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東大陸 セーラム港で恐ろしい**が待っていた

恐ろしいです。ああいう**には絶対近づきたくないです。



 新たな東海域派遣軍が「ボラール船団」と陰口をたたかれるのは、今の彼等は知らない。

 軍では派遣軍と認識されるが、正式には相変わらず東海域捜索隊である。例え、国交と貿易の促進であっても変わらない。頭に回数が着くが変わらない。

 派遣軍としてしまえば、何かと戦っていると勘ぐられるかも知れない。実際混沌獣と戦う可能性が高いのであるが、捜索隊であれば何かを探していると思える名前だ。ギルガメス王国連邦周辺を探索するので現実にも都合が良い名前だった。

 世間一般では普段は海域を外して「東捜索隊」と呼ばれる。

 軍内部ではただ単に「派遣軍」であった。


 第二次東海域捜索隊が抜錨したのは陸軍内部の調整がすんでからだった。

 こぢんまりとした艦隊は衆目を集めることも無く、粛々と進発した。

 正和二十年八月のことだ。

 艦隊はほぼ初期の構想通りだ。


 旗艦 八海


  第十四戦隊        十四戦隊は臨時編成

  八海           越百級重巡

  仁淀           阿賀野級軽巡


  第六水雷戦隊旗艦 黒部  阿賀野級軽巡

   第二十五駆逐隊     夕雲級

   朝霜 早霜 秋霜 沖霜

   第三十二駆逐隊     松級

   橘 蔦 萩 菫

   第三十三駆逐隊     松級

   楠 楡 梨 椎

   

 航空戦隊

  第三航空戦隊       翔鶴級

  翔鶴 瑞鶴

   第二直衛隊       秋月級

   影月 初月 冬月 春月

 

 艦隊型輸送艦

  今津 神辺

 艦隊型補給艦二隻

  西宮 矢掛

 艦隊型タンカー二隻

  大船渡 気仙沼


 病院船兼交易船

  橿原丸


 捕漁船二隻

 捕魚母船一隻

 冷凍船一隻


 現地に展開する水上機部隊

 水上機母艦   東方支援戦隊と行動を共にする。

  千歳     東方支援戦隊は水上機の指揮権は持たない。

 

 艦隊型輸送艦

  板倉

 艦隊型補給艦

  藤井

 艦隊型タンカー

  銚子


 現地展開陸軍用

  戦車揚陸母艦

   美保

  艦隊型輸送艦

   福川 花岡 富海 今市 三原 

   高屋 片上 舟木 高森 関戸

  艦隊型補給艦

   昆陽 瀬川

  

 陸軍部隊支援として現地残置の輸送艦と補給艦とタンカーの護衛に臨時編成の戦隊が付く。

  

東方支援戦隊

  旗艦 由良   阿賀野級軽巡 艦名は二代目 初代は五千五百トン級

  空母 海鳳   瑞鳳級小型空母 水上機で間に合わない時は陸軍部隊の支援

          も行う  

          搭載機は零戦・九十九艦爆・九十七艦攻    

  第三十四駆逐隊 松級駆逐艦

  葛 桂 梓 栃 


 九十七大艇は本土-南アタリナ島-東鳥島-ギルガメス王国連邦と島伝いにやってくる。

 九十七大艇は二十三型を手放す部隊が無く、二十二型を二十三型相当に改修するという条件で二十三型を借り出した。結局二十二型は全て二十三型相当になり若干の延命をした。十一型は退役である。   

 

 陸軍部隊は新型の戦車揚陸母艦が参加する。美保と言う名前は海軍には痛い思い出しか無いので止めて欲しかった。当てつけであろうか。 

 戦車は一式中戦車チロ九十七式中戦車チハ三式軽戦車ケロ

 装甲車は三式装甲車

 架橋戦車 

 戦車回収車

 ブルドーザー

 バックホー

 ダンプトラック

 以上を

 自走で収容・揚陸する戦車揚陸艇を船内に収容する事を目指した艦である。

 基本的な思想は神州丸であるが更に重量物と戦車揚陸艇運搬に対応して大型化している。

 翔鶴級並の大きさであり、この艦隊の中では目立つ。

 まだ一隻有るのみだが、神州丸同様運用の有利さが確定されれば更に数隻建造予定である。

 陸軍としては今後増えるだろう日本人の海外進出に備え海外緊急展開を考えているのかも知れない。


 戦車揚陸艇は、特大発でもチハの搭載が限界であったために新しい形状の揚陸艇として開発された。

 特大発よりもかなり大型であったが、幅広浅底の平底形状として吃水を浅くし河川や遠浅海岸での運用を可能にした。

 大発では渡り板が吃水よりかなり上であったが,揚陸艇では吃水付近まで下げられており大重量の戦車でも安定して揚陸できるようにした。

 浸水対策は、ひとえに艇体強度の向上と渡り板である前扉の強度と水密パッキンに頼っている。

 前扉は艇首をかねており傾斜はしているものの平面であるため波切り性能は無いと言っても良く平底形状と相まって凌波性は非常に低かった。

 また運用基準として「うねり2メートル以下、波高1.5メートル以下」となっているが、実際は実用試験の時うねり2メートルではかなりの恐怖感があったという。そのため但し書きで「可能ならばうねり1メートル以下で使用が望ましい」となっている。

 そのため利便性と引き換えに航洋性は大発以下になってしまった。この欠点は元々母艦を使用し海岸近くから発進する前提であるのでさして問題にされなかった。問題としなかったのは偉いさんで、現場はたまったものでは無かった。

 積載重量は五十トンで満載時排水量は百十六トンになった。

 機関は小型船舶用ディーゼルを二基使用する。当初チロのエンジン二基を載せた試作艇もあったが馬力不足で満載時七ノットしか出なかった。これでは河川を遡行するに苦しいので中止になった。現在は十一ノット出る。


 輸送艦五隻には兵員を、五隻には各種弾薬や物資、トラック他軽輸送車と仮設桟橋・仮設橋構築資材を搭載している。

 補給艦は連隊規模の陸軍部隊への各種サービスを行う。陸軍部隊は駐留予定なので補給艦は随時交代しながらギルガメス王国連邦沖に停泊となる。東大陸の西岸は何故か円弧を描いており船団が丸々入れるような入り江は少ない。有ってもセーラム港のように既に港になっていた。

 

 陸軍部隊への燃料は海軍部隊のタンカーが行う。


 

 かくして出航した第二次東海域捜索隊だが東鳥島にさしかかるところで東鳥島所属の哨戒隊から「東鳥島南東海上に大型低気圧有り、なおも接近中」の報を受け、東鳥島でやり過ごすことになった。

 かくして一週間の停泊を余儀なくされた。陸軍部隊は船でやり過ごすか上陸するかの選択肢に、当然のごとく上陸を選んだ。

 歩兵部隊は現地司令部と協議の上、混沌獣相手に訓練を実施している。戦車部隊も一部参加した。

 工兵部隊は金山部隊から抽出された戦闘工兵部隊とも言える存在で、散々混沌獣とやり合っており参加は見送った。輜重部隊も参加は見送った。


 訓練が少し伸びた為に泊地からの抜錨は入泊から十日後になってしまった。

 その後は順調に航海を重ね、正和二十年九月にギルガメス王国連邦沖に到着した。

 


 一行はセーラム男爵と港湾長に挨拶をして、首都と連絡を取って貰う。

 沖で捕獲したシロッキの水揚げもあり、解体したシロッキを降ろし大発でセーラム港へと向かい売却をする。シロッキは近海で捕獲したこともあり常温で保管している。シロッキは常温で一週間程度保存が可能だが冷蔵すれば更に持つ。前回日本に帰るときも捕獲してるが、冷蔵で一ヶ月持った。

 戦車揚陸艇で運べば楽なのだが、匂いが付くと行って断られた。


 セーラム港に大発が入港すると水産業者・統合ギルドなどが雁首並べて待っていた。どうやら、こちらの到着を首を長くして待っていたらしい。

 あと、何故か女達が大勢。何か雰囲気が怖い。「・・あの・・」「そ・白と赤の・・・」「私・か・・つや」よく聞こえないが、今はシロッキだけしか持ってきていないのだが、恐ろしくて言えなかった。


「やあ、日本の人。お待ちしておりました」


「はあ。今日はシロッキを二匹です。他の交易品はまだ沖の船に積んだままです。なにとぞ、彼女たちに伝えて下さい。私たちは何か恐ろしい物を感じますので」


「え?無いのですか」


「彼女たちの望む物ですか?失礼ですがこちらには心当たりがありません。」


「そんな・・」


「そう言われましても」


 目の前で膝をつく男に言う。何か不味そうだが、こちらの知ったことでは無い。だが、あの雰囲気は恐ろしい。橿原丸なら分かるかもしれんな。シロッキを運んできた大発六艇を指揮する細島大尉が艇長に命令する。


「艇長、橿原丸に連絡を。何か女達が恐ろしい形相で待っていると。心当たりが無いか聞いてくれ」


「了解」


 艇長が橿原丸を呼び出して何やら話している。


「細島大尉、どうやら原因が判明しました。橿原丸から大至急運んでくるそうです」


「助かったな、艇長」


「確かに、あの雰囲気は恐ろしいです。近寄りたくないです」


 細島大尉は目の前で絶望にくれている男に言う。統合ギルドの職員でカシム・ルドレイと言う名前だ。確かそう聞こえた。


「ルドレイさん。心当たりがあるそうで、大至急運んでくるそうです。ですから彼女たちを是非遠ざけて下さい。お願いします」


 あの雰囲気の中に突っ込んでいける男はいないだろう。いるとすれば有る意味勇者かバカだ。

 そう思うと目の前の男に同情したくなる。

 だが、彼女たちにどいて貰わないと荷揚げも出来ない。屈強な沖仲仕達も遠巻きに見守るだけだ。


「はい、ありがとうございます。っでは、逝ってきます」


 何やら決意をして行った。若干ニュアンスが違う気がしたが気のせいだろう。

 後ろ姿に悲壮感が漂っている。足取りも重そうだ。まあ俺じゃ無いからいいけどな。


 女達に何やら言っているルドレイ。押されているようだ。しばらくして漸く女達が去って行った。うん、恐ろしい。俺は近づかないようにしよう。


 




かわいそうなカシム、でも仕事だよ。頑張ってくれ。


東大陸西岸は何故円弧を描いているんでしょうね。

設定はしてありますよ。

六十五話に地図がありますので、また見てみて下さい。


次回 一月十四日 05:00予定



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― 新着の感想 ―
[一言] 彼女たちが求めるのは、「東大陸 交易開始」で出て来た「艶髪」ですね。 古今東西を問わず、女性の美容に掛ける執念はすごいと。
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