夕方5時
「よ!」
そんな軽快な挨拶からケイはいつも話しかけてくる。
「なに?」
「いやー、昔はよかったよなあ」
「なにが?」
「だってさー、イナズマイレブンとかダンボール戦機とかあの夕方のアニメタイムほど幸せな時間そうはないよ?
今の子はそれがないなんて可哀想じゃない?」
「あー、まあそうだね。でもいいんじゃない?Youtubeでヒカキン見れるし」
「ほーん」
なんだか期待していた返事と違ったのか、飽きてそうだ
話を振ってきたくせに
「人間って死ぬじゃんか?じゃあ生きるの意味ないんじゃね?」
急に話題を切り替えてきた。
正直、こういう話あんまり好きじゃない。考え出すとキリがないし、答えなんて出ないのわかってるから。
「意味?まあ、楽しく生きればそれでいいじゃない?なにあなたも変なことで悩むのね」
「いやさ、"生きる目的を探すのが人生だ"とか言う人がいたんだけど、結局死ぬじゃん?何も残らないよ。次世代に命をつなぐっつても俺の命はなくなるわけでさ」
別に深刻そうでもない。ただふと思いついたことを口にしてるだけって感じ。
「まあ、それ言っちゃおしまいだね。じゃあ永遠に人生があったとしたら意味あるってことになる?」
「うーん、それはそれでめんどくさいなあ笑」
ケイはあっさり笑った。
「ねえケイ、そういうのってそんなに考える?」
「ん?たまーにね。ふと思うことあるじゃん」
私はあんまり考えたくない。というか、考えてもしょうがない。
「あのさ、ケイ」
「ん?」
「人生には意味がないんだよ、多分」
「おお、急にどうした?」
ケイが嬉しそうに目を輝かせる。
「意味なんて最初からないの。ただゆらゆら生きていくだけ。だから意味がないからこそ、気楽に生きていけるんだよ」
「ほう」
「意味があるって思うと、それを達成しなきゃいけなくなるでしょ?でも最初から意味なんてないって思えば、別に何やってもいいわけじゃん。イナズマイレブン見て楽しかったらそれでいいし、マック食べたかったら食べればいい。全部等価値」
ケイはニコニコしながら聞いている。
「ゆらゆら揺れながら、その時その時で楽しいことやって、気づいたら死んでた。それでよくない?意味を探さなきゃって思うから苦しいんだよ。意味なんてないんだから、適当でいいの!!」
「へー、いいこと言うじゃん!」
ケイが嬉しそうに笑った。
自分の意見が肯定されたいだけだったのかも…
「なんかさ、それ聞いたらスッキリした。意味がないから気楽、か」
「だからもうそういう話振ってこないでよ。めんどくさいから」
「えー、でもたまに面白いじゃん、こういう話」
「ケイは面白いかもしれないけど、私は別に……」
「じゃあ今日はゆらゆら揺れながらカラオケ行く?」
「急だね」
「だって意味ないんでしょ?だったら楽しいことやろうよ!」
ケイは相変わらずニコニコしている。結局何も悩んでなかった、こいつ。
「しょがないなあ、あなたの歌下手だからそんな聞きたくはないんだけど?」
思いがけないイベントにわたしはふと笑みがこぼれた
Xにて掲載したものをこっちでも投稿しました。
Xアカウント→@tPhNXoLuS351068せんくしゃ
2026/02/15に投稿




