プロローグ
ーとある通話履歴。
「今日もまたぐちゃぐゃにされた。今日は教科書だった。移動教室の時に盗まれたみたい。また買い換えなくちゃ…」
「今日はボールを投げつけられた。野球ボールだったみたいで、凄く痛い。
自分が投げてきた癖に、汚れたから弁償しろとか言われた。
断ったら蹴られて財布をとられた。」
「皆笑ってる。私を殴って楽しんでる。何で笑えるんだろう。私は死にたいのに。」
「死にたい。終わりにしたい。私が死んでも、きっと誰も悲しまない。」
「ありがとう。私も絶対、ーーーちゃんが居なくなったら後追いできそうな程悲しむ。」
「苦しい。悲しい。酷い。誰か、助けて。死にたい。…誰か、殺して。」
「死にたい。死ねば楽になれるのに、怖くて死ねない。やっぱり私って臆病なんだなあ。」
「テストの点数の事で担任に怒られた。教科書もノートもないのにどうやって勉強しろっていうんだろう。」
「…今日、また担任に怒鳴られた。泣くのを堪えてたら、笑いながら言われた。『虐められて当然だ。お前みたいなやつに生きてる価値はない』って…
ねえ、私の生きてる意味って、なんですか?」
「…ありがとう。ーーーちゃんになら殺されてもいい。」
「やっと今日から冬休みに入った。これで2週間くらいはなにも聞かずにすむ。」
「おはよう。今日はこっちは雪降ったよ!初雪だね。」
「そっちではまだ暖かいのかな?部屋にストーブもこたつもないから、少し羨ましいな。」
「こんばんは、だね。今日は流星群が見れるらしいので、ベランダにたってるところ。
少し寒いなあ。」
「そっちでも見れるかな?」
「あ、今ちょっと光った!きれいだねぇ」
「え?願い事?うーん…ーーーちゃんと会う事かな。」
「誕生日おめでとう!プレゼントを×××(とあるゲームの名前)のお店に予約で出しとくのでとっといてね!」
「気に入ってくれたみたいで嬉しいです。
結構前から探してたんだけど、中々いいのが見つからなくってさ。」
「そんな、お礼なんていいよ。いつも励ましてくれるお礼。
私が自殺できないのは、ーーーちゃんのおかげでもあるかもね。」
「うん、ーーーちゃんのせいじゃなくておかげ。ーーーちゃんが私にした事は全て、私にとって救いになるから。」
「何だって許せる。殺されても、あいつらと同じ事をされても、絶対にーーーちゃんを憎む事なくてしないよ。
だって、私を救ってくれてるのはーーーちゃんだけなんだから。」
「あけましておめでとうございます!ーーーちゃんにとって良い年でありますように!」
「え、もう宿題終わったの!?早っ!」
「今日でとうとう冬休みが終わる。…明日なんて来なければ良いのに。」
「今年も何も変わらない。ただ、地獄で過ごすだけ。」
「ここが地獄なら、私が犯した罪はなんだろうね。生きてる事?」
「助けて。死にたい。嫌だ。消えて。全て消えてしまえ!」
「あ、あのね!今日、×××(同じくゲームの名前)で………っていう人に出会ったの!
ーーーちゃんのリア友…というか同級生って本当?」
「へえ、そうなんだ。優しい人なんだね。」
「う、うん。それで、今度一緒にレベル上げしようって誘われてるんだけど、どうしたら良いと思う?」
「え、私はどうしたいか?
…行きたい。」
「………さんと最近色々話してるんだ。ーーーちゃんの事色々褒めてたよ!」
「あ、あのね。…ネットで知り合った人との本当の恋って、あると思う?」
「ーうん。好きなの。………さんのことを愛してる」
「ネットの人ー虚構にじゃなくて、現実に存在してる人として、愛してる。
例えどんなに顔や声が酷くても、絶対に好きなままでいられる自信がある。」
「ー勿論。今更何を言ってるの?
ーーーちゃんのことを拒絶することなくてない。」
「あ、あの!ついさっき、………さんが!好きだって!」
「…本当?」
「え、だ、大丈夫だよ。何もないよ?」
「おはよう!今日は台風が来てて休校だってー
そっちはまだ学校かな?」
「え、さけてないよ、うん。」
「…そんなことないよ。ーーーちゃんと………さんの事を嫌うとか死んでもありえない」
「…本当はね、怖いんだ。」
「私と好きと………さんの好きは違うんじゃないかって。」
「怖いんだ。怖くて怖くてたまらないの。
もし違ってたら、恋人ができたとかいう報告を、いつか聞いてしまいそうだから。」
「で、でも、それはーーーちゃんが思ってるだけでしょ!?」
「ごめん。…もう今日はこれで切るね。」
「この前はごめんなさい!あの後、………さんと話したんだ。」
「うん。もう大丈夫。私は怖くない。」
「本当にありがとう。ーーーちゃん。」
「最近ね、何か全く苦しいとか悲しいとか感じなくなってきたんだ。」
「あんなに死にたいって泣いてたのが嘘みたい。あいつらが何をしようが何も思わなくなった。」
「ありがとう。本当にありがとう。ーーーちゃんと………さんのおかげだよ。」
「今回のテスト久々にに集中してテスト勉強できたから、かなり自信ある!返されるのが楽しみ!」
「うーん、そこのあたりなら、計算問題が多分出やすいと思うよー」
「まさかのテスト学年5位!本当に嬉しい!」
「今日髪切りに行ったよ〜!聞いたとおりお風呂の時洗うのが凄い楽!」
「とうとう三年生だね。お互い受験頑張ろう!」
「最近………さん見ないんだけど、何かあったのかな?」
「え!?病院!?」
「うん、それで?」
「…え?うそ、だよね?なんで、そんな…」
「…そう、なんだ。もう時間ないんだね。」
「ううん、大丈夫。教えてくれてありがとう。」
「ーーーちゃん。」
「ー会いたい。この虚構じゃなくて、現実で。」
「うん。ありがとう。切るね。ーもう、此処はいらないから。」
「ごめんなさい。会って話すと泣いてしまいそうなので、ここで言います。
今まで本当にありがとう。私がここまで生きてこれたのは、貴方のおかげです。
毎日死にたいと泣きわめく弱い私に、ずっとついてくれる優しい貴方が、大好きでした。
貴方が居たから、私はあの地獄の中笑うことが出来た。
あの人と会うことが出来た。
そして今、恐怖を抱かないでいられるのも、貴方のおかげです。
本当にありがとう。貴方には、何度お礼を言っても足りない程感謝しています。
だから、ごめんなさい。私は貴方がいつか消えてしまうことが受け入れられません。
本当に、ごめんなさい。そして、ありがとう。
さようなら。大親友さん。」
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