11.
「お金の匂いがするって、どういうことだ?」
「うーん、なんと言うか。欲が溢れる作家なら…もっと成功するんじゃないかと思ったんです。」
「未来を見て投資した、ということか?」
「はい。どうせ使うお金なら、投資価値があればもっと良いじゃないですか。」
11歳の口から出たにしてはかなり大胆な話。
しかし、パク・ヨンハクは私の言葉を嬉しそうに聞いていた。
「投資だって言うなら、一つだけ聞こう。」
「はい、おじいさん。」
「この絵、お前の部屋に掛けるって言わなかったか?」
コクコク。
「じゃあ前後が合わないじゃないか?」
「……?」
「お金が口座にあれば利子でも受け取れるが、これは紙幣を額に入れて飾るようなものじゃないか。」
お金とは違い、絵は飾るだけで価値が上がることもある。
しかし、パク会長がそれを知らずに言っているわけではないだろう。
孫のレベルを確認したいのだろう。
それなら。
「確かに、その絵が美術館に飾られていれば、入場料でも取れるでしょうね。」
11歳ならこのくらいの答えでも十分だっただろう。
しかし、私はもう一歩踏み出した。
「おじいさん、せっかくの話ですから、絵の位置を変えてみませんか?」
「位置を変えるって?」
「はい。私の部屋ではなく、おじいさんのコレクションがある場所に置くんです。もちろん所有者も変わるという条件で。」
「俺にこの絵を買えってことか。」
「私が持つよりも…おじいさんのコレクションに入る方が良いんじゃないですか?」
「それはどういうことだ?」
「絵というものは面白いもので、所有者が変わるだけで価値が変わるんです。」
「……!」
「おじいさんのコレクションになる瞬間、絵の値段も何倍にも跳ね上がるんじゃないですか、それがもっと経済的じゃないですか?」
常に私を見下していたパク会長だ。
しかし、この瞬間。
彼は初めて腰をかがめて私と目を合わせた。
言いたいことは多いが、どこから話せばいいのか、言葉を選ぶ表情。
それなら、私から話そう。
「おじいさん、この絵、気に入らなかったんですか?」
「なぜ、俺の目から蜜でも落ちたか?」
「そんなことはないけど。」
「……?」
「20分も観察していたじゃないですか。あまり良くないと思ったらすぐに目をそらすでしょう。」
「俺のお金が入っているんだ。慎重に見るのは当然だろう。」
「でも、20分はちょっと長くないですか?」
「何?」
「会長くらいの地位に上がると、お金で時間を買うことが多いじゃないですか。面倒で煩わしいことに縛られるより、お金を使ってでも時間を確保する方が得ですよね。でも、そんな方が20分も投資したということは……。」
パク会長は肯定も否定もしないまま。
ニヤリ。
ただ口元を緩めた。
「孫が投資に目覚めたというなら、この祖父が負けるわけにはいかないな。で、この絵はいくらで買ってきたんだ?」
「100万ウォンです。」
「うーん、その倍くらい出せばいいか。」
ゴシゴシ。
「どうだ、気に入らないか?」
コクコク。
「じゃあ、五倍くらいで売りたいか?」
ブンブン。
「男らしく言ってみろ。」
私はもっとでもなく少なくもなく、ちょうど5000万ウォンを言った。
瞬間にしかめるパク会長の眉間。
しかし、その反応も一瞬だけ。
「ハハハ!」
彼は大声で笑った。
「デビューして賞金を少しもらったら、やる気が大きくなったな。」
「……。」
「買ってきたばかりの絵を五十倍の値段で売れって?」
「さっき骨董品店で一万ウォンで買ってきても…それが本物の宝物なら千倍、万倍でも受け取れるんじゃないですか?」
「それで…これは宝物でもある、ということか?」
「おじいさんが20分を投資した作品なら、宝物候補に入れることはできるんじゃないですか?」
「は!」
パク会長は呆れたように笑いを漏らした。
しかし、彼は私を追い出さなかった。
むしろルーペを再び手に取り、ユ・ソンホの作品の方へ進んだ。
この作品は十分に見た。
だからだろうか。
パク会長の視線は山積みのドローイングに移った。
油絵を見るときとは違い、素早くページをめくる。
しかし、最後の一枚。
火炎瓶の代わりに花束を持ったスケッチの前では。
「……。」
天下のパク会長も長い時間その場に立ち尽くしていた。
ふぅ。
最低でも4000万ウォンが必要だった。
だから失うものはないという気持ちで5000! 思い切り強気に言ってみた。
しかし、なんてことだ。
パク会長が深刻な顔でドローイングを見つめている。
ゴクリ。
まさか本気で考えているのか?
100万ウォンで買ったものを5000万ウォンで?
目立たないようにしたかったが。
ドキドキ、ドキドキ。
心臓が勝手に鼓動を打った。
どれくらいの時間が経っただろうか。
パク会長がついに私の方を向き、言った。
「一つだけ聞こう。その多額の金がなぜ必要なんだ?」
「……。」
「単にお小遣いが欲しいってわけじゃないだろう。言ってみろ。その金で何をしようとしているんだ。」
「……。」
「明確な目的がなければ、こんなに無理するわけがないだろう? どうだ、俺の言葉が間違っているか?」
この辺りで全てを白状すると思ったのだろうか。
パク会長は静かに目を光らせた。
しかし。
「本当に申し訳ないですが。」
申し訳ないが、私は11歳の子供ではない。
「おじいさん。」
「……?」
「本当に確かなことは、必ず一人占めしろと教わったんです。」
「なんだって?」
「あまりにも素晴らしい計画なので…これはおじいさんと共有するのは難しいと思います。」
「…はあ!」
「理解していただけますよね?」
危険な賭け。
私は確かに最善を尽くした。
カードは投げられた、さて結果を確認する時間だ。
その瞬間。
パク会長は答える代わりに妙な笑みを浮かべただけだった。
30分後、パク・ヨンハク会長の書斎。
巨大な机にパク会長が座り、その向かいに嫁のソンスヒが立っていた。
「お父様、お呼びになりましたか?」
パク会長は答えず、壁に掛かっている絵を見つめた。
ユ・ソンホの『螺旋』だった。
重苦しい沈黙が5分ほど続いたころ、パク会長がゆっくりと口を開いた。
「あの絵を見たことがあるか。」
「はい、美大の展示会で見ました。」
「そうか、何を思った?」
「非常に大胆な作品だと感じました。色の使い方も見事でした。」
「それだけか?」
「え?」
「もっと感じたことはないのか?」
「……。」
「それなりに良かったということか。」
「はい、1年生の作品としては非常に良かったです。」
「それなのに、なぜ置いてきたんだ。」
「あ、あの、どうしても4年生のイ・ユンギ君の作品が完成度の面で優れていたので……。」
「馬鹿なことを言うな!」
鋭い叱咤にソンスヒの肩がビクッと震えた。
「ソウル大学の美大を卒業して、どうして11歳の子供より目がないんだ!」
「……。」
「子供はあの絵を見て熱病にかかり、新春文芸にデビューまでした! 賞金をもらって絵を買いたいと言ってな!」
ソンスヒも同じ日に同じ絵を見た。
それなのにお前は一体何をしていたんだという問い。
「誰が隠された宝物を見つけて来いと言った? 目の前にある機会だけは逃してはいけないだろう!」
「申し訳ありません、お父様。」
「おかげで大事なお金だけが無駄になるところだった。」
「……?」
パク・ヨンハクは関係ないというように手を振りながら言った。
「明日から今まで回った場所をもう一度見てこい。あの絵のように見逃しているものがないか、徹底的に探せということだ。」
「分かりました。」
「行っていい。」
コク。
ソンスヒが書斎を出た後もパク・ヨンハクはじっと絵を見つめていた。
孫の言う通り。
『欲が溢れる絵。』
意欲がある分だけ十分に可能性があるのは確かだ。
しかし。
パク・ヨンハクの視線はドローイングに移った。
火炎瓶の代わりに花束を持つ男。
このスケッチを見た瞬間、疑問符は感嘆符に変わった。
偽名を轟かせることができる才能!
しかし、作家の潜在能力よりも驚くべきことは11歳の孫の眼力だった。
それだけではない。
『本当に確かなことは、必ず一人占めしろと教わったんです。』
食事の時間に言った言葉をそのまま返しただけでなく。
『あまりにも素晴らしい計画なので…これはおじいさんと共有するのは難しいと思います。』
まだ何かが残っていることを強調しているじゃないか。
どんな計画か知りたければ…投資するつもりで絵を買え?
しかも一応取引の体裁を取っているから、利益も分けてくれない?
「…はは。」
これは泥棒が別にいるわけではない。
生きてきて余ることのない投資をする羽目になるとは。
孫の芸当、ほんとに高いな!
心の中ではそう思いながらも。
ニヤリ。
パク・ヨンハクの口元には笑みが浮かんでいた。
少し後。
彼は腕を伸ばして受話器を取り上げた。
そして躊躇なく言った。
「ジフンの口座、分かるな? そこに金を送れ。」
翌日。
私は放課後、銀行に急いだ。
通帳に記された数字を確認するためだった。
「おお!」
私が買ってきた金額のなんと五十倍が記されていた。
ユ・ソンホとバンクシーにどんな関連があるのかは知らない。
百歩譲って二人が同一人物だとして…だから昨日売った作品の価値が途方もなく上がるとしても…私は決して損する商売をしていなかった。
バンクシーが世に名を馳せるには少なくとも20年の歳月が必要だろう。
その間、絵を持ち続けるより……。
『早く現金化してお金を増やす方が得だ。』
しかも資金さえ投入されれば確実な利益を保証される事業が残っているのだから。
『シードマネーを確保するためにも無条件で売るのが正しい。』
ちょっと待て。
この辺りで感じることだが。
『前世の俺…どうして小説だけ書いて生きていたんだ?』
これはもう、ビジネスマンが別にいないね、ふふ。
もちろんこれも芸術に限った話だろうが。
とにかく。
私が持っているお金は約6000万ウォン。
ボストンに何人かを送るのか、またどれだけ滞在させるのかによって費用も決まるだろう。
『適当な業者があれば見積もりでも取ってみたいけど。』
しかし、そんな業者がいるわけがないじゃないか!
だからと言ってこのまま手をこまねいているわけにはいかない。
『方法がまったくないわけではない。』
私は駐車場に停めておいた車に乗りながら言った。
「運転手さん、ソウル大学へお願いします。」
30分後、ソウル大学西洋学科の学科長室。
「ジフン君、どうしたの?」
学科長は例の人懐っこい笑顔で私を迎えてくれた。
取り尽くすところがあるときに出るビジネス用の顔。
そうか、善意に頼るのは俺も嫌いだ。
人間的なものはすべて排除した…一から十まで徹底した取引。
それが一番いろいろと楽だ。
「おじいさんによろしく伝えましたか?」
「はい。」
「おお、ありがとう。今日はジフン君がどんな理由で来たんだ? もしかして絵を見に来たのかい?」
「いいえ。ビジネスパートナーとして提案があるんです。」
「え? 俺が何か聞き間違えたか?」
「正しく聞きました。」
「……?」
「ビジネスパートナー。嫌ですか?」