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冒険者街中武装の話

 冒険者が反乱起こしたらどうするの?



 冒険者ギルドは武装集団である。

 魔物に対抗するために武装は必要なので冒険者が武装することは必須だ。

 なので武装集団になることは当然である。


 だが、街中を武装して歩くことが許可されているのはなぜだろうか。


 支配の源泉は暴力である。

 軍隊はもちろん警察だって暴力を扱う組織だ。

 暴力には暴力でしか対抗できない。

 金や権力があるだろう、と思うかもしれないが、金と権力の後ろ盾もまた暴力なのだから実質暴力である。


 そして、その暴力を持った組織が暴力を保持したまま自分が支配する街に存在している状況を認めている施政者が当たり前にいるのが冒険者ギルドがある世界である。

 街中での武装の制限をかけられている冒険者ギルドは見かけない。テンプレではみんな武器を下げたり背負ったりして街中を練り歩き、喧嘩になったら悪役が先に武器を抜いて「剣を抜いたってことは覚悟はいいんだよな」となるのがお約束。


 ちょっと領主様、大丈夫なんですか。王様、支配揺るぎませんか。

 治安維持側にとって同等の武装をした相手は脅威である。犯罪を起こされたとき被害が増える。取り締まる際にも危険が増える。まとまって反乱を起こされたら目も当てられない。


 この問題について考えていきたい。



 さて、この場合方向性は二つ。

 ひとつは、それが必要な場合。

 もうひとつは、その程度問題ではない場合だ。


 冒険者が武器を手元に持っていなければならない状況というのはどういう状況だろうか。


 まずは魔物との戦いが想定される場合。

 魔物への対応は冒険者の基本業務なので、武装することは当然だ。

 しかし、安全な街の中で魔物に対応する事態に備える必要があるだろうか。

 基本的に街の中に魔物は出ない。

 ということは、基本ではない事態を想定してのものだろう。

 魔物が街を襲い、これに対抗する戦力として必要である状況である。街を守る兵に加勢して戦うことを期待されている。

 常に武器を持ち歩く許可をしているくらいなのでその頻度は高いはずだ。

 なんなら毎日のように街が襲撃されているのかもしれない。

 はい。

 さすがにそんな状況だと、冒険者が冒険者としての活動するにも支障が出る。

 この説の信憑性は低いだろう。


 次に、保管場所がない場合。

 冒険者は根無し草で宿に泊まるのが基本である。

 宿の防犯は信用できるだろうか。特に安宿の大部屋雑魚寝なんかだと荷物を置いてでかけることなどできない。盗まれる。

 だから持ち歩くしかない。

 冒険者は対魔物政策として必要なのでやむを得ず認めている。という説だ。

 この問題への対策としては街の入り口や冒険者ギルドで預かるなど思いつくが、実施できない理由があるのだろう、スペースなり人手不足なり。預かり手数料を冒険者が払えないことも考えられる。

 ただ、近年の作品では容易に街中に定住するための家を持つことができたりするので怪しくなってくる。

 もっともそれもまとまったカネが必要なので大部分の冒険者には当てはまらないと思われる。

 冒険者が家を買って定住できることも不思議の一つであるがこれは置いておこう。



 ここからは問題ない場合について。


 まずは、冒険者が反乱して容易に鎮圧できるだけの戦力を常駐させている説。

 都市に住まい税金を払って暮らしている民の身は多少危険にさらされるが、冒険者を存在させることと比べればたいしたことではないという判断だ。

 高ランク冒険者さえ押さえておけば低ランクの冒険者など有象無象である。冒険者ギルドと高ランク冒険者ときちんと癒着して飼いならせば十分だろう。


 というわけで続いては冒険者ギルドなかよし説。

 冒険者ギルドはそもそも施政者側の後ろ盾と支配を受けているので反乱なんてしないよ、という説だ。

 幹部級には貴族などの支配者層の椅子があり、運営にしっかり目を配っておく。これなら安心だ。

 ……となるだろうか。

 この説はむしろ、貴族同士の争いに冒険者ギルドが巻き込まれる要因になりうる。

 途中まではありそうと思えていたが、反乱防止という意味では逆効果になるかもしれない。


 次は街の住民も武装している説。

 アメリカなどではみんな銃をもって自衛しているように、住民も冒険者と同等の武装をしているから大丈夫という説だ。

 これはだいぶ厳しい。

 なぜならそうなると冒険者の需要が大きく減る。

 さらに住民の反乱の警戒が必要になる。

 おまけに銃と比べて脅威度に対する練度の割合が大きい刀剣や魔法では専従している者たちとの戦力差が大きいため自衛手段としては満足いくものではないだろう。ないよりはましだが。

 冒険者並みにみんなが戦えるならそれこそ冒険者の需要がなくなるのでなおさらだ。

 この説を採用するなら特殊な街として描くのがいいだろう。


 最後、冒険者はみんな善意と正義にあふれているし支配者に従順なので心配ない説。

 これもない。

 主人公を闇討ちする冒険者がいるというテンプレを採用すると矛盾する。


 さっき最後といったな、あれは嘘だ。

 冒険者ギルドに登録すると支配者に従う呪い的な何かを受ける説。

 そんなことができるなら街の中に居る、入るすべての人間にかければいいだろう。

 これも主人公が悪い施政者をお仕置きする展開が成立しなくなるのでないだろう。



 個人的には戦力常駐説となかよし説と置き場がない説の複合が妥当なところではないかと思う。

 施政者にはしっかり高ランク冒険者を接待しててなづけておいてもらいたい。これは主人公の成り上がりにも利用できるのではないだろうか。



次回は未定。

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