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『精霊たちが去った後で』  作者: ホワイト・ブラック
第一章 『彗星が去りし後の黎明』
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第一章 第2節 『解析と強襲』

アランは、エメラルド色の草の上を転がりながら、怪物の結晶化した脚による刺突を紙一重でかわした。肺が焼けるように熱い。


「ベンジャミン! いつまでこいつとダンスを続けりゃいいんだ!」

アランは叫び、土埃で怪物の目をくらませようと、死に物狂いで突風を放った。


――バンッ!


ピンク色の空を黄色い光弾が貫き、二人の頭上でマナのフレアとなって弾けた。アノマリーは動きを止め、金属的な軋み音を立てながら、その結晶の体を音の源へと向けた。


そこには、狂気すら感じさせる笑みを浮かべ、岩の上に立つベンジャミンの姿があった。彼の右腕は、もはや生身のものではなかった。それは真鍮のプレート、唸りを上げるケーブル、そして油圧ピストンに覆われ、まるで金属の寄生体のように彼の肌に密着している。籠手のコアは、数分前に回収した結晶を動力源として、強烈なオレンジ色の光を放っていた。


「おい、プリズム野郎!」ベンジャミンが吠える。「主役は僕だ!」


バイオメカニカルな籠手が高音のビープ音を発し、耐え難いほどのマナ圧を蓄積していく。ベンジャミンは腕を伸ばし、開いた掌をアノマリーの胸部へと真っ直ぐに向けた。その瞳には、世界のルールを書き換えた者の自信が宿っている。


「――燃焼プロトコル:『イグニス(焚火)』!」


力強い声とともに、籠手の周囲の空気が熱で歪んだ。一瞬後、ベンジャミンの掌から、濃縮された巨大な火炎が噴出した。それはただの火ではない。航空機のエンジンのように轟音を上げる、燃え盛るプラズマの奔流だった。


衝撃は直撃だった。アノマリーは後方へと押し戻され、踏み止まろうとする槍のような脚が地面を削り、嫌な音を立てる。胸部の赤い結晶は極限の熱にさらされてひび割れ、白熱していく。弾け飛んだ結晶の破片は、地面に落ちる前に灰へと変わった。


アランは腕で顔を覆い、眩い光と熱風から身を守った。一瞬、ベンジャミンがやり遂げたのだと確信した。


しかし、火炎が収まり、煙が晴れたとき――そこには、未だにアノマリーが立っていた。


胸部は溶け、片脚を引きずってはいたが、その内部に宿る火炎エネルギーは怒りとともに脈動している。怪物は、数千の水晶が同時に砕け散るような、耳を劈く咆哮を上げた。傷ついてはいるが、今やそれは狂暴化バーサークしていた。


「嘘だろ……」

冷却フェーズに入った籠手から蒸気が漏れ出し、ベンジャミンの笑みが引きつった。「あれで、まだ足りないっていうのか?」


アノマリーは体を低く沈め、最後の一撃チャージに向けてエネルギーを溜め始めた。


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