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転移国家日本 明日への道  作者: 銀河乞食分隊
第一章 日本 外地進出
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東の大陸

四十一話の続きです。構成力が作者の脳力の限界かも。

 救助した連中は、ギルガメス王国連邦という国の統一ギルド所属の冒険者と海運ギルド所属の船乗りだった。

 ギルドで発注されていた、五メータ級の混沌獣の討伐依頼に向かう途中だったと言う。

 五メータ級の混沌獣とは、海洋性混沌獣、いわゆる魚類では無く、海獣の類いだ。日本基準だと。

 大陸の東海岸に巣くっていて、付近を航行する船舶や漁業に重大な支障が生まれている。

 海運ギルドも困っており、討伐依頼を出した。

 確認されているのは五体。報酬は一体当たり銀貨二十枚。素材を持ち帰れば、銀貨四十枚のおいしい依頼だった。彼等にはその実力は有るのだと言う。

 じゃあ何で難破していたんだ、と言う質問には。


「五メータ級混沌獣が居るのが、船でないと近づけない岬なんだ。それで船で渡ろうとしていた」

「魚が出たんだ。でかい混沌獣の魚だ」

「体当たりされて、船に穴が空いた」

「帆柱も折れた。それで漂流していた」

「穴が空いて海水が浸入した所が食料庫だった」

「二日も何も口にしていなかった」

「あんたらが助けてくれたのはその時だ」

「神様がよこしてくれたと、本気で神に感謝したよ」


「でかい魚とは?」

「シロッキと呼んでいる。通常灰色なのだが、魔力を纏うと体の横から腹が白くなる。それでシロッキと呼ばれる」

「大きさはどのくらいですか」

「でかいのは二十メータを超えるくらいになるが、通常は十五メータ前後だ」

「お肉がね、白身でとてもおいしいの」

「シロッキの白くなった状態で作られたバックやコートは大人気なの」

「では、高く売れると」

「勿論、一体で銀貨三十枚は硬いわね」


「シロッキの攻撃方法は」

「体当たりだ。奴の頭はボラールのように硬くない」

「体当たりですか」

「対抗は出来ませんでしたか」

「対シロッキ用装備でも無理だろうな。船が大きくないと」

「ハシマールでしたっけ。大きさはシロッキ相手には足りないと」

「あの船は二十五メータ級だからな。五十メータ級で無いと、やっても重さでひっくり返る」

「わかります」


「艦長、時間です」

「む、こんな時間か」

「皆さん有意義なお話ありがとうございました。もう夜です。寝室にご案内しますので朝までゆっくりとしてください」

「え?あっははい。寝室を用意してくれる?」

「何分軍艦ですから、狭くて申し訳ないですが、ベッドはあります」

「いや、寝室があるだけでも充分です。ありがとう」

「女性の方はこちらへ。甲板士官、頼む」

「男性の方はこちらへ。甲板長、頼む」


 彼等は案内されて寝室に向かっていった。


「主計、記録は出来たか」

「はい、聞き逃しは無いと思います。こちらをどうぞ」

「そうだな、良く要約されている。これを報告書に添えよう」

「ありがとうございます」


 船室に案内された彼等だが、船長は上級士官扱いで個室が与えられたのを、仲間と一緒が良いと言って、大部屋に変更させた。


「では、こちらをお使いください。風呂は申し訳ありませんが使用出来ません。お湯と清潔な布を用意しましたのでお使いください」


 若い軍人はいろいろな説明をしてから去って行った。窓を開けないでくださいと、二度も言った。窓を開けていいのは停泊中だけです。今は航海中ですと。


 彼女達が案内されたのは、二段ベッドが二台有る部屋だった。

 お湯を入れた缶と清潔な布は用意されていた。着替えも用意されていた。


「あたし、上!」


「あ、ずるい。私も上」


「出遅れた、下か」


 お湯で体を拭いて清潔な布で拭く。一週間ぶりだった。気持ちよい。細かいことは気にしないですぐに寝てしまう三人だった。


「船長、仲間と一緒がいいんじゃ無くて、一人だと不安だったんでしょ」


「うるせえな」


「へいへい、そうしておきます」


 女達は四人部屋だったが、男達は八人部屋が二個用意された。お湯と布は同じだった。


「この船揺れないな」


「鉄だぜ、どうやってこんなでかい鉄の船が浮くんだ。しかもけっこうな速さだった」


「それよりも、ボラールだ。こいつら普通に食うんだよな。アレを捕れるのか」


「明日、交渉役がいる船に移ると言っていただろう。その時聞くか」


「そうだな、疲れた。もう寝るか」


「俺も寝る」


「俺も」


 男達も興奮していたが、疲れていたのだろう。すぐに眠ってしまった。



 翌日、おいしいけれど不思議な朝食をとったあと、乗り移る船が来ているので案内しますと言って、荷物と共に外に出た。

 全員腰が抜けると思った。なんだあの化け物みたいにでかい船は。 *甲斐です。七航戦と四戦隊は水平線の向こうで見えない位置にいます。


「え、えーと。俺たちが乗り移るのはアレかな」


 若干震えが来ている指先で指すと、


「違います、皆さんが乗り移るのはあの船です」


 化け物船では無いにしても、相当でかい船だった。


「この船の倍はあります。客船ですから、お風呂に入れますよ」


「「「>*0*<キャアアッ、お風呂ー」」」


 一部から嬌声が聞こえた。



挿絵(By みてみん)



 もう驚くのは止めようと思った。なんだよ、あのでかい船は。しかもあの巨大な銃。何を相手にするんだ?

 皆命は助かったが、精神的には疲労の極みである。

 小舟を使って乗り移ったこちらは客船だという。このデカいのが客船だと。笑っちゃうしか無い。


「ようこそ、橿原丸へ。乗船歓迎いたします。船長の塩田です」


「あ、あ、ありがとうございます」

((何ビビってんだよ、リーダー))

「乗船許可、ありがとうございます。難破船ハシマール船長ハイランドです」


「ハイランド船長、大変でしたな」


「全くです。この船の船長とは本当にうらやましいです」


「どうですか、落ち着いたらご案内しましょう」


「ありがとうございます」


「艦隊はもうしばらくこの海域に留まり、ハシマールの曳航作業を行います」


「「おお!」」


「ありがとうございます。ハシマールの中には大事な装備が残っています。回収出来れば嬉しい」


「そうですな。この船からも見えます。見学しますか?」


「「「見たいです」」」


「あの~、船長さん?」


「何かな?お嬢さん方」


((( >*0*< キャアアッ、お嬢さんだって)))

「お風呂があると聞いたのですが」


「気が付かなくて申し訳ない。君、里崎君を呼んでくるように」


「了解です」


「今、女性乗り組み員を呼んでいるので、少し待っていただきたい」


「お風呂はいつでも入ることが出来るのですか?」


「一日中いつでもどうぞ」


「うわー、凄い」


(如何する?一等にするか二等にするか。男達は二等でいいだろう。聞いてみるか)


「お嬢さん方は、一人でのんびりとお湯に浸かりたいかな、それとも三人で入りたいかな」


(ねえ、どうする)

(一人でのんびりもいいけど、ちょっと不安だし)

(じゃあ三人でいいじゃない。入ることが出来るみたいだし)


「私たち一緒に入ります」


「一緒ですね。承りましょう」

「里崎君、このお嬢様方を二等の女湯に案内してくれ。着替えもな」


「了解です。船長」

「ではお嬢様方、こちらへどうぞ。お風呂に案内します」


「「「お願いします」」」

(((お嬢様よ!お嬢様)))


 三人は舞い上がっていた。



 ハシマールの横に見たことの無いデカい船が着いている。何かを降ろしている。と思ったら、その何かが膨らんだ!


「へー、アレを浮子にするのか。しかし良い物だ。ハシマールにも欲しいぜ」


「船長、ハシマール直せるのか」


「あんだけ破損したら、多分新造の方が安い」


「そうか、金はあるのか」


「無い」


「なんだよ、はっきり言うな」


「まあな、見栄張ってもしょうがない。また稼ぐさ。船を貸してくれるところはある」


「でもそんなので、稼げるのか」


「当然足りるわけが無い」


「じゃあ、どうやって」


「俺はこれでもそこそこ名が売れている。信用貸しして貰う為にも、資金の一部を稼ぐ必要がある」


「借金かよ」


「船乗りの半分は借金まみれだぜ」


「いやなことを聞いた」


「だが、それでも利益が出るほどに海は儲かる」


「そうですかい。お!アレは?」


「ん?」


 デカい船が反対側に回って、またあの浮子を膨らました。何かやっているようだが、よく見えん。

 小舟が浮子と船の間を何回か行き帰している。小舟が離れた。何か合図をしている。綱が張られているのか。それで綱が緊張していく。お、ハシマールが少し浮いた。



「船長、緊急展開フロート展開及び難破船浮揚準備完了」

「よし、浮揚開始」

「了解」

「ワイヤー巻き取り開始」

「巻き取り開始します」

「ゆっくりだそ。木造船だ、潰れるかもしれん」

「わかりました」


 ワイヤーはゆっくりと巻き取られていく。ワイヤーの緊張がわかる。海水を呑んでいるので木造船と行っても結構な重量なようだ。そう言えば、木造帆船はバラストとして船底に石が入れてあるのだっけ。


「ちょい浮きます」

「もう少しだ」

「破口から排水しています」

「もう少し上がらんか」

「やってみます」

「半分くらい水面に出でましたが、これ以上は無理のようです」

「では、ここまででいい」

「了解」


 フロートを展開していたのは捕漁船だった。巨大魚の浮揚で慣れている。

 曳航するのは生駒のようだ。生駒がケツを向けて近づいていく。

 捕漁船もいつもは巨大魚を曳航するのだが、混沌領域から少し離れた海域で捕魚母船に積み込むまでの短距離だった。

 ハシマールの母港であるセーラム港までは距離があるらしいので、機関出力に余裕のある生駒が曳航することになった。

 

 曳航を始めた。が、速度を出せないようだ。八ノット程度でとどまっている。

 フロートに乗っている監視員から、ハシマールの船体が十ノットになるときしむという電話が入ったようだった。

 船体がバラバラになってもいけないので八ノットに抑えるらしい。


 ハイランド船長によると、この大陸西海岸は何故か浅瀬や小島が無いという。海岸から二キロメータで水深が二十メータ以上だという。

 では沿岸航行と行こう。





ハシマールを曳航してセーラム港に向かう東海域捜索隊。

次話こそ入港します。


次回 11月21日 05:00予定

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