●『驚異のはちきん小説!「はちきん」と呼ばれる女』その7
●『驚異のはちきん小説!「はちきん」と呼ばれる女』その7
はちきんが小学2年の時の転校生 丘メヒー子は「丘さん、丘ちゃん、メヒー子さん、メヒー子ちゃん」などと呼ばれても決して返事をしない。
ではどう呼ばれれば、返事をするのか?
「少女 丘メヒー子」
である。
そう。丘メヒー子は、
「少女 丘メヒー子!」
と呼び掛けない限り、決して返事はしない。
振り向きさえもしない。
●『驚異のはちきん小説!「はちきん」と呼ばれる女』その8。
そんなはちきんと丘メヒー子にも初体面の時間があった。
場所は高知市五台山。「おらんく中岡慎太郎小学校」の一階、2年パパイヤ組教室内である。(いささか奇態な学校名、クラス名に感じるだろうが、当該小学校の教育方針などに関しては、いずれ語られる日が来るかもしれない)
海の気配が漂う五台山の麓にある教室。小学2年にして、既に校内でややアウトロー的ポジションを確立していたはちきんは最後方で教室の出入り口に最も近い席へ座っていた。かねてから転校生の話を聞いていた生徒たちは、軽く息を呑みながら担任教諭の到着を待っていた。
「来た!来た!」
間違いなくクラスで一番の目立ちたがり屋である田川猿蔵が廊下側の窓越しに観察しながら叫んだ。
「女じゃ、女じゃ!何じゃ、でっかい帽子かぶっちゅうぞ!こんまいにでっかい帽子かぶっちゅうぞ!ギャ~ッハッハッハアアア~~!!」