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「仕事の話は、チーフが来てからのほうがいいかしら。」


「そーっすね。さすが、俺の担当。わかってらっしゃる。」


「褒めても締め切りは延びないわよ。」


担当さんは長いストレートの黒髪を耳にかけて、床に置いたままの本を棚にしまい始めた。


見慣れ過ぎて、背景の一部と化した光景。


『漫画家と担当』になる前、『姉の親友』だったころから、彼女の世話焼きな性格は変わらない。


遊びに来ては勝手に俺の部屋を掃除して……そして、ベッドの下に隠していた俺の処女作を発掘したことがキッカケで、彼女は編集の道を歩み始めたのだ。


当時ド素人中のド素人だった俺に、あろうことか編集生命の全てを賭け、『地獄の730日』を共に歩み、そして出来たのが『砂糖菓子屋』と『チョコのオマケは召使い』。


賭けに見事成功した彼女は、若くして既に『未来の編集長』と呼ばれている。



「どうせ今日もほとんどここに居るんだから、わざわざばっちりスーツ着て化粧することないのに。」


「私のすっぴんとスウェットなんて、砂糖菓子屋先生よりもレアよ?」


「彼氏にも見せないの?」


「……私にそんな暇がないことを一番知ってるのは、貴方でしょう。」


 ぺチっと、赤いネイルの施された爪が、俺の額を弾く。ふんわりと柑橘系の匂いがする。長身で、スタイルも良くて、美人で。


何も知らなかったら、俺は彼女を間違いなく『めっちゃ海外とかで活躍して赤いオープンカーに乗ってる有名なモデル』だと勘違いしたことだろう。

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