第十九章17 【アンサー・クリエイト/第10席戦1】17/【事実をねじ曲げる強制力】7/【河池 祈清(かわいけ きさや)】との1日
続いては、【河池 祈清】との1日だ。
彼女とはデートをした関係でもある。
【芳一】は、
「どうしたの?
いきなり妻になるって?」
と聞いた。
【祈清】は、
「簡単な話よ・・・
貴方は24名の妻の誰も愛していない。
だから、返答に困っている。
間違っているかしら?」
と言った。
【芳一】は、
「そ、それは・・・」
と返答に困っていた。
図星だった。
彼は愛というのがいまいちわからない。
好きだと言う気持ちはある。
可愛いや綺麗だと思う気持ちもある。
だが、愛するとはどういう事か?
子供は好きだ。
子供は可愛い。
だが、異性に対してはどうか?
・・・解らない。
だから、誰の返事にも答えられないから一線を踏み越えられない。
いつか、自分の本当の気持ちに気付いた時、それに含まれなかった異性を傷つけたくないから。
だから、一線は踏み越えられなかった。
それは彼にとっては優しさでもあり、返答を先送りにしている狡さでもあった。
それを指摘されたから戸惑っていたのだ。
【祈清】は、
「そのものずばり言うわ。
貴方は誠実ではない。
一人の女性を愛していないのだから。
でも、それは人間の常識での問題。
貴方は人の理を飛び越えようとしている。
だから、人の常識に当てはめるのはどうかと思う。
それに私も一緒。
誰も愛していないのなら私にもチャンスがあると思って貴方の妻になろうとした。
貴方が困るのを承知で。
24名全員一緒。
みんな狡い。
結論を相手に選ばせようとしている。
だったら、今の形もそれなりにありなんじゃないか・・・
私はそう、思う。
私は自分のインスピレーションを高めてくれる存在が好きだ。
感情表現の乏しい私が唯一、興味を示せるのが貴方の発想力だ。
だから、貴方が欲しい。
それが私の目的。
だから私も狡い人間だ。
卑怯者同士、一緒に居て欲しい。
それが私の希望」
と言ったのだった。
そしてお互いしばらく黙っていた。
言葉に困ったからだった。




