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『精霊たちが去った後で』  作者: ホワイト・ブラック
第一章 『彗星が去りし後の黎明』
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第一章 第3節 『大精霊はそこにいる』

赤結晶のアノマリーが再び咆哮した。金属的で歪んだその音に大地が震える。火炎のコアが激しく脈動し、アランとベンジャミンには防ぎようのない一撃が放たれようとしていた。


「ベンジャミン、籠手だ!」アランがパニックで声を枯らし、友人の元へ後ずさりながら叫ぶ。「もう一発撃て!」


「冷却フェーズなんだ、アラン! 動かない……!」


怪物は面取りされた顎を開き、周囲の空気を歪ませるほどの灼熱エネルギーを蓄積していく。死は免れないように思えた。


――キィィィィィン!


空そのものが割れたかのような、澄んだ結晶音が丘に響き渡った。虚空から純白の光の奔流が具現化し、瞬時に編み合わされて、昇る朝日のごとく眩い「光の鎖」へと姿を変えた。鎖は鋭く正確な動きで、アノマリーへと襲いかかる。


一本の鎖が上顎を、もう一本が下顎を捉え、不可視の、しかし絶対的な力で引き絞った。鎖がピンと張ると同時に、怪物の口は凄まじい音を立てて強制的に閉じられ、喉の奥に溜まっていたエネルギーは霧散した。怪物は押し殺したような断末魔の悲鳴を上げ、神秘の拘束を逃れようと無駄な抵抗を繰り返す。


アランとベンジャミンは、目を見開いたまま凍りついた。


「何だ……あれは?」ベンジャミンはバイオメカニカルな籠手を下ろし、技術的な驚愕が恐怖を上回っていた。「光の鎖? 純粋な原初の魔術か?」


対照的に、アランは心臓が高鳴るのを感じていた。安堵と畏敬の念が彼を支配する。彼はその光を知っていた。


「嘘だろ……」アランは震える笑みを浮かべて呟いた。「彼だ。本当に、彼なんだ」


数メートル先、古い松の木の最上枝に、物憂げに腰掛けている者がいた。カリだ。


見た目は十三歳ほどの少年。無造作な茶髪に、幼い好奇心を湛えた瞳。白い毛皮のフードが付いた鮮やかなブルーのテクニカルジャケットにハーフパンツ、そして汚れひとつない真っ白な靴。まるで散歩にでも出かけたかのような格好だ。彼は首をかしげ、瓶の中の虫を眺める子供のような、退屈そうでいて純粋な眼差しで拘束されたアノマリーを見下ろしていた。


カリは軽やかに、まるで重力がないかのように枝から飛び降りた。地面に着地するのではなく、激昂するアノマリーの赤い結晶の背中の上に、ふわりと降り立つ。


怪物は彼を振り落とそうと激しく身悶えたが、カリは瞬き一つしなかった。彼は底知れぬ静寂を纏いながら、両手首を差し出す。そこから、彩光の輝きを放つ二本の新たな光の鎖が噴出した。鎖は素早く怪物の首に巻き付き、口を封じていた鎖がさらに強く引き絞られる。怪物は地面に頭を押し付けられ、ひれ伏すしかなかった。


捕らえられた怪物の上に心地よさそうに座り、カリは無造作に脚をぶらつかせた。その純粋無垢な好奇心に満ちた瞳は、彼をこの世で最も無害な存在であるかのように錯覚させていた。



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