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ンザンビの召喚士  作者: 鰯 寛之
プロローグ1
13/113

雷神進撃


 地は割れ、森はかたむき、空は灰色にまった。

 動物たちが震源しんげんからすこしでも離れようと、われ先にけだす。


「鬼だ! 鬼が出たぞ!」


 町民の男が空を見あげながらいった。その瞬間、雷鳴らいめいとどろき、その町民の男は世界から消失しょうしつしていた。文字通り、血肉にくへん一片いっぺんも残らず消失していた。


 電線をつたって流れた高圧電流は、各家庭のコンセントをたどって建物内にまで進入し、家電から空気中に放電された電気によって、民家に逃げひそんでいた町民たちは、ことごとく感電死した。彼らは自分の身になにが起こったのかわからないまま、息を引きとった。


 建物、森、しまいには何もない土地の地面からも炎があがった。それはまるで、地下からマグマが押し寄せているかのような光景だった。

 人々は逃げまどい、恐怖に泣きさけび、神に祈った。目の前に突然あらわれた鬼が、実は神だとはみじんも思うことなく。


 筋肉隆々(きんにくりゅうりゅう)の身体をもつ雷神は、まるでジオラマをみつぶすかのように、町にひとつだけある教会を踏みつぶした。そこに神父の姿はすでになかった。いち早く危機ききさっした神父は、町外まちはずれにある自宅の地下のシェルターにひとり逃げこんでいた。だが、そこも安全ではなかった。そのシェルターにも40ワットの電球がそなえ付けられていたからだ。もちろんその電球に明かりをつける電気も、発電所から電線をつたって送られた電気だった。神父の心臓は、その電球が破裂はれつしたのとまったく同時に、破裂した。


 空気中をただよう弱電流のせいで電波障害がおき、外部との通信手段は完全に失われていた。町はヘビににらまれたカエルのように完全に孤立こりつしていた。

 もはや神の前に救いは何もなかった

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