俺達の王都旅行 1
「おばちゃん世話になったな・・・」
3ヶ月を過ごした宿屋ともこれでお別れだ・・・
「これ、お礼にあげるよ」
俺は、そう言うと四次元ポケットからオークの肉を取り出しておばちゃんに渡す。
「あんたがいなくなったらこの宿でお肉がでる日が減っちゃうわね・・・」
おばちゃんが残念そうに言う。
「それで・・・、あんたたちは、これからどこに向かうんだい?」
「王都まで行く予定だよ」
「それとね・・・あんた・・・いい加減、連れの子にも手を出しておやりよ・・・」
「えっと・・・あー、連れの子とはそんな仲じゃないんだよ・・・」
「ええ?そうなのかい・・・あたしゃてっきり・・・あんたたちずっと一緒にいるからそうだと思ったんだけどね・・・」
おばちゃんはなぜか残念そうだ・・・俺は
「じゃ、じゃあな、連れを待たせてるから行くぞ・・・ありがとな!」
俺は、おばちゃんに手を振り、宿の外へ出る。
そこには、馬車で待つメグミとホクトが俺がくるのを待っている。
「さあ、旅にでますか・・・」
俺達は、王都までの道のりを聞き、移動手段を模索・・・歩いていってもいいのだが・・・1ヶ月もかかるのはな・・・ってなわけで、俺達は馬車を買うことにした。だが・・・王都に着いた後に使うかどうかもわからない馬車を購入するのはどうかと思いとどまり、商人に頼んで馬車を貸してもらうことにした。金貨10枚を保証金にして王都で商人のギルドに馬車を返却したら金貨8枚を返してもらえると言う契約だ。
馬車を使えば王都まで10日程度の旅になる。俺達は馬車に乗り、王都へ旅立つ・・・
「い、痛いよ・・・」
馬車で走りだして間もなく・・・メグミがお尻をなでながらそう言う。馬車の移動はかなり尻に響くのだな・・・。こりゃ、定期的に馬車から降りて体をほぐさないとならないなか・・・
俺は、御者の位置で後ろを振り返る・・・。ホクトも荷台の上で寝ているが・・・揺れるから寝にくそうだな・・・
騎乗スキルがある俺は、馬車ではなく馬でもいいのだが・・・メグミは馬に乗れないしな・・・
そんな事を考えていたら荷台にいても暇なのかメグミが隣に乗り移ってきた・・・
狭い御者席に2人で並ぶと身体が触れるくらい近いのだが・・・。この子は、俺なんかの隣に座るのに気にならないのだろうか・・・
「ねえ?タクミは、元の世界では誰か好きな人でもいた?」
いねーよ・・・大学卒業後は特にな・・・
「いや・・・俺は他に目標があったし、恋愛なんかしている余裕はなかったな・・・」
「そう・・・。私も向こうにはそんな人はいなかったな・・・家族も友達もみんなどこかすれ違っていたような気がするから・・・」
なぜ、俺にそんな話をする?
「そうか・・・俺もお前も人付き合いがうまくないか・・・」
俺は、一人は嫌いじゃない・・・でも一人でいたいわけでもない・・・
「ねえ・・・」
「うん?」
そう答えたその時
『タクミ!メグミ!何か来るよ・・・』
ホクトが荷台から飛び出す・・・俺は索敵スキルを発動!・・・周囲に・・・四足がいるな。1・・・2・・3・・・7匹ってとこか・・・
「メグミ!馬車が、囲まれている!四足歩行が7匹だ!」
言うや否やメグミも剣を抜く・・・。視界に魔物が見える。魔物鑑定を発動!
フォレストジャッカル
HP 179
ⅯP 36
力 47
体力 52
器用 45
素早さ 89
魔法 23
抵抗 26
スキル 噛みつきレベル2 組織行動レベル1
「フォレストジャッカルだ!群れの動きに注意だ。噛みつかれるなよ!」
俺はそういうと馬車を止め、馬車を守るように周囲を見る。ホクトがすでに2匹を狩り終えて次の獲物に向かい駆けている。反対側では、メグミが、魔法で2匹を両断している・・・。ここからなら弓だな・・・俺は四次元ポケットから弓を取り出すと狙いを馬車を狙うフォレストジャッカルに定める・・・
「ふん!」
俺が射出した矢は、正確にフォレストジャッカルの身体を縫い付ける・・・1匹・・・2匹・・・。馬車に近づく奴はもういない・・・最後の1匹は?
俺が、感知したのは7匹だ・・・どこにいる・・・周囲を見るが視界にいない・・・もう一度索敵を発動しようとしたとき、馬車の幌に張り付いていた1匹が、おれの背後から襲い掛かった。気づくのが遅れた俺に対してフォレストジャッカルは、すでに攻撃態勢に入る・・・俺は咄嗟に弓を手放し、振り向きざまに裏拳をフォレストジャッカルに叩き込む・・・
「ふう・・・」
やれやれ・・・と手についたフォレストウルフの血肉をぬぐう。
「タクミ!大丈夫?」
メグミが駆け戻ってきたが・・・
「ああ・・・少し焦っただけだ・・・危険察知も発動していないからそれほどの危機でもなかったんだろう・・・」
まあ、驚いただけ・・・と言えばそうだな。ホクトもゆっくり戻ってきた。口元が血で染まっていたので水を出しメグミと洗った・・・
「少しここから離れたら休憩するか・・・」
ここは、血の匂いに誘われて色々集まりそうだしな・・・。
俺達は、馬車を再び走らせる・・・1時間くらい走らせると前方に何かが道を塞いでいるのが見えた。
「あれは・・・なんだ・・・」
俺が声を出すと
『あそこに何かいるね・・・人だと思うけど・・・』
俺達は、警戒しながら近づく
どうやら馬車が倒れており、それが道を塞ぐ形で置かれていることがわかった。索敵スキルを発動、気配を探ると1人の気配しかしない・・・。
「誰かいるのか?」
俺が声をかけると馬車の荷台からもぞもぞと女が出てくる・・・
「す、すみません・・・助けてください」
その女がそう言って助けを求める・・・。俺は警戒を解かずに尋ねる
「なんで、こんなところに1人でいるんだ・・・」
すると女は
「魔物に襲われて馬車が倒れてしまい。御者も護衛も私を置いて逃げ出してしまいました。馬もどこかに逃げたようで・・・私1人でどうにもできずに困っていました。もし、よければこの先の集落まで連れて行ってはもらえませんか?」
少し気になる点はあるが、理屈は通っている・・・。さて、どうするかな?俺は、メグミとホクトを見る・・・。俺に任せると2人は目で合図する。
「それは構わないが・・・遠回りになりそうだな・・・俺達に何か見返りはあるのか?」
俺は、見返りが欲しいのではないが、そう確認する。
「はい。もし、お送りいただけたら私にできるお礼でしたらさせていただきます・・・」
と言って女は品を作る・・・
『タクミ・・・こいつは・・・』
ホクトから念話が届く・・・
『メグミ・・・ホクト・・・。俺は、こいつについていくが・・・おそらく罠だろう・・・。鑑定したらこいつは盗賊の一味なんだろ・・・ホクト?』
『そうだよ。こいつは盗賊の一味だ。おそらく僕達をアジトまで誘導してそこで襲うつもりなんだろうね』
『え~。わざわざ、だまされるの・・・タクミ?』
俺達は、念話で情報を共有する。
『盗賊一味を一網打尽にする。で、盗賊のお宝は俺たちの物だ・・・アジトさえわかればいいしな』
『『わかった(わ)』』
「いいだろう・・・その集落とやらまで連れていこう・・・」
俺は、女にそう言うと荷台へ乗れと合図する。女は、おとなしく荷台へ乗りこむ・・・
俺達は、女の誘導を受けながら馬車を走らせる・・・
道中は、どうでもいいような話をしながら進む。俺達が信頼しているように見せ怪しまれないように気を配る。
「あの先を曲がって、まっすぐ行けば私たちの集落があります」
へえ・・・集落ね・・・
指示どおり道を曲がると俺達の予想どおり、周囲を囲む男達が見えた・・・
『予定通りいくぞ!』
一応2人に確認しておく・・・。
「おい!おまえら・・・残念だったな・・・」
盗賊のリーダーぽい男が俺達に言う。まあ、お前たちが残念になるんだけどね・・・
「おまえらこいつらを捉えろ!女は上玉だから傷をつけるんじゃねえぞ・・・男はまあ殺してもいい」
おいおい、ずいぶんと扱いが違うな・・・
『上玉だってさ・・・』
そして、そこに反応して機嫌が良いメグミ・・・そこには突っ込まずにホクトに目で合図を送る。俺は降伏するかのように両手を上にあげ・・・
「あーごめんな~(エクスプロージョン)」
両手に魔力が集約する・・・そして・・・
リーダー格の男がいたあたりが爆ぜた・・・。すさまじい音がしたが、見ていた他の男達は動きを止める・・・思考が追いつかないのだろう。あわてて、他の男が、弓を構えようとするが、弓を構えるまえに現れたホクトに首が跳ねられる。
俺は弓を構え、遠くからこちらを狙う男の首に矢を突き立てる・・・メグミは・・・俺は安否を確認するとメグミは、剣で盗賊の男を切り伏せていた。メグミもすっかり、たくましくなったな・・・。
さて、残る敵は・・・索敵スキルで周囲を確認する。物陰から俺を狙う男・・・がいるな・・・俺は結界を発動する・・・矢が俺におそいかかるが、途中で矢は落ち俺には届かない・・・お返しとばかりに俺は弓を放つ・・・矢が男に突き刺さる・・・さて、これで・・・残りは後ろの女だけだ・・・
「さて、これで終わりのようだな・・・」
俺は、女に問いかける・・・馬車の荷台で震える女は
「わ、私は、あいつらに脅されていて・・・あいつらに無理やり・・・」
まあ・・・嘘だよな・・・まあいい・・・
「おまえらの蓄えは、どこだ?ここがアジトなんだろう?」
女は、震えながらうなずく
「そこに案内してもらおうか・・・」
俺は冷たく突き放す。そうだな・・・俺は右手に魔力を集約し毒魔法を発動!黒い靄が立ち込め、女を覆う。女は何をされたのかわかないと言う顔をして俺を見る・・・
「今、使ったのは毒魔法だ・・・解毒してほしかったらさっさと案内しろ・・・手遅れになる前にな・・・」
体を襲う不快感に女は焦る・・・
「はやくしないと・・・手遅れになるぞ・・・」
女は転げるように走りだす・・・
俺達は、女の後についてアジトの中に入っていく。一応念のために索敵もしたが、何も反応はなかった。突き当りのなにもない壁を女が触ると隠し扉が現れ、奥へと続く道が現れた
「こ、この中に・・・」
女が指を指す。メグミとホクトに女を見張らせて俺はその道を進んだ。
道の先には小部屋があった。街道で旅人や商人を襲うか今回のように誘い込み荷を奪ったのかはわからないが・・・積み荷だったであろうものが並べてある・・・。金貨や銀貨の袋・・・あとは、マジックアイテムもいくつかあるな・・・。俺は次々と四次元ポケットに入れていく・・・
俺は、ほとんどの荷物を四次元ポケットに入れ終わると小部屋から元の部屋に戻った。
「や、約束どおり教えたのだから・・・ね・・・命だけは・・・」
女が俺にすがりつく・・・毒が徐々にまわっているのだろう、さっきより顔色が悪い・・・
「そうだな・・・一応命だけは・・・助けてやるか」
俺は治癒魔法を発動し毒を解毒する・・・毒が解毒された事にほっとする女・・・
『いいのかい?それで・・・』
ホクトの念話に
『いいわけないだろ・・・』
と俺は答えた。
メグミとホクトが、アジトの部屋から出ると・・・俺は・・・
「命は助ける・・・だけどな・・・罪は償え・・・」
そう言うや俺は、手を横に払うように振る・・・ひゅっ!
風を切るような音とともに女の顔の・・・目のある高さで血しぶきが舞う・・・もう二度と女の目は見えないだろう・・・人を襲い、殺した罪としては軽いかもしれないが・・・な。
痛みに転げまわる女を残して俺はアジトから外に出る。メグミとホクトが待っているからな・・・




