第2章 サンタの正体
第2章 サンタの正体
「あなたはサンタになりたいんですか?いや、やめといた方かいいですよ。いろんな意味で……。」
とサンタは、苦笑いをして言った。
いろんな意味でというのは気になるところだが、サンタになりたいのか? と聞かれて別になりたくないです、なんていったら別に興味ないですから。と言っているようなものであろう。俺自身、少し気にもなっていたのだから……。
そして、俺は言った。
「あさってはクリスマスだろ!俺もおっさんの手伝いやってやるよ。」と胸を張っていると、サンタの顔は突然引きつった。そして、サンタはキレた。
「サンタをなめるなよ!お前さんは、万引きや泥棒、時には強盗だってしなきゃならんかもしれんのだ。」少し咳き込み、サンタは続けた―。
「少し言い過ぎたかもしれんな。それぐらい今サンタの世界は厳しいんですよ。それだけは分かってくれ。実際私も、おまえさんのようなものを盗んだのはこれが2回目なんです。
もうサンタになって20年目なのですが、今年は大不況でして……。サンタにはノルマというものがあります。ノルマは、子供達のところにプレゼントを届けたら、届けた分チップとなるんです。
つまり給料みたいなもんです。チップは子供1人に付き1グランです。ちなみにグランは宇宙共通なのです。」
「ちょっと待て!ということはだ、サンタは宇宙規模で活動しているのか?」と俺は言った。
「そういうことになりますね。地球以外にも、アンドロメタやオリオン聖、火星なんかにも行きますかね。それぞれの星によってクリスマスの時期は異なります。
さっきの話の続きで、ちなみに1グランはドルにして1ドル、日本円にして100円といったところでしょうか。もう一度聞きますが、
『あなたは、サンタになりたいんですか。』」
そして、俺は即答した。
「ああ、その得体の知れねぇ、サンタとやらになってやるよ!それと早くチャリを返せ。」
「ダメですよ。これはある子供のプレゼントなんですから。」
「何でだよ!って乗って逃げるな」
「元々鍵を掛けないのが、悪いんですよ。」
そして、これから始まろうとしていることにまだ気づきもしない水本拓であった……。