総技研を特訓
総技研の面々を強化しますが、
二手に分かれさせられた総技研である。
軍人組は強制的に東鳥島に。
民間人組はここで。
民間組十四人は、軍服を貸与された。勿論階級章は無い。
ゲートルの巻き方を教わり、巻いていく。
「なんでゲートルですか。廃止されたのでは」
陸軍の一曹が答えた。
「小型下位の混沌獣は足を囓るんですよ。始めの頃は良く囓られて負傷者が出ました。ゲートルを巻くようになってからは滅多に囓られた負傷はありません。ですから、しっかり巻いて下さい」
「うむ、しっかり巻かねば」
「賛成だ。怪我はしたくない」
そして武装を渡される。ヒノキの棒では無い。
樫の棍棒で頭に鉄が被せてある。他には「使うときは非常時です。あなた方がまともに扱えるとは思いません」と言って、鉈を渡された。
これから何をするのかと問うと「小型混沌獣を狩ってもらいます。魔石の回収は我々が行いますので、皆さんは解体はしなくても結構です。参加されたい方はご自由に」
「「「「「遠慮しておきます」」」」」
「目標は、二ヶ月間で魔石の補助付きですが魔道具の発動が出来るようになることです。質問は?」
「はい。どのような混沌獣を狩るのですか。数は?」
「ゲズミと言います。尻尾を除いて20センチから30センチくらいのネズミです。数は多くです」
「これで狩れるのですね」
「そうです。最初は小銃でやろうとしましたが、小さい上に狙う前に動くので当たりません。銃剣や軍刀で相手をしたのですが、鉈が一番使いやすかったのです。次点で棍棒です」
「こいつでぶちのめせば良いのですね」
「そうですね。簡単ですが、慣れないと大変です」
そして少しの間、扱い方やたたき方を教えられトラックに乗り特訓現場に向かうのだった。
軍人組は皆と別れて船で帰国。帰国後、残っている一般職員に当面休みになるので
施設の維持管理が業務になること。
休日は自分達で決めて良い。
等と後を任せて東鳥島に向かうのだった。
驚いたことに東鳥島へも、南アタリナ島発であったが定期航路が開設されていた。軍民併せて一万人以上が滞在しており消費物資の供給や人員の交代などシベリア大陸と同じ理由であった。
「伊東少佐、あなたが先任だ。いろいろ任せたい」
「何を言うか、近藤少佐。同じ少佐じゃ無いか。陸組はこちらで面倒見るのであなたは海の面倒を見たら良い」
面倒を被せようとしたが見事に躱された近藤。そう言えばクジに仕込んだのもこいつであった。
若干不安げな他の海軍二人。中山大尉と小島中尉である。
南アタリナ島で乗り換えた六人であるが、ここから護衛駆逐艦が付くので驚く。
「アレは新型の松級だな」
「そうですね。艦隊の方では安物とか言っていますが、使い勝手は良いようです」
「護衛が付くと言うことはこの海域は不味いのでしょうか」
「「「「「あ!」」」」」
シベリア大陸に残った民間人達は頑張っていた。本当に。
問題は、一人島津者が居たことで有る。五月蠅い。
「きいええーー」
べチャ
「いぇいー」
グチャ
聞けば示現流を少し囓ったらしい。さすが少し囓っただけのことはある。五月蠅いし、力が入りすぎでゲズミを全て潰してしまっている。魔石も三割くらいは割れて回収不能だ。
兵が触りたがらないので、本人に潰した責任だと言って回収させる。本人は「潰してはいかん」と言うが、棍棒を持てば島津の魂が訴えるらしい。(本人談)
片手で振り回す棍棒で何故それ程力むのかと思うが、殲滅力は今回の手段では一番で有ると思ったら上が居た。
「フッ」「ッ」などと、棍棒をサクサク振り下ろしている。実家が米屋で、ネズミとは子供の頃から対決していたとのこと。潰すと飛び散るから(何がとは言わんが)潰さない様に加減するのだという。天才か。
この二人が飛び抜けているだけで、残りの十二人はと言うと
「とりゃ!」
「この」
「フン」
「この野郎」
気合いは入れるが当たらない。二回に一回は外している。相手から向かってきてくれるのにスカる。仕舞いには掴んで叩きつける奴まで出た。こっちの方が早いとか言って掴んでは叩きつけ掴んでは叩き付けを始めた。結構早いが、やはりすぐに疲れて逃げてきた。
今日はもう終わるか。あの二人は早そうだが残りの人がな。
引率の中尉はそう思った。一曹も残りの人は二ヶ月では足りないかも知れません。と言っている。何とかしないといかん。
軍人達は護衛が必要な海域にびびりながら船に乗っていた。正直、東鳥島が見えたときにはホッとしていた。
「よく来たな、この島へ。歓迎する」
必要な書類一式を持って出頭した東鳥島派遣軍の陸軍第十三師団司令 八雲円利少将が言った。
何で現地最高指揮官がと思っていると
「珍しいのだよ。魔力を上げに来る軍人が。経歴を見ると本教育を受けていない技術系の人間らしいが、大丈夫だ。うちの連中がちゃんと仕上げてくれる。安心して良い」
「「「「「「ありがとうございます」」」」」」
「では、この書類を持って十九連隊の本部に生きたまえ。歓迎してくれるだろう」
「「「「「「ありがとうございます」」」」」」
六人は十九連隊本部に向かう。「生きたまえ」が聞き間違いでありませんように、と祈りながら。
「ふむ、本土からか。確かに八雲師団長の言われるように珍しいな。大抵はシベリア大陸から来る軍医なのだが」
十九連隊本部で連隊作戦参謀の羽宇阿少佐が言った。連隊長は前線に出ているという。
「では百九十二大隊で面倒を見て貰うように。あそこには強化された人間がいるからな。大丈夫だろうと思う。では行け」
「了解しました」
百九十二大隊に着いた六人は、大隊長のシェーンカップ少佐に出頭の挨拶をした。
「師団長から聞いている。本土から来た技術職と言ったな。大丈夫だ、軍医だって魔力の強化をしていく。問題ない。混沌獣をちょっとぶっ飛ばせば良いだけだ」
「ちょっとなのか」
「俺たちが適当に弱らせるから、そこをガツンとな。なに、気にするな。結構経験を積んで、どの程度なら強化に繋がるか分かっている」
「死にそうな奴では効果が無いと聞いたのだが」
「そんな奴はほぼ効果が無い。だから適当にと言うことだ」
「よろしく頼む」
「任せろ。この予定だと一ヶ月で魔石の補助付きで魔道具が発動するようにと言うことだが、間違いないか?」
「間違いない。その予定で良いらしい。シベリア大陸派遣軍参謀長唐沢大佐がおっしゃった」
「そうか。多分、月月火水木金金にはならないはずだ。そこら辺は加減しよう」
「有り難い」
「ちょうど良い奴がいないか偵察に出てから決めるので、それまでは宿舎で待機してくれ」
翌日、武装を渡される。槍と長柄のハンマーなのか。相手はまだ見つからないという。
「とりあえず、こいつらを使えるように訓練するぞ」
「遠くから叩いたり突いたりすれば良いのか」
「そうだ。今日は取り扱いの訓練だな」
夕方ヘトヘトになっている六人。勿論マメは潰れている。これを塗れと言って軟膏を渡された。カラン村産じゃないか。高級品だ。
翌朝マメは治っていた。恐ろしい効き目だ。聞けばここからも原料になる薬草は行っているとのこと。
今日もまだ見つからないと言って、訓練である。
マメが潰れたよ。
翌日、昨日ほどよい集団を見つけたから出動すると言った。
出動は一個中隊と戦車。
「なあ、鈴津大尉、なんでチハがくっついてくるんだ」
「伊東少佐、万が一のためですよ。もし大型混沌獣が出てきたら歩兵では相手になりません。チハの獲物です」
「出るのか?」
「可能性ですよ。多分出ないでしょう」
「頼むよ。我々は弱いんだ」
「承知しています。シェーンスコップ少佐からも頼むと言われています。安心して下さい」
「シェーンスコップ?」
「愛称ですよ。弱っていたと言っても小型上位種を毘天大尉と二人でスコップでもって仕留めたので。それでカップじゃ無くてスコップと」
「本人は知っているのか」
「知っていますよ「俺はスコップの達人だ」とのたまっていますね」
「小型上位種か、出るのか?」
「出てもチハの主砲で始末出来ますから」
「当たるんだ」
「当てるんです」
しばらく進んで、いい時間になった。昼食だ。もう少し進んだ所に野営地があるのでそこで野営すると言った。
「いつも遠出なのか」
「基地の近くに出たら困るじゃ無いですか」
「それもそうか」
その日は野営して、いよいよ次の日当たるらしい。
「伊東少佐、あそこです。灰色の動く奴見えますか」
「ああ、見える。アレがケンネルという奴なのか」
「そうです。普通の大人と同じくらいの力と速さがあります。気をつけて下さい」
「了解」
「中隊長、恐らく総数五十体ほどです。何処かに引きつけますか」
「地図で行くと、ここの八番だな。ここで待ち伏せる。誘導は二小隊に頼む」
「了解しました。八番で待ち伏せ。誘導は二小隊」
「よし、行け。行動開始だ」
「はっ」
六人の実戦が始まる。
どうなるのでしょう
次回 11月17日 05:00予定




