させ、メグミに渡す。
「やっぱり、王道よね・・・」
何が王道かはわからんが・・・満足そうに食べているからいいだろう・・・うおⅯPが36も減ってるよ・・・何が基準なんだかな・・・俺は四次元ポケットから水筒を取り出してメグミに渡す。カレーは水だよね。
皆・・・おなかが膨れ・・・疲れから眠気がくる。メグミを馬車の中で寝かせ・・・俺は、外で寝袋に入る。結界スキルは忘れずに張った。
「ホクト。一応結界を張ったけど・・・何かあったら起こしてくれよ」
と言うとホクトは頷いた。
さて、これで安心して眠れるよ。
翌朝・・・
俺は、前日の疲れと寝袋のせいであまりよく眠れなかった。俺は・・・寝袋から這い出し、身体を動かす。徐々にほぐれていく身体を屈伸しながら確認する。
さて、朝は、きちんと調理するか・・・MPを使って食べ物を出すのもよいが、やはり作るご飯もすてがたい。俺は四次元ポケットから調理器具と食材を取り出し、調理を開始する。
今日は、サラダとベーコンエッグ・・・それとオニオンスープとパンだな・・・
俺は手際よく調理していき、完成させるとメグミとホクトに声をかける・・・
「おーい!朝食だぞ~」
メグミはすでに起きていたのか馬車からすぐに出てきた・・・さすがに日課にしている剣術も風呂に入れない旅行中は中止だそうだ・・・
俺はスープをよそい・・・スープの入ったカップをメグミに渡す。
「あ、ありがとね・・・えっと手伝いもできず・・・申し訳ない・・・」
メグミが頭をさげる・・・
「まあ、気にするな俺は調理も好きだしな・・・、お!ホクトは、これでいいか?」
俺は四次元ポケットからオーク肉を取り出しホクト用の皿においた・・・
『朝からごちそうだね・・・』
ホクトも満足そうでよかった。しっぽの動きでよくわかる・・・
「さて、今日も王都に向けて馬車を走らせることになるが・・・予想では途中でクリエルって街に着くころだと思う。到着時間によっては街で1泊することになるかもしれない」
俺の説明に2人は、
「急がないなら・・・1泊していきたいな・・・お風呂入りたいし・・・」
まあ。もっともな意見だ・・・俺だって入りたい。急ぐつもりはないしな・・・
『僕はどっちでもいいよ』
ホクトはメグミが願えばそれに従うだろう・・・
「じゃあ。今日はクリエルまで行って1泊ってことにするか・・・」
話し会いが終わり、朝食の後片付けをしていると後方から走る馬車が見えた・・・。こっちの馬車は道から離れて止めているので邪魔にはならない。俺は一応、警戒はしておくことにする。
その馬車は近づくと俺達の側で停止した。御者の男が、立ち上がり声をかけてきた
「やあ・・・。おはよう。旅の方達かな?」
「はい。旅の途中です」
一応返答しておく・・・無駄な事は言わないのが重要だ・・・
「そうか・・・この辺りは盗賊や魔物が頻繁にでるから気を付けたらいいよ・・・こっちは今日のうちにクリエルを抜けて次の街のトライムの街まで行くつもりだ。君たちも同じ方向のようだが、どこまで行く予定だい?」
「こちらは、クリエルで1泊しようと思っています」
「そうか・・・でもクリエルの街はもう1時間も走れば着くよ・・・。クリエルの街の次のトライムの街までなら今日の夕方には着けるから・・・もし、進むなら一緒に行こうかと思うのだがどうだい?。あ!怪しい話じゃないよ・・・盗賊対策にね複数の馬車で行ったほうが安全だと思ってさ・・・」
俺達はすでに盗賊に会っているが・・・まだいるのかね・・・
『どうする?』
俺は2人に念話する
『うーん。今日中に風呂に入れるならどっちでもいいよ~』
『僕は、基本的にメグミの考えでいいよ』
ってことは俺が決めることになるのか・・・
「そうだな・・・。一緒に行きましょう・・・夕方までに次のトライムの街へ行けるならこちらも目的地に早くつけるし・・・」
俺がそう言うと御者の男は
「よし。じゃー旅をともにしようじゃないか・・・俺は、ロドリコって商人だ。王都でロドリコ商会って言えばそこそこ知っている人もいるぞ・・・君たちは冒険者だろ・・・」
「ええ。冒険者です。王都へ旅している途中ですよ」
俺がそう言うとロドリコは、満足そうな笑顔で
「じゃー行こうか・・・」
俺達も馬車に乗り込みロドリコの馬車に続く・・・、馬車は順調に走る・・・
『どうやら・・・護衛代わりに使われているみたいだね』
ホクトが声をかけてきた・・・。そうだな・・・わかっていたが、俺はあえて利用するつもりだ・・・旅なれた商人はその行程を知っており、街と街の距離や馬車の移動距離を把握している。早く無駄なく着くためにこっちも利用する。
『ああ、こっちも利用するつもりだからな・・・お互い利益があるだろ?』
『わかっているなら問題なしだよ・・・』
ホクトの注意はありがたいな・・・確認ができる事はなんでも確認したいからな・・・
順調に馬車は、街道を走る・・・今日は魔物も盗賊も出る気配がない・・・昼休憩を経て・・・俺達は夕方に予定どおりトライムの街に到着することができた。
「いや~助かったよ・・・おかげで何事もなくここまで来れた」
ロドリコがお礼を言う・・・
「こちらも順調に進めたからお気になさらずに・・・」
俺もお礼をする・・・だが・・・ここで終わりだ・・・これ以上は踏み込まない。
「では、ここで・・・」
俺は、ロドリコさんを疑わないが・・・これ以上関わると縁ができてしまう・・・。縁はメリットもあればデメリットも生むから・・・見極めは難しい。だから、ここでわかれることにする。
俺達は、宿につくと一緒に夕食を食べ・・・念願の風呂に入った。
「ふいー」
俺は、湯船にどっぷりとつかり・・・目を閉じる。ふと目を閉じたとき・・・そう・・思いがけずに、俺はその男を思い出す・・・。
「くろせ・・・」
俺は一人・・・つぶやいた。




