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「先生!今日からまたお仕事でしょう?」


「ん…。」


「そんな暗い顔しないでよ!小春が側で見守ってるから、ね?レッツ妄想!」


「そんな簡単に言うけどねぇ…。」



 漫画の描き方はいたってシンプル。


 デベログラスを眼鏡のように掛け、テンプルとこめかみの位置がしっかりと合っているのを確認したら、デベロタブレットを起動させる。あとは妄想するだけ。以上。


 ……だったらどんなに楽だろう。


『妄想をそのまま原稿に!』という夢を抱いた先人たちよ。『どうせなら完璧を!』とクオリティを求めた開発者達よ。君たちの夢を現実に変換すると、やっぱり残酷な問題が次々と湧き出てくるものなのだ。


 簡単にまとめてしまえば先ほどの説明で間違いはない。けど、一言でまとめた『妄想する』という部分に、それはそれは山のような作業が詰め込まれている。その作業にうなされ、悩まされ、追われるのが、漫画家という生き物だ。


「おはよう、先生。早いのね。」


「おはようございます、次期編集長。」


「あら、一言目からイヤミなんて、ネームで詰まってるのかしら?」


「俺がネームで詰まらなかった日があるとでも?」


 椅子をぐるりと回転させる。


どの角度から見ても本棚が映る六畳の狭い部屋。ここで俺は一ヶ月の大半を過ごしている。


この世で三人しか入ることのできない『砂糖菓子屋の作業部屋』だ。


所狭しと並ぶ本棚。机という名の、コーヒーメーカーとパソコン置き。腰痛にとても優しい高級な椅子。そしてデベログラスとデベロタブレット。それだけしか置いていない。漫画を描くのにこれ以上は必要ないのだ。

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