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双子の狼 Ⅰ  作者: ヨウカズ
第二章・狼の双子、親を失う。
8/9

8・頭上のヘリコプター

~双子サイド~


「………………」 「………………」


ふたりの前に、学校の高い門がそびえていた。

氷介はリターンしようとした弟の鞄をつかんで止める。


「何処行くの氷也?」 「帰る~っ!!」

「僕がついてるから大丈夫だってばー! それに、仲良くしてくれるヒトもいるかもよ?」

「ない! 絶対ない!」


氷也は首を横に振って、はっきりと全否定。


「そこまで言いきっちゃうんだ…。

 まあ、シャカイ、ベンキョウ? のためにもいいんじゃない? 行くよー?」


門をすたすたとくぐると、氷介は弟を置いて行ってしまった。


「ああーっ!! ちょっ、どっち行って― ああ、もう!! 待てよこの野郎ー!!!」

「早く早くー。」


これから、ふたりは邪悪学園に通うことになった。




~ルーテさんとお兄さんサイド~


「ほほう。 今門をくぐったのが双子だよな?」


ルーテと兄は、空からふたりを見下ろしていた。


「僕にやられて生きてるはずないと思ったけどね。 あーあ、ぜーんぶ水の泡かよ~…」

「いや、そうでもない。 双子は、四大神のひとりと…接触してるはずだ。」

「え…?」


前に、兄がルーテに話した事がある。

四大神に力が及び、敵意のある危険な生命体が

その四大神に近付いた場合、兄にその情報が伝わるのだと。


「この機能が使われたのは、これでまだ3回しかないな…」

「? あとの2回はなんなの?」

「………。


 1567年前に現れた最初の【狼の双子】と、それを倒した勇者だ。」


「………。 そっか、そうだったね…うん。」


『すっかり…忘れてたね。』


「よし、もう戻ろう。 早速その四大神が誰か、つきとめなくてはな。」

「はーい。」




~熊?~


熊は、のしっ、のしっと、町に姿を現した。


「ふうー…山の上よりはそう寒くは無いな…ん?」


熊は、[邪悪学園・入学式]と書かれた看板を見つけた。

その看板のわきには大きな門があり、奥には大きな建物があった。


「ほお…学校、か…。 ふん、丁度4月か…。

 あいつらも、ここで入学式をあげてるかもな。」


熊はそのまま、その門をくぐった。


「はっはっは! 我が子と孫の顔を一度に見れるとは、な!

 何て素晴らしいんだ! 入学式!」




~双子サイド~


1-1


教室の前にはそう書かれていた。

中にはふたりと同じくらいの子が、これからの学校生活を楽しみにしているようである。


「氷也、ここだよ。」 「あ、ああ…。」 「…は、入らなきゃ! 行くよ、氷也。」

「い、いや待て待て! まだ、心の準備が…。

 だって、俺たちが教室入ったらどんな目で見られるんだよ!」


氷也は涙目で氷介の耳を引っ張った。


「ちょ、痛いってばー! ボクはあんまりそうゆうの感じないから、もう入るね?」

「ええっ!? ま、まてって!!」


『何でだ? 氷介の奴でも、嫌がると思ったのに…なんか、変わったな…。』


ガラッ。

氷介はけろっとした顔で教室に入ってきた。

とたんに他の一年生たちの眼が、歩くたびに揺れる白い髪、

その切れ間に見える獣の耳、深い緑の眼に釘付けになった。

氷介はきょろきょろと教室を見渡す。


「えーと、ボクの机は…あ、あったあったー♪ …ん?」


氷介はまだ戸に隠れている氷也を、不思議そうに見つめた。


「氷也―」


椅子を引いて戸のほうへ向かおうとした氷介は―


横の窓に、一気に大きな、暗い影が出るのに気付いた。


「 ―?」


ヘリコプターのパラパラパラという音が空から響く。

他の一年生たちは冷気が入ってくるのもかまわずに、窓をガラッと上に押し上げた。

氷介もそばの窓を素早く開けると、雪の地面にひらりと出ると、上を見上げた。

そこにはやはり、空でヘリコプターが空中停止していた。


「…? 誰か、…降りてくる?」


皆気付きはしなかったが、廊下側で教室の後ろの戸を開けようとしている影が、

氷也には見え、誰か、分かっていた。


「…あ。」



~熊?~


「ふん…ここか? 教室の構造ってのはよくわかんねえな…まあ、いいか。

 教室の場所も突き止めたし、開けるぞ、……せェーのっ!!」


熊は勢い良く、その教室の戸を開けた。

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