俺(僕)達は、探り合う
日本人・・・まさかこの世界で同郷の者に会うとはな・・・どんだけ狭い世界だよ・・・
「あー。なんだ・・・」
あー俺もなに言っていいのかわからん・・・ここに来ているってことは、あっちでは死んだって事だろ、で、あの死後の世界を経てここってことか・・・
「あの、私は、高木めぐみって言う高校生でした。あ、あなたは、どうしてここに?」
ああ。聞かれちまったよ・・・面倒だなこれ・・・
「まあ、いろいろあってな。俺はタクミ・・・ああ、あっちじゃ四角匠って名前だったな」
名前くらいはな・・・
「で?挨拶はいいとして、こんなとこで同郷同士がたまたま会ったわけだ」
俺は、この世界で・・・
「同郷のよしみってわけじゃないですけど・・・私はこの世界で強くなりたいのです。そのために冒険者になりたくて・・・タクミさんお願いします。冒険者になるために力を貸してください」『メグミ・・・この男は危険だ・・』
あーあ。めんどくさいこと聞いちゃった・・・
「だからさ、それ?俺に何かメリットあるの?」
そう。見るからに手のかかりそうな女の子を連れて、冒険やら旅やら行くのに何かいいことがあるのか?男の一人旅を心配する輩はいないからな・・・。
「でも、でも・・・一人より二人のほうができることが増えますよ・・・。さ、寂しくないじゃないですか・・・じょ・・女子高生と一緒ですよ・・・」『メグミ・・・それは・・・どうかと思うぞ・・・』
うわ・・・この子、言うに事欠いて自分から言っているよ・・・
「俺、特に求めてないし・・・」
俺だって、かわいい子だから悪い気はしないが・・・。いや、まだ、俺だってこの世界に来たばかりだ。この後に何があるかもわからない。一人の方が動きやすいしな。
うん?狼と会話しているのか?「シー」って口に手をあてて狼に言っているよこの子・・・天然なのか・・・
「あーなんだ。そいつと会話でもできるのか?テイマースキルってやつか?」
俺は、一応聞いてみる。こちらの情報は出さず、相手に情報を出させるのが交渉術だ。
・・・お? なんか閃いたぞ・・・確か・・・通信系の資格で手に入れた念話スキルがあったはずだ。レベルは、5か。どんな反応をするのか・・・
『あーテステス・・・そう目の前の男だよグレイウルフくん・・・』
びくっと反応して狼が俺を見た。通じたな・・・俺の言語スキルをなめるなよ・・・
『め、メグミ・・・何かまずい。こいつ、念話で僕に話かけている。』
え?念話って誰でも使えるの・・・
『いや、そんなに簡単に使えるスキルじゃない・・・でもこいつは、とんでもないくらい色々なスキルをもっているんだ・・・』
メグミは、タクミの顔を見て
「タクミさんは、ずいぶんと色々なスキルが使えるのですね?」
俺は、驚いた。ちょっと待て、なぜそれがばれた?
「うん?何を突然、俺は、せいぜい3つ4つのスキル(俺が表示させている)があるだけだぞ」
冷静に言ってやった。
「でも・・・」『こいつは、何か特別な方法でスキルを偽装している。実際には数えきれないほどのスキルがある。言語スキルレベル10なんて神のようなスキルを持っている』
ホクトが私に教えてくれる
「でも・・・言語スキルレベル10とかほかにもいっぱいもって・・・」
俺は、焦る。なぜ、俺のスキルがばれる・・・これじゃ俺の計画が・・・。こいつらが特別なのか、同じ日本人だからか・・・この狼が特別なのか・・・。
私は、なにか閃いた。なぜ、こんなことを・・・でも
「あ、あなたが、私に力を貸してくれないなら、私は、あなたの秘密をばらして歩きます。そんなことは、できたらしたくないので、私にも協力してください。タクミさんお願いします」
・・・ああ・・・やられたよ・・・乾杯・・・いや完敗だ・・・プランを練り直す必要があるなこれ・・・
「わかった。わかったよ・・・協力するさ。そのかわり、条件がある」
「や、やった。タクミさんお願いします」『メグミ・・・まだ相手が条件を言っていないよ』
ホクトが私を心配する・・・けどね・・・なんとなくこの人は敵にならない。なぜかなそう思うんだよね。
「俺の条件は、その狼だ・・・あきらかに普通のグレイウルフじゃないだろう。強い意思と知性を感じるからな・・・その秘密を俺にも話せ、そうすれば俺もいくつか答えてやる」
え?でもホクトのことは・・・『メグミ・・・この男になら言ってもいい・・・どうせばれるのも時間の問題だ・・・むしろこいつに僕は聞きたい事がある。念話を3人で共有できるようにするから、それを伝えてくれ』
「ええ、言いわ。今から念話であなたと私、そしてホクトとつなげるから・・・」
すると俺の頭に
『僕は、ホクト。確かに君の言うとおり、ただのグレイウルフじゃないよ。僕は、特別な存在だが、それ以上でもそれ以下でもない。ただ、メグミを守るためだけに存在している。その特別な僕は、君が偽装しているスキルを見る力がある。僕は、特別だからね、君がもっているたくさんのスキルを1つ1つ言ってあげてもいいよ。』
『ホクトね・・・。そうか特別な存在か。なら、スキルがばれたのは仕方ないか。そんなにたくさん特別な存在ってのは、いないのだろう。』
『そうだね。僕のような特別な存在は、多くはないだろうね』
『あの・・・私は・・・』
『君は、僕達をどうする気だい?さっきの話では、メグミに協力すると言っていたけど・・・。僕は、メグミに何か害があるようなら何をしてでも君を排除する。僕にはその力があるから』
『おいおい、ホクト・・・脅しかよ・・・。そうだな、今はまだ、ノープランと言ったほうが正しいな。そっちの目的とこっちの目的が一緒かどうかもわからないしな』
『あの・・・』
『メグミは、冒険者になりたいと言っている。そして強くなるためにはある程度の機会が必要だ。この世界で生きていく力が必要だからね・・・』
『なるほどな。それならこっちもあまり問題ないな。俺もまだこの世界に来て日が浅い、情報を収集しながらレベルを上げているところだった。そうだな・・・ホクトの情報と力は魅力的だし、協力関係を築いてもいいな。そっちはレベル上げと冒険の機会を俺は、ホクトの情報と知識を得られる』
「私の話も聞いてください!」
念話を使わずいきなり立ち上がり叫ぶメグミ・・・周囲の注目を一気に集めたことに気が付き顔を真っ赤にして座り・・・ジュースに口をつける。1人と一匹は
『『ごめん(な)』』
と言って謝った。




