10
あまり無い体力に鞭をうち、
石扉を押し開けたところで幼女が猫耳を付けて決めポーズをしているのを目撃する。
気のせいであることを願って一度扉を閉め、
もう一度押し開ける。
「気のせいじゃなかったァァァァア!」
どっかで見たフィーバーポーズで猫耳を付けた幼女の向こうにゴンザレスが思考停止しているのが見える。
漫画であればかぱーんとオノマトペがつけられてそうなくらいに口が開きっぱなしだ。
喜びの舞なのか、幼女がEX○LEの1人トレインし始めたぐらいで正気に戻る。
「・・・・・・。
それは君のものだったのか?」
冷静を装い、話しかけてみる。
正直、外が砂漠じゃなかったらもう案内とかどうでもいいからこの危険分子をたたき出したいんだが流石に砂漠にたたき出せないし、
幼女にスライム浴とかそれどこのエロゲかって話である。
「うん、そうにゃすよん。
あのクソ貴族から取り戻してくれたのはあなたかにゃす?」
・・・・・うん。
口調まで変わるなんて徹底してるね。
私としても引くしか出来ないとはかなり驚きだよ。
幼女は保護欲の方が先行するはずなのに。
「・・・うん、そだよ・・・。
口調の方はなんで変わったのかな?」
「気分にゃすよ?
ウチの部族はコレは命より大切なものなんにゃす。」
猫耳を指さしながら命より大事とか言われても・・・。
ひとまず、部族の創始者を殴り飛ばしたい。
絶対地球の奴だろ、創始者。
「気分かぁ・・・そっか・・・・・・。」
一時の感情だけで先行していた心が戻ってきたせいで話が続かない。
――やっぱり、コミュ障の状態にもどっちゃったよぉぉおっ!
「そうにゃす。
で、此処はどこにゃすか?」
友達が出来ず、引きこもった原因である奴が戻ってきたことに頭を抱えたところで幼女が話題を切り替えてくれた。
これは有難い。
「ダンジョンらしいよ。
私達は・・・ここからは出られるんだけど砂漠をどう渡れば良いのかわからなくて・・・・・・。
動けないでいるんだ・・・。案内してくれるかい?」
途切れ途切れだけれど本題を伝える事が出来た。
ゴンザレスが感激の涙を垂れ流しているのを尻目に話を続ける
――さて、どう反応してくれるのかなぁ?
「いいにゃすよ?
貴族共はいないみたいにゃすし、
もう枷はないにゃすからね。
ワンのおっちゃんと二人組でなら恐らくサンドフィーダーズの大群が来てもなんとかなるにゃすし。」
何とか外への案内役を手に入れられた。
これで外へ出られたなら・・・。
ノルマ達成まで篭もれる位のちゃんとした食べ物を調達したいところだ。
アイテムボックスのスキルを岩の雨が降った時に増えたDPでこっそり取っておいたし、
何とかなるなるっ!
体と心を奮い立たせ、ひとまず隣りの部屋で落ちているワンをどうにかする事に頭を回転させることにする。
・・・・・・。
やっぱりチョークスリーパーはやばかったかなぁ・・・。