土曜日の夜、一人っきりの部屋で……
目覚まし時計に縋らない朝でも……やはり同じ様に目覚めてしまった。
幸い、薄っすら露が付いた窓ガラスの外は、彼岸を過ぎた春待ち日和で……夜の暗さに私を落とさないで済ましてくれる。
そう! 今日はお休みなのだから……私は自由。
ご飯を食べるのだって、時間と鏡とにらめっこしながら“甲斐のない”お化粧をする事だって……あえてする必要は無い。
月前半の……予想外の出費は、私のネットポチ買いの指を止めさせてくれたから宅配便がやって来る事も無い。
だから私の気が済むまで、すっぴんで居られる。
でも午後になったら出掛けるつもり。
どうせ物足りない自分の顔やお休みに……紅を差したくなるのだから。
せめて外でなにか食べようと目論んでいたから……極々軽めにしたブランチのお皿を片付け、昨日からの飲み残しのマグミットのシートを手に取ったけれど……外出先でトイレの冷や汗をかくのは怖いから、飲まないで置いた。
窓越しに外の陽射しを眺めスマホで天気予報を確認。
傘は要らないが手抜きメイクの言い訳で花粉対策のマスクは使えそうだ。
さて、着るものはどうするか……
私のカラダは規格外で……オトコと可愛いキスをした事もない。
『背丈』だけの高望みをすれば目に付くのは独活の大木ばかりで話にならない。
こんな憎まれ口しかきけない私だから綺麗な服とは無縁で、クローゼットの中はメンズの方が多い。
オトコなぞ、飼った事も無いのにね。
結局、今日のコーデはグレーのテーラードジャケットにオフホワイトのカットソーのTシャツ。パンツはビンテージショップで買い求めたデニムだ。
これにマスクとローファーなのだから完全にオワタ\(^o^)/だけど……実に私らしい。
でも、良いんだ。駅までの道すがら、わずかではあったけれど桜を愛でる事ができたから……そうだ! 帰りに桜餅を買って帰ろう。
ターミナル駅についても、前述の通り……コスメや綺麗なお洋服には縁の無い私だから……
デパートの中で立ち寄るのはダイソーと成城石井とKALDIくらい……ああ、後でデパ地下は覗くか。
こんな爛れた私の御用達はこの辺りで一番の規模の書店。
まあ、情けない事にラノベも充実しているマンガのフロアーしか行かないんだけどね。
マンガは……紙と電子を使い分けている。
紙の風合は好きなんだけど……如何せん狭い棲み処では邪魔になるからね。
あと、ここの書架には原画のレプリカや漫画家の色紙が展示されていて、それらを間近で見れるのが嬉しい。
私、行く度にそれらを見て回ってる。特に色紙に直描きされているものは……ペンタッチとか、あ、ここホワイト使ってるとか、良く分かるのでめちゃ面白い。多分、10分はそれに使ってるもんね。
あと、試し読みの薄い冊子とか、どうかすると第一巻がまるまるサンプルで置いてあったりするから、これも楽しい。うん! 飽きないね!
でも、今日の第一目的は某小説投稿サイトで友達になったコ達の新刊やコミカライズ版をゲットする事!
えっと、なんだっけ?『出版危機』と言われてるけど……ラノベは結構な数の新刊が毎月出ていて……カノジョ達の作品を見つけるのは……店内設置の検索機を使っても骨だったよ。
これらを抱えてレジに行って……カバー掛けとかおまけのカードや栞を出して貰っている間にこちらもトートーバッグを用意して無事購入完了!
あらら、ランチタイム過ぎちゃった。
さて、どうするか……
この時間の“おされ”なカフェってカップルの御用達だから大抵、お店の外に並べられた椅子で順番待ちなんだよね……
「そりゃ、カップルなら順番待ちの時も席を隣にしたラブラブタイムが楽しめるんだろうけど」って見てみたら、これが違うんだよね。席を隣にしても各々自分のスマホを覗き込んでてさ。
まじかよって、お店のウィンドウを通して中を覗き込んだら……グラスやカップを前に置いてもやっぱり各々スマホに没頭ってカップルが少なからずいらっしゃる。
なんだろね、これ。
“接合”のノイズをスマホで紛らわせ、でも結局はルーティンの様にそれをこなすのか?
笑っちゃうよね。
マッチングアプリで求める時にはガン見するくせにさ。
とにかくこんな状況にげんなりして……大枚?はたいてワザワザそんな空気を吸う気も起こらなくて……
結局、マックへ入り、期間限定に目が無い私は、『コク旨かるび焼肉風てりたま バリューセット』をオーダーし、ドリンクを『とちおとめ白桃フィズ』へ変更した。
マックってさぁ~ やっぱガヤガヤしいけどJKのキラキラ言葉を砂金探しできるからさ、悪くはないんだよね。
いや、あまり疚しい話では無いよ。(まあ、それなりに疚しいわけだが……^-^;)
学生時代など遥か昔の私だからさ、こうしてネタ探ししないと現役との乖離が激しくなるからね。
さて、ボッチディナーは当然“外”ではなく家飲み。
デパ地下と成城石井の戦利品をテーブルに並べ、NetflixをBGVで流しながらチビリチビリとやり始めた。
まあこれでまたエンゲル係数が上がるわけだけど他に楽しみも無いし……昔っからデートとかで御馳走して貰った事が皆無と言っていいくらいの私だから、この位の贅沢は許されるかなって自分を納得させている節はあるよね。
バカみたいな話だけどさ。
そんなこんなで夜も更けて、Netflixも閉じたけどやっぱ眠れなくて小説投稿サイトの巡回を始めたら……読む作品読む作品、才能が煌めいて眩しくてさ……
で、眩しければ影ができるわけで、そこにすっぽり自作が収まっている感じで……
何気にシクッ!と来たりはするわけよ。
んー! 心がモヤモヤモヤで
そのモヤモヤモヤをなんとかしようとするとポッカリ隙間が空いた感じで……
切れかかってチカチカする蛍光灯の街灯の下にポツリと取り残されたみたいな寂しさに襲われちゃった。
もう何でもいいから人肌恋しいとか思っちゃって、ホント! 『バカ』なんだけどさ……
そう言ったものがあるわけはないから……
もう、とにかく寝てしまえ!!って
歯磨きをしていたらいつの間にか口の中が切れていて血の味が舌に滲む。
それは私の不純を映す鏡で……もう、終わりまで待てそうにない。
だから私は……独り寝のもどかしさをひだの奥へ押し込もうと……
今日も指を使うんだ。
おしまい




